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エネルギーと競争について考えよう。

深津さんが競合について面白いことを書いていました。
孫子語りて曰く、戦争は悪手
現代においても、競合他社との競争は最終手段、とのこと。

さて、電力(原子力)業界ではどういう競争が考えられるでしょうか。

電力にみる競争

視点その1:電源の競争
電力供給の方法、つまり電源の種類は火力、水力、原子力、再エネなどがあります。
電力は蓄えておけないので、電力需要に合わせて発電する必要があり、それがやりやすいように電源を組み合わせる必要があります
ここで考慮されるのは以下のような項目。

 ○環境負荷:二酸化炭素排出量、建設時の自然破壊、騒音など。
 ○負荷追従:電力需要が変動したときに出力を調整しやすいこと。
 ○燃料供給:燃料の供給しやすさ。石油は中東情勢の影響が大きい。
 ○発電容量:でかい発電機があると停電しづらくなる。
 ○経済性 :高いと誰も使わない。

火力は負荷追従性がいいので需要に合わせやすいんですが、二酸化炭素排出量が多い。そこで原子力や水力のような一定出力を出しやすいものを土台にしつつ、火力で需要変動に合わせる、ということが行われます。再エネはクリーンなんですが出力が安定しないので、安定電源として期待しづらいことが多いですね。要するに、現行の電源はどれも欠点がある。

電力構成

ここでは(今後の開発次第ではありますが)いかにクリーンな(二酸化炭素を排出しない)電源の競争力を高めていくかが重要です。

各電源は今後どうなるでしょうか?
水力
クリーンエネルギーですが、開発可能な立地が限られているので、今後はあまり伸びません。
火力

高効率化が進んでおり、投資効率がよくありません
あと、増やすと世界からバッシングされます。以前にも怒られていました
再エネ

クリーンエネルギーで開発の余地が大きいです。大きすぎます。
ぜひ頑張ってほしいところですが、主要電源として期待するには発電能力が低く、経済性が悪いです。実用レベルに到達するには技術的ブレイクスルーが必要です。
原子力
クリーンエネルギーで実用レベルまで開発が進んでいます
しかし福島原発事故以降、安全基準が厳しすぎるため経済性が悪化しており、かつ世論が厳しすぎます。現存の原発を全て動かしてもパリ協定の目標達成は厳しい(ここは要議論)ため、本当は小型炉の新設に投資したいところですが、。
開発や運転に携わっていた技術者が高齢になっており、もう数年で引退してしまいます。すると技術力が大きく低下すると見込まれるため、早々に方針を転換し、投資を開始しないと国内技術は実用レベルでなくなる可能性があります

結論
水力火力は現状維持、原子力は衰退、再エネの開発が夢のように進めば主力として活躍できるでしょう。
まともな競争は起きず、消去法で選ばれた再エネの開発は追いつかず、数十年は火力への依存度が高いままになるのではと悲観しています。
目先で使える、かつ拡張の余地があるクリーンエネルギーは原子力だと思いますが、どうやらなかなか風向きは厳しいようです。
みなさん、エネルギーについてはよくよく考えてみてくださいね。

視点その2:電力自由化による競争
電力自由化という制度が導入されたので、これまで電力会社が寡占していた市場に競争が発生しました。
しかし、電力は差別化しづらい商品ですし、規模の効果を効かせられるため、結局大手電力が強い状況が続いているようです。

電力市場は、単に発電して売るというだけでなく、オークションの仕組みを使って売り買いがされるようになっているので、戦う場所はあるようですが…正直、あまり電力市場では良い競争が生まれないと思います。
むしろ、大手が競争のために体力を使ったので、原発停止のダメージと合わせて、電力供給の足場が揺らいだのでは?と思います。電力会社が苦しくなると、電気代として家庭や企業の固定費を増加させることになります。
数十年のスパンで考えたときに、日本の電力は安くて安定、という信頼は失われる可能性があります。
もちろん、そうしないように我々が頑張るんですけどね…。
こちらはなかなか業界外の人が関与しづらい問題なので、そういうことが起きているんだな、とだけ覚えておいてください。

まとめ
 ○電力業界は競争がうまく働く状態ではない。
 ○将来性には不安があり、かなり気合いを入れた投資が必要。
 ○私もいろいろ頑張るので、すこし時間をとって考えてみてください。



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