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【第5回】スポーツを活用した 地域リハビリテーション・システム 構築モデル事業

こんにちは!
鮎川地域共生コミュニティ研究所の鮎川です。

当研究所は「だれもがコミュニティにアクセスできる地域社会をつくる」をVISIONとして、多世代、障害のあるなし関係なく地域住民が緩やかに繋がり合い、日々の暮らしの中で困りごとがあったり、あたらしいことにチャレンジしようと思ったとき、それぞれが自分の出来ることで協力し、支え合えるコミュニティを形成し、地域共生社会の実現をすることをMISSIONとしています。

今回は第5回(2020年12月6日)となりました「スポーツを活用した 地域リハビリテーション・システム構築モデル事業」のレポートです。

この事業は「日本リハビリテーションスポーツ学会(以下、JARS)」様との共催事業で、2020年8月~来年2021年3月まで実施。

【年間スケジュール】
8月当事業概略説明及び意見交換会      
9月 アセスメント・初回評価  
10月 スポーツプログラム担当者による指導
11月 スポーツプログラム担当者による指導 
12月 スポーツプログラム担当者による指導 
1月  スポーツプログラム担当者による指導 
2月  スポーツプログラム担当者による指導 
3月 アセスメント・最終評価、振返り

事業の目的は、医学的根拠と評価ができる「リハビリテーションスポーツ(以下、リハビリスポーツ)」を開発し、病院・居宅事業所・包括支援センター・社協等との地域連携を図る「地域リハビリシステム」を構築することにより、医療、介護の制度の枠にとらわれず癌や疾病、フレイル、サルコペニア、要支援・要介護者、障害者、難病患者など、その種類や程度に関わらず、「スポーツが持つ特性と力」を利用し、心身機能や運動能力の向上と体力の増進を図り、自己実現と社会参加ができる地域社会を創造する事であります。

※下記、第1回~4回の記事

今回、JARS様と共催事業に至った経緯は「地域で直面した課題」が背景にあります。

私は地域住民の皆様と地元埼玉県所沢市で2017年2月から地域共生社会の実現を目的とした「ユニバーサルスポーツ・コミュニティ事業」を毎月1回実施していましたが、2年目から参加者が脳梗塞、対麻痺、ギランバレー症候群で入院中の方や、70代の女性で脳梗塞発症後に要介護4になりケアマネージャーからデイサービスやデイケアを勧められたが「あんなところ行きたくない」と介護サービスを拒否されてる方など参加されるようになり大変喜んでいただけた。今後もぜひ継続して参加して頂きたいと考えたとき、市民主体のコミュニティでは怪我や急変など安全面に不安があると考え、医療的背景があるリハビリスポーツの必要性を考えるようになりました。

そういった経緯から私が2017年から入会したJARS伊佐地会長に御指導いただき、その事がキッカケでリハビリスポーツの活動実績のあるJARS様に共催事業として御協力頂き、事業を実施できることとなりました。

下記、JARS様のリハビリスポーツの定義です。

リハビリスポーツとは、疾病または障害のある人々がその種類や程度にかかわらず、スポーツが持つ特性と力を利用し、心身機能や運動能力の向上と体力の増進を図りつつ、自己実現と社会参加を最終目的として、医療、教育、 介護、社会活動などで行われるスポーツのすべてを言う。名は活動を表すかのごとく、我々が目指すべき方向を示す。

上記定義にある「スポーツの持つ特性」に関してはJARS伊佐地会長から下記のように説明して頂きました。

・だれでも小学校などで1度はやったことがあり馴染みがある。 
・ルールを理解するために頭を使い、記録や点数など数字が出るので分かりやすく、それをより良くしようと目標を立て頑張るようになる      
・自発的に出来る努力を繰り返しやろうとすることで自然に体力がつき、時には競い合っていつも以上の力を発揮し自己の限界が広がる
・人と一緒にやるのでコミュニケーションがとれ、人との交流が楽しくなり精神的にも社会的にも多くの効果をもたらし他者との関わり方や社会性、創造性などが助長されることにより医学的リハビリと社会的リハビリ双方への有用性があると考えられる。   

こういったスポーツの特性を活かし、スポーツ本来の定義である「一定のルールに則って勝敗を競ったり、楽しみを求めたりする身体活動」を踏まえたリハビリスポーツプログラムが実施されました。

※日本リハビリテーションスポーツ学会
http://jars.kenkyuukai.jp/about/

そしてこの事業は、6名の当事者の方々に御参加頂き、実現することが出来ました。

・井筒紫乃さん

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・安田茂也さん

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・橋本直樹さん

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・小俣芳彦さん

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・長野僚さん

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・竹内秀和さん(今回は欠席)

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それでは今回のレポートをスタートします。


今回の講師は合同会社アダプテッドスロー山口裕輝代表(下記画像)とスタッフの皆様。山口代表は横浜市瀬谷区で運動特化型・体操特化型 児童発達支援・放課後等デイサービスを経営されているリハビリスポーツの実践者です。

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合同会社アダプテッドスロー スタッフの皆様

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医学管理担当は、この事業を共催して頂いている日本リハビリテーションスポーツ学会会長で、筑波記念病院リハビリテーション統括部長の伊佐地隆先生

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国立障害者リハビリテーションセンター学院 梅崎多美教官が学院の学生3名様の研修を兼ねて参加して頂いてます。学生の皆様には研修の一環として来年2021年1月、2月のプログラムを担当して頂きます。

梅崎多美教官

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見学者として、埼玉県総合リハビリテーションセンター福祉局支援部生活支援担当 伊藤わかな主事に御参加頂きました。

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2020東京パラ出場をを目指してるパラバドミントン小倉理恵選手も引き続き参加して頂いてます

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●当日の流れ

まずは、伊佐地先生から体調確認とバイタルチェック(血圧・脈拍・体温・SPO2を測定します)

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バイタル測定が終わると事業も5回目となり参加者の緩やかな関係性も構築されつつあります。実はこういったひと時は非常に重要でリハビリの継続性にも繋がります。

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下記、今回のプログラム内容です。


●三味線体操
・黒田節:呼吸、骨盤周辺と体幹の柔軟性の向上
・ソーラン節:肩回り、特に肩甲骨周辺の関節可動域の向上
・花笠音頭:下肢の筋力強化(大腿四頭筋、腸腰筋、内転筋)
・炭坑節:全身運動

三味線の演奏はなんと、津軽三味線小山流 小山憲斗師範が演奏して頂くというスペシャル企画。津軽三味線の生演奏での体操は参加者の皆様にも大好評でした。

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●割りばし割り(ダーツ導入のためのプログラム):手指の巧緻性、自助・共助の評価と技能向上

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●割りばしリレー(ダーツ導入のためのプログラム):仲間意識を持つ(競争する事で)、座位バランスの評価と技能向上

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●オセロ・割りばし落とし(ダーツ導入のためのプログラム):手指の巧緻性、空間認知能力の評価と技能向上

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●ダーツ:スポーツを楽しむ、集中力、座位での運動能力、コミュニケーション、認知機能等へのアプローチ

既存の投げるダーツではなく、矢を落とすルールにすることで誰もができるように工夫されてる

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筒を使い矢を滑らせる工夫

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以上、プログラム内容でした。


終了後、皆さんで振り返り。                     お1人ずつ順番に感想を共有して頂きました。

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【感想】
(参加者)

●三味線体操凄く楽しかった。40分の時間が短く感じた。

●生演奏に合わせて体操することがこんなに気持ちいいことを改めて感じた

●ダーツは障害の有無、程度に合わせて工夫ができることが分かったので、自分の地域活動でも取り入れていきたい。

●沢山色々教えて頂いてゼミに持ち帰って試してます。割りばしを使いながら工夫して楽しみたい。

●落とすダーツは簡単そうで難しかった。今後は真剣にダーツをやってみたい。凄く楽しかった。

●体力的に体操が一番きつかった。割りばし、オセロを的に入れる、ダーツを指すのは脳性麻痺にとって指先を使って何回も同じ動きをする一番難しいことだが、皆とやることで楽しくできるのが自分の性格に合ってる。自分の中の、これは苦手だからできないという概念が覆された。

●ダーツは左半側空間無視あるので脳バランスのトレーニングに凄くなった。相談受けてる同じ疾患がある方に割りばし入れをやってみたい。

(見学者)

●音楽と合わせて体操すると楽しい。ただ体操するだけではウキウキ感がない。ダーツでは最初に、なぜ割りばし割りをしたのかと思ったが、ちゃんと目的をもってやっている。小さいオセロ入れも。参加して楽しかった。

●津軽三味線の生の音源はダイレクトに響いてくる。三味線の力強さが楽しかった。音楽の力で体操することでテンション上がる。ダーツは落とすことが凄く斬新。重力の力を利用することで色々なやり方が工夫できる。色々なところに展開できると思った。ゼロワンルールは頭を使いながら狙って落とす、メンタルも鍛えられる。色々な要素がありとても楽しく考えさせられた。

(学生)

●三味線に合わせて体操することや、上から落とすダーツだったり新しいアイデアがいっぱい見つかって凄く刺激になり、勉強になった。自分自身も凄く楽しめた。

●音楽に合わせて体操やるのは他でも聞いたことはあるが、生演奏でやるのは初めて。歌詞に合わせ身体を動かすのがおもしろい。ダーツは2年前施設入所時にやった。指先で投げながら放す動作が難しく、結果マジックテープで付ける簡単なやつしかできなかった。面白くなかったイメージがあったがダーツの概念が変わった。障害があっても投げれなくても落とせばできるという新しい見方ができたのが凄く勉強になった。

●三味線40分は長いと思ったが短く感じた。座りながらでも音楽に合わせて全身体操できるのがとても素敵だと思った。今、自分も指導実習でダンスを教えてる。身体を大きく動かす意識づけがなかなかできてない。今日の体操を活かしたていきたい。上から落とすダーツは新鮮で面白かった。こういうダーツもあると勉強になった。

(スタッフ:理学療法士)

●プログラムの中でも色々な要素(リハビリ)があってとても工夫されてると感じた。こういう工夫は他にもあると思うのでもっと知りたいと思った。

(国リハ 梅崎教官 総評)

●三味線は聞くもの、ダーツは壁に向かって投げるものが一般的だが、少し工夫させることで概念が変わる。

(医学管理 伊佐地先生 総評) 

●三味線生演奏はCDより良い。凄くいいプログラム。ダーツは、色々なオモチャ的なのは沢山あるが本物を使うのが良い。目と強調動作、空間認知、立位 座位バランスのトレーニングにもなる。非常に色々な要素があり工夫すると色々なバリエーションができる。まさにリハビリスポーツの概念に使えるし、誰でもできる種目になる。どんな種目も皆で工夫すればできるという事が知れるチャンスだった。


(御礼)

今回も本当に多くの方々の力で事業が実施出来ました。合同会社アダプテッドスロースタッフの皆様には、わざわざ横浜からお見え頂き素晴らしいプログラムの提供いただき心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。来月から2カ月間、国リハ学生の実地研修も兼ねたプログラムの実施になります。事業も残り3回となり、いよいよモデル事業から実践へと具体的にするために日々動いています。この事業を多くの方々に届けることが、協力して頂いている皆様への恩返しだと思っております。引き続き宜しくお願い致します。

鮎川地域共生コミュニティ研究所 所長 鮎川雄一

【画像協力】木村理氏


スペシャルサンクス!合同会社アダプテッドスロー スタッフの皆様

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オフショット!

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集合写真!【画像協力】木村理氏

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