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映画感想文

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2012年から続けている手書きの映画ノートの内容を、一部編集・アップデートして載せています。当時見た新作〜旧作まで様々。洋画が多め。レビューや批評というよりは、感想です。出演して… もっと読む
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#映画

映画感想#62 「黄金のアデーレ 名画の帰還」(2015年)

原題 Woman in Gold 監督 サイモン・カーティス 脚本 アレクシ・ケイ・キャンベル 出演 ヘレン・ミレン、ライアン・レイノルズ、ダニエル・ブリュール、ケイティ・ホームズ、タチアナ・マズラニー、マックス・アイアンズ、ジョナサン・プライス 他 2015年 アメリカ・イギリス 109分 その絵画の権利は誰に 109分、緊張と感動で駆け抜けていくような、テンポの良い映画でした。 現在と過去を行き来するマリア。 彼女は辛い過去を思い返し、叔母がモデルとなっているクリム

映画感想#61 「ミケランジェロ・プロジェクト」

原題 The Monuments Men 監督 ジョージ・クルーニー 脚本 ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロフ 出演 ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダン、ボブ・バラバン、ヒュー・ボネヴィル 他 2014年 アメリカ 118分 もっと丁寧にお願いします… もったいない。題材も良いし、キャストもすごいのに。ストーリーだって悪くない。でも、なぜか表面的で軽い作品だったような気がします。

映画感想#60 「レナードの朝」(1990年)

原題 Awakenings 監督 ペニー・マーシャル 脚本 スティーブン・ザイリアン 出演 ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズ、ジョン・ハード、ジュリー・カブナー、ルース・ネルソン、マックス・フォン・シドー 他 1990年 アメリカ 121分 「生きる喜び」を感じられる映画 なんと切ない話なんでしょう…。 そんなことよりも、これが実話がベースであるということに驚きます。実際にこんな出来事があったなんて。 レナード本人の苦しみ、辛さ。本当に悲痛な思いでしょう。30

映画感想#59 「マイ・インターン」(2015年)

原題 The Intern 監督・脚本 ナンシー・マイヤーズ 出演 ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ、アダム・ディバイン、アンダース・ホーム、ジョジョ・カシュナー 他 2015年 アメリカ 121分 「プラダを着た悪魔」は見ていないけど 王道ハリウッド映画っぽい感じで、ものすごーくリラックスして、ただただ楽しめる映画。こういうのも定期的に見たいものです。 ということで、そこまで期待せず見たのですが、意外と刺さるものがありました。 アン・ハサウェイの役

映画感想#58 「チャルラータ」(1964年)

原題 Charulata 監督・脚本 サタジット・レイ 出演 マドビ・ムカージー、ショーミットロ・チャタージ、ショイレン・ムカージー、シャモル・ゴサル、ギタリ・ロイ 他 1964年 インド 119分 歌って踊らないインド映画 インド北西部、コルカタ生まれの映画監督サタジット・レイの映画。本作品はベルリン国際映画祭監督賞を受賞しているようです。 彼の映画を初めて見ましたが、とても清々しく、流れるような映像が印象的でした。 まず音楽。民族的な打楽器の音が特徴的で、インドに行

映画感想#57 「ベル&セバスチャン」(2013年)

原題 Belle et Sebastien 監督 ニコラ・バニエ 脚本 ジュリエット・サレ、ファビアン・スアレ、ニコラ・バニエ 出演 フェリックス・ボシュエ、チェッキー・カリョ、マルゴ・シャトリエ、ディミトリ・ストロージュ、アンドレアス・ピーチュマン、メーディ 他 2013年 フランス 99分 モフモフの犬映画 フランス・アルプス山麓に住む少年と、野犬の絆を描いています。 犬が出てきたらもう良い作品だということですよね。 犬のベルという名前は、なんと「美女と野獣」のベル

映画感想#56 「ロマンス」(2015年)

監督・脚本 タナダユキ 出演 大島優子、大倉孝二、野㟢好美、窪田正孝、西牟田恵 他 2015年 日本 97分 幸せな親子という叶わない夢 箱根ロマンスカーのアテンダント・鉢子と、崖っぷち映画プロデューサー・桜庭。決して"ロマンス"なんかではないけれど、2人が再び現実を見つめ直すための小旅行です。 これは主人公・鉢子のセリフ。 「台風は進路が決まっていて良いな」という受験を控えた高校生かのようでもありますが、鉢子は母親との関係でモヤモヤしたものを抱えているのです。 悲し

映画感想#55 「くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ」(2012年)

原題 Ernest et Celestine 監督 バンジャマン・レネール、ステファン・オビエ、バンサン・パタール 脚本 ダニエル・ペナック 出演 ランベール・ウィルソン、ポーリーン・ブロナー 他 2012年 フランス 80分 自分と違う存在と関わること 絵本が原作の、とてもかわいいお話でした。 くまとネズミは仲良くなれるのか?周囲の反対にあったり、大騒動に発展したりと、ドタバタしながら進んでいきます。 水彩画タッチの絵が、音楽に乗って流れるように動いていくのが美しい。

映画感想#54 「美しい夏キリシマ」(2002年)

監督 黒木和雄 脚本 松田正隆、黒木和雄 出演 柄本佑、原田芳雄、左時枝、牧瀬里穂、宮下順子、平岩紙、石田えり、寺島進、香川照之、甲本雅裕 他 2002年 日本 118分 "聖なるもの"のために戦う人間 1945年、宮崎で暮らす少年・康夫と周りの大人たちの物語。終戦間近ということもあり、戦争が常態化した日本で生きる人々の諦めと閉塞感が伝わってきます。 見終わった後は、何とも言い難い無力感が残りました。康夫が感じる戦争に対する違和感と、それをどうすることもできないやるせな

映画感想#53 「海のふた」(2015年)

監督 豊島圭介 脚本 黒沢久子 出演 菊池亜希子、三根梓、小林ユウキチ、天衣織女、鈴木慶一 他 2015年 日本 84分 都会と田舎の確執問題 爽やかな気持ちになれる映画でした。海の風に当たっているような。かき氷の甘い匂いが香るような。 主人公・まりは東京から故郷の西伊豆に戻り、大好物のかき氷屋を始めることに。東京から帰ってきたまりに壁を感じるのは、ずっと地元に住んでいる幼馴染のオサム。まりとオサムの関係から、「都会と田舎の確執」が見え隠れします。 まりは、故郷の変化に

映画感想#52 「海街diary」(2015年)

監督・脚本 是枝裕和 出演 綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、加瀬亮、鈴木亮平、池田貴史、坂口健太郎、前田旺志郎、キムラ緑子、樹木希林、リリー・フランキー、風吹ジュン、堤真一、大竹しのぶ 他 2015年 日本 126分 家族とは呪縛なのか ストーリーは、表面的には爽やか。 ある3姉妹に腹違いの妹がいることが発覚し、鎌倉で一緒に暮らすことになり、本当の家族になっていくという。でも実は、家族の心穏やかではない関係が描かれていたりもします。親子同士、姉妹同士、夫婦同士の妬

映画感想#51 「パロアルト・ストーリー」(2013年)

原題 Palo Alto 監督・脚本 ジア・コッポラ 出演 ジェームズ・フランコ、エマ・ロバーツ、ジャック・キルマー、ナット・ウルフ、ゾーイ・レビン、クリス・メッシーナ、ヴァル・キルマー 他 2013年 アメリカ 100分 若者たちの悩み、眩しすぎ。 ジア・コッポラ初の長編作品。 ストーリーは、アメリカの"ヤングたち"のお話。主人公エイプリルとサッカークラブのコーチ・ミスターBの恋かもしれない何か、そしてテディとフレッドの友情。恋と友情という(悪く言えば)ベタすぎるテーマ

映画感想#50 「サンドラの週末」(2014年)

原題:Deux jours, une nuit 英題:Two Days, One Night 監督・脚本 ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ 出演 マリオン・コティヤール、ファブリツィオ・ロンジョーネ、オリビエ・グルメ、モルガン・マリンヌ 他 2014年 ベルギー・フランス・イタリア合作 95分 同僚の復職 or ボーナス、どちらを選びますか? うつ病で休職中のサンドラが告げられた、突然の解雇。復職するには、ボーナスがなくなることを、過半数の同僚に説得しなければなりま

映画感想#49 「あん」(2015年)

監督・脚本 河瀬直美 出演 樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、水野美紀、市原悦子、仲野太賀、兼松若人、浅田美代子 他 2015年 日本 113分 自然の姿を見て、聞くこと どら焼きが食べたくなる映画。 和菓子が苦手なコワモテ店長さんと、どら焼き屋に突然現れたおばあさん。この2人の人生から、「生きること」についての意味を考えさせられます。 まず映像的な部分についてですが、画面いっぱいに広がる日本の自然が美しく、こちらまで風の匂いが伝わってくるような瑞々しさがありました。 アス