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福島原発から処理水が海洋放出されるの、なんかこわい…というそこのあなた!

福島原発での事故後対応により発生した排水を処理した水(以下、処理水といいます)を海洋放出することについて、協議が進められています。

処理水って何?

処理水は『汚染水』と混同されて語られることがありますが、別のものです。

諸々の対応で発生した、放射性物質を含む排水。これが汚染水。
汚染水を(簡単に言えば)濾過して放射性物質を除去した後の水。これが処理水。

汚染水を濾過する際に使われたフィルターにはそれなりの放射性物質が付着していますが、それはきちんと濾過できている、ということでもあります。
濾過後の処理水に含まれる放射性物質は少なく、海洋放出したとしても人体影響は十分に小さいことが試算されています。

詳しくは以下リンクを読んでみてください。

なんで放出するの?

処理水は福島原発のそばに貯められていますが、たまり続ける一方なので、アホみたいな量(2019年時点で100万m3を超えたそうです)になっています。

これがあることで、福島原発の敷地が埋まってしまい、他の作業をするためのスペースが無くなってしまいます。
すると、福島原発の廃炉作業が遅れてしまい、余計なリスクを増やしてしまいます。

余計なリスクって?

福島原発は安定した状態ですが、例えばもう一度大規模な自然災害を受けるとか、人為的な妨害行為(爆発物が持ち込まれたり、デブリを盗まれたり)を受けるリスクがあります。

もちろん、2011年の事故のような大規模な放射性物質の放出が起きることはありませんが、放置することで生じるリスクもあることは認識しなければなりません。

海洋放出は安全なの?

まず、安全か危険か、という二元論は非常に危険なのでやめましょう。
100%の安全も、100%の危険もありません。

それを理解していただけたと期待して言うのであれば、安全です。

放射性物質の量は測定によって明らかにできるので、ごく少ない量は海洋放出しても有意な健康被害は見られません。
これは、自然放射線(宇宙線など日常的に浴びている放射線)や、既設原子力施設からの海洋放出の実績(世界中の原子力施設はごく少ない放射性物質を日常的に海洋放出しています)から明らかです。

もちろん濃度管理は必要です。
車の排気ガスが放出されることを気にする人は(ほとんど)いませんが、車のマフラーに口をつけて排気ガスを吸っている人を見かけたら止めますよね。
いや、そんな人には近づきたくないかもしれませんが、止めてあげましょう。

じゃあ海洋放出の何が問題なの?

大きな問題は、風評被害です。

福島は良い海産物の産地ですし、漁業も復興が進んでいます。
(漁業が一時停止したことで、魚がよく育っているという記事を見たような気がしますが…見つかりません)

ここでまた、「処理水が放出された」という報道がされれば、十分な知識がない人に不安が生じる可能性は否定できません。

というわけでSNSなどで海洋放出を否定するそこのあなた!!!!

あと適当な報道をするメディア!!!!

風評被害を生み出すのをやめろ~~~~!!!!!!

「海洋放出は良くない!」
「説明が十分ではない!」
「風評被害のリスクがある!」

やめろやめろやめろ~~~~!!!!!!
その発言こそが風評被害を発生させていることに気づいてください!

無関心層は中立な態度で、放っておけば気にしないでしょうが、一部の人が過剰に騒ぐことで(よくわからないけど変な評判を聞いたことがあるな…)と考えるようになってしまい、福島の海産物を買い控えてしまいます。

それを!

生み出すのが!

適当な海洋放出批判じゃろが~~~~~~~~~~~~い!!!!!!!

そして、先に述べたとおり、海洋放出せずにタンクを置いておくことにはリスクが伴います。
海洋放出できなかったせいで処理水が放置されてしまい、そこで地震が起きてタンクの破損があった場合、薄めて捨てられたはずの処理水がそのまま漏れてしまいます。
そのとき、海洋放出を否定している人たちが何を言うと思いますか。

「ほらみろ、まだ福島原発事故は収束していない」

お前らのせいだろうが~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

もちろん、国や東電、あるいは原子力業界の中から、適切な情報公開やコミュニケーションを行っていくことは重要です。
しかし同時に、このSNS時代に、私たちがどのような意見を発信していくかも、とても大事です。

まとめ

海洋放出を否定する人の中に、正義があるだろうことは容易に想像がつきます。
海洋放出を否定する人の中に、どれだけ説明されても拭いきれない不安や恐怖があることも理解できます。

それでも、その気持ちを単純に表明してしまえば、多くの人が、長期に渡って傷つけられることになってしまいます。

原発事故からもうすぐ10年です。
少しずつでも、自分たちの力で、あの事故を過去にするための一歩を踏み出していきましょう。

#日経COMEMO #NIKKEI

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