#2 マーケティングって何?
DMS(デジタルマーケティングセクション)が設立されて1週間。リモートワーク化が進む自社へ久しぶりに出社し、唯一の部下柏木くんのデスクに向かう。
営業の引き継ぎをしている彼は、週の半分以上は出社して後任の新入社員に指導をしているのだ。
柏木くんのデスクにはキレイな本が一冊。
私「柏木えらいじゃん!ちゃんと本買ったんだねー。まだ開いてもいないみたいだけど」
柏木くん「違うんです!違うんです!これからちゃんと!!!」
新人君「柏木さん、すごい勉強してるってぼくらに言ってくるんですよー」
私「ふーーーん・・・」
柏木くん「いや、本当、まじでこれからです!」
この子のこれからはいつからなんだろう?
数日後
柏木くん「Boss本読みました!多角的に考える種類が何となくわかりました!あと、3Pとか4Cとか分析して・・・」
こいつ言葉だけ追っているな。そして、その言葉の覚え方もめちゃくちゃ・・・。
柏木くんだけではなく、最近わたしが、接した子たち(若い子とは言いたくない)は全体像を掴むことからではなく手段から知りたがるし、覚える傾向にある気がする。『木を見て森を見ず』を地で行っているような。
私「ところで、マーケティングって何となくわかった?」
柏木くん「まあ、何となく・・物をどうやって売るか調べて・・その仕組みづくり・・・PDCAを回して・・・」
言語化が苦手なのも特徴。
しかし、マーケティングという言葉だけ調べると、それらしき難しい言葉がたくさん出てぼんやりとしかわからないかもしれない。最近ではデジタルマーケティング、Webマーケティング、O2Oマーケティングなどなど細分化されていて、その手法が当たり前にある時代にある子たちにとっては、親のマーケティングを理解するには実践し、体感したことを「これがマーケティングだよ」と伝え続けることが非効率的に見えて一番早いような気がする。
いや、これは若い子だけに限らず、最近のマーケティングブームのせいか、年配の方に
「マーケティングって何でしょうかね?」
と聞くとWikiの言葉をそのまま返してくる人も少なくないな。
マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。 また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。
出典:Wikipedia
そんなことをぼんやり考えていたら、柏木くんに確信を突かれる。
柏木くん「Bossにとってマーケティングとは何なんでしょうか?」
私「そうだな・・・私がマーケティングを説明するとしたら・・・
生活者が本当に欲しいもの、無意識に欲しいと思うものを見つけて、気持ちよく手に入れてもらう方法で届けることかな?」
柏木くん「深いっすねー」
わたしの定義がふんわりのせいか、柏木くんの返事は浅い。
私「生活者の欲しい!って年齢や、時代や、もっというとその時の自分の状況によってどんどん変わるわけじゃない?そう思うと、マーケターって常に考え、行動して、検証していかなくてはいけないんだよね。それが楽しくてやめられないんだけど♪」
柏木くん「PDCAですね!」
その言葉使うの待っていただろ・・・。
柏木くん「Bossくらいになっても勉強とかってするんですか?自分が何行っても答えてくれるし、雑談しててもポンポン企画が出てくるじゃないですか?」
私「マーケティングに限らないかも知れないけれど、勉強は常にしていかないとダメだよね。トレンドから置いてかれるもの。昔の手法しか知らないのは、おじさんの若い頃の武勇伝と同じくらいダサいよ。ただ、基礎を知らないことには応用も利かないし、Webだ、デジタルだって言っても手段を覚えるだけで人を動かすマーケターにはなれないと思っている。」
柏木くん「深いっすねー」(本日2回目)
柏木よ・・・どこを深いと感じて、自身の行動にどう活かすのか言語化してくれ。
マーケター見習いの柏木だけど、もう入社4年目。会社にいる時間を勉強にばかりに使わせるわけにはいかない。実践で覚えてもらうようにしなければ。
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