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【日記#5】カフェで財布を落とした話
久しぶりに行きつけのカフェに行ってきました。
と言っても、人魚のマークのお店ですが。
もう栗の季節ですか。
すっかり秋ですね。
イチョウも少し黄緑色になってきましたし、
道路が銀杏くさくなるのも、あと少し。
あのカフェ、私が中学3年生の頃からよく通っているんです。
だから、オーナーさん(?)とは顔見知り。
と言っても、すごく話すわけでもなく、会えば「いつもご利用ありがとうございます」と声をかけてくれるだけなんですが。
でも、そういう、ちょっとしたひと言でも嬉しいんだけどね。
そこには、色々な思い出が詰まってる。
予備校が嫌で嫌で、無断欠席してそのカフェで勉強した。
カップルの別れ話を聞いた。
昔の友人と再開して大学受験の結果を報告し合った。
成人式終わりに振袖のままお茶した。
中でも、一昨年の夏のことは一生忘れないと思います。
あれは、たしか7月上旬だったと思います。
大学のレポートが終わらなくて、でも家では集中できなくて、あのカフェに行ったんです。
アーモンドミルクラテが好きなので、おそらくその日も飲んでいたのかも。
着々と課題を進めていると、隣に座る男性がチラチラとこちらを見てくるんです。
はじめは「え?見てる…?💧」と少し怖かった。
「早く終わらせて帰ろ…」と、目線を無視しようと思いました。
けど、「もし、今私が座ってる席があの人の特等席だったら…!?」とか、考えちゃって気が気じゃなかった。
その間も、その方はスマホを見ながら首を傾げたり、こちらを見たり…
徐々に耐えきれなくなって、「いっその事こちらから声をかけようか」と思いました。
その矢先、その方がスマホを見せてきたんです。
『財布落ちてます。
盗まれると危ないですよ。』
確かに死角になっているところに財布が落ちていました。
その方は、私に言うべきかどう言うべきか迷っていたようでした。
財布を拾って、その方に何度もお礼を言いました。
そして、再度課題に取りかかろうとしたとき、
『少しお話しませんか?』
正直、「え?」とはなりました。
初対面の男性が、お話しようなんて言ってくるのは、少々危ない気が…と。
でも、もともと人と話すことは好きですし、Noが言えないタイプなので、OKしました。
『僕、耳が聞こえないんです。』
『だから、携帯に書きました。』
聴覚障害のある方とコミュニケーションをとるのは初めてでした。
携帯を使った筆談(?)は、新鮮で、さっきまでの警戒心は何処へやら。心から楽しんでいました。
彼からは、この業界では知りえなかったことや手話も少し教えていただいたり、色んなことを学びました。
もし、あの時財布を落としていなかったら
もし、あの時カフェに行っていなかったら
あの人と話さなかったでしょう。
これからも人との出会いは大切にしていきたいものです。
では、また。
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