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【感想メモ】ニューQ ISSUE03刊行記念イベント『”哲学する”とは何をすることなのか?』(at 代官山蔦屋書店)

哲学を研究している人たちが、『哲学すること』を問い直す極限イベント。

今日も元気に感想文!

登場人物紹介

小手川正二郎(こてがわ・しょうじろう)
1983年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了。博士(哲学)。レヴィナスをはじめとするフランス現象学の研究から出発し、性差・人種・親子・難民などの問題に取り組んでいる。著書に『現実を解きほぐすための哲学』(トランスビュー)、『甦るレヴィナス』(水声社)、共著に『フェミニスト現象学入門』(ナカニシヤ出版)など。

ゴリゴリに哲学をやっておられる方。
現象学とは ”一人称的観点から、価値判断を停止し地震のあるがままの経験を記述することで、世界を明らかにしていく哲学の方法論"。(ニューQ ISSUE03より抜粋)
それまでの哲学が自身に注目せずに抽象概念ばっかり取り扱っていたので、「自分が出会っている現象にちゃんと注目しようよ」としたのが現象学、という理解でいいですか?わからん…なんも…。

清水淳子(しみず・じゅんこ)
1986生まれ。2009年 デザイナーに。横断的な事業を生むためのビジネスデザインに携わる。2013年グラフィックレコーダーとして活動開始。同年、UXデザイナーとしてYahoo! JAPAN入社。2019年、東京藝術大学デザイン科修士課程修了。現在、多摩美術大学情報デザイン学科専任講師として多様な人々が集まる場で既存の境界線を再定義できる状態 “Reborder”を研究中。

デザイナーでありグラフィックレコーダー。
グラフィックレコーディング(以下、グラレコ)は議論をリアルタイムで描写する技術であり技法。
学術的な哲学は他の参加者より後発ぽい。

永井玲衣(ながい・れい)
立教大学兼任講師。専門は哲学・倫理学。哲学研究と並行して、学校・企業・寺社・美術館・自治体などで哲学対話を幅広く行っている。哲学実践書の執筆、哲学エッセイの連載なども行う。連載に、『晶文社スクラップブック』「水中の哲学者たち」、『HAIR CATALOG.JP』「手のひらサイズの哲学」、雑誌『ニューQ』(セオ商事)などがある。詩と漫才と植物園が好き。

哲学プラクティショナー。ニューQ編集部。
学術的にも、実践的にも哲学をやっておられる方。
エッセイの文章がとてもよい。

今井祐里(いまい・ゆり)
上智大学大学院哲学科博士前期課程修了。在学中より、学校や企業、地方自治体などで哲学対話のファシリテーターとしての活動を開始。自由大学で哲学対話の講座キュレーションや社会人向けの哲学コミュニティ「Questions without Answers」を主催した。前職を経てセオ商事入社後は、サービスの企画、UI・UXデザイン等のディレクションアシスタントを行う。哲学カルチャーマガジン『ニューQ』ではインタビュー、ライティング、編集を担当。人々が協同して問い、考え続けるための場づくりやチームメイク、ワークショップ企画が専門。

今回は司会進行。ニューQ編集部。
ファシリテーターが上手でらっしゃる。

という感じ。
考え続けている人たちがもっと考える会です。

なぜ哲学なのか?

哲学というものを語ろうとすると、どうしても小難しくなってしまう。

歴史に名を残す地の巨人たち。
ミレトスのタレスに始まって、ソクラテス、カント、デカルト、デリダ、ロールズ……

こうやって人名を並べておくだけで、哲学を避けさせるには十分だ。
猫にペットボトル。雀にカカシ。人に哲学。フィロソフィー!!

しかしこの会で考えようとしているのはそういう高尚なものではなくて、もっと実践的な、手元で使える哲学のことだった。
「家族で話せるような、家庭の哲学みたいなものが必要なんじゃないか」
「ずっと『手のひらサイズの哲学』ということを大事にしている」
わたしたちが哲学するというのはどういうことか。
大学にいるわけでもない、哲学書を読み漁るでもない。
それでも哲学をするべきなのか。

するべきなんだろう。

問う力、問い直す力、諦めない心

「でも、それってなんでなんだっけ?」
そうやって混ぜっ返すのは、ちょっとむずかしい。
問い直した瞬間「え?」「いまさら?」という言葉が、部屋のなかで浮かび上がる。

議論というのはトランプタワーのようなもので、積めば積むほど崩れやすい。
「でも、それってさぁ」なんて言葉で波風立てれば、あっという間に崩れてしまう。

登壇者のみなさんも、立場上問わざるを得ず、そして問うことで起きた緊張を感じたことがあるようだった。

でも、そういった場でこそ『哲学をする』ことに自覚的であるべきだ。
『哲学をする』ということに自覚的であることで、もっと問うこと、問い直すこと、そしてそれを諦めない態度が生まれる。

土台もっと崩せ

「問うことで、土台がもろくなる」
そう登壇者からあったように、問いがあると、今まで立っていた足場や土台が揺らいでしまう。
学会でいう「素人質問で恐縮ですが…」が怖いのは、自分の論の立脚点の、その根本を狙われるから。

わたしたちはいつも暗黙の土台に立っている。よく見えないまま。

大企業なら、慣習的に、形式的に決まった価値観がある。
資本主義は、優先すべき価値観を明示する。(もっと儲けよう!)
そしてわたしたちは、経験に基づいた価値観にしたがって、あらためて考えることなく生きてしまう。生きられてしまう。

それを問い直すことは、わたしたちの土台を揺らがせることになる。
それでも、これまでになく価値観が変わる現代。
そしてさらに変化が加速するであろう将来。
わたしたちは自らの土台を盲信することはできなくなってしまった。

だからこそ問うことが必要で、その手技が哲学にある。

問いを探し、問いを掘り下げ、形を変えてもてあそぶ。
実践の中で、変化を見定め乗りこなす。
その繰り返し、その過程でこそ見つけられるものがある。

というわけでぜひともイベントに参加してみましょう!

今ならまだ第3回に間に合います!
哲学を身近にするチャンス!
考えよう!もっと!大変だけど!

なんか書いてたらテンション上がって変な文章になりましたが、いい大人が集まって今更なことを考えるの、楽しいです。
お金と愛の関係とか。
嫉妬ってなに?とか。

東京大学哲学センターもいろいろやっているので見てみよう!

注:講義が聴きたいか、対話がしたいか、好みに合わせて選びましょう。

ご覧いただきありがとうございます! 知りたい内容などあればご連絡くださいね。