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海育ちのおじいちゃんの骨が太い

うちのおじいちゃんは東北の田舎の漁師の次男坊で、ああいうところは長男は跡取り、次男・三男はスペア、それ以降は働き手といったところ。三男までには名前に代々受け継がれている字を入れる。字が入ってない兄弟は6人いる。…めっちゃ子供多いなー。

無事長男が跡取りとして納まったので、おじいちゃんは北海道に居を移してずっと漁業に関する仕事をしていた。

私も幼少期は夏休みのたびに北海道に行っていた訳だけど、そういう訳なのかなんなのか、ジンギスカンとか牛肉とか、肉の類は食べたことがなかった。
どこからか供給される、イカ・イクラ・ウニ・カニ・ホタテ。あとは家の畑で取れたトマトととうもろこし。
実は魚はあんまり印象に残っていなくて、でも毎朝刺身とすじこが出ていた上で、おじいちゃんだけ焼き魚もついていた気がする。

おじいちゃんは晩年ずっと循環器が悪くて、ペースメーカーを入れたり透析をしたり、いかにもな患者さん像になっていた。あれはやっぱり塩分の取り過ぎなのかな。

醤油なんてもってのほかだったけど、食べないで後悔しながら死ぬより食べさせた方がよかろうということで、まだ自分で食べられる時は毎晩ホタテの刺身にちょっとだけ垂らして食べていたらしい。

ぴんぴんぽくりなんて夢のまた夢で、ちょっとずつちょっとずつ具合が悪くなっていっていて、
その間におばあちゃんとの大恋愛をワープロで書き起こし、しっかり完結させてから死んでいった。

おじいちゃんの葬儀には東北の親戚もたくさん来ていて、おばあちゃんと入る用と東北の実家に入る用、骨壷を2つに分けるということだった。分骨というやつらしい。

焼き上がりしっかり四肢もあばらも残っている。2つの骨壷いっぱいに納まった。

先日、義家族方の、同じく漁師出身の方の葬儀に出席してきて、
葬儀屋に普通の人の3倍は骨が残っている、と言われた。
こちらは骨壷は1つだったので、それはもうみっちりしていた。

と、いうことで我々は塩分には気をつけつつ、魚をたくさん食べて、骨太に生きようと思うのであった。海なし県に住んでしまっている訳だが…、
機会があれば海沿いでも暮らしてみたいものである。



おわり。

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