見出し画像

損保4社が政策保有株6.5兆円売却へ! そもそも政策保有株って何?? 徹底解説。


損保大手4社
  • 損保が政策保有売却に至った背景は?

  • そもそも政策保有株とは?

こんにちは、雨不足の場合です。現役東大生です。あり余った時間を使って、今日も経済ニュースの解像度を上げていきます!

本日取り上げるのは、こちらの記事。
2月28日、損保大手4社が約6.5兆円分の政策保有株を段階的に売却することが明らかになった。

なぜこのような事態になったのか?そもそも政策保有株とは?
そんな経済のギモンを今日も紐解いていく!!!


NEWS

損保大手4社(東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険)は、29日に金融庁に業務改善計画を提出する。その中で、政策保有株の売却を進め、中長期的にゼロにする方針を盛り込むようだ。有価証券報告書で公開済みの政策保有株は、銘柄にして6000社、株式評価額は約6.5兆円にのぼるという。(日本経済新聞)

一般的に、株式の大量売却が発生する場合、需給悪化により株価は下がる。今回は時期を分散して段階的に売却する方針のため、株価への影響は限定的と見られる。しかし損保が有力株主となっている企業は売り圧力に押され、上値が重くなる展開になることが想定される。一方、損保大手は、政策保有株売却による資本効率の改善や、売却益の使用用途などが注目され、投資家から好感されている。


このような事態になった背景は?

−企業向け保険にて水面下に行われたカルテル問題

事態の発端は昨年末の損保カルテル問題にさかのぼる。昨年12月、公正取引委員会は、損保大手4社を独禁法違反の容疑で立ち入り検査をした。企業向け保険においてカルテル(複数の事業者が競争を避けることを目的に価格協定をすること)を結んだ疑いだ。

損保各社がリスクを分担して保険契約を引き受ける「共同保険」において、顧客企業との契約更改時に、あらかじめ保険料水準を各社で調整していたのである。関係者によると、共同保険における事前調整は2013年頃には始まっていたようで、コスモ・シャープ・京成電鉄などに対する保険料で、事前調整を繰り返した疑いがあった。独占禁止法はカルテルや入札談合を「不当な取引制限」として禁止しているため、これは法律違反となるわけだ。

共同保険では、契約を受ける損保会社が主幹事と非幹事に別れる。事故対応において中心的な役割を担う主幹事はリスク分担が大きくなるため、それ相応に保険料収入も多くなる。本来はここで契約先企業に主幹事に選んでもらえるよう、より良い条件を提示するなどの自由競争が働くはずである。

しかし実際にはそのような競争は働いておらず、損保各社の政策保有株式の保有状況が、各損保のシェア配分を決める上での要素になっていた。つまり政策保有株が、正常な自由競争の妨げになっていた、というわけだ。損保業界は大手4社の企業向け保険のシェアが9割という寡占状態が定着している。共同保険の引き受け手はおのずと限られ、調整行為が発生しやすい土壌が形成されたのである。

そもそも政策保有株とは?

−経済成長期の日本が産んだ悪しき商習慣

政策保有株は、企業が純粋な投資目的ではなく、取引先との関係維持や買収防衛などの経営戦略上の目的で保有している株式を指す。これは1960年代ごろから広まった日本特有の概念で、企業間で株を相互に持ち合う「株式持ち合い」が一般的であり、場合によっては片方の企業だけが保有することもある。

この制度は資産の有効活用を妨げるだけでなく、「モノいわぬ株主」が存在することで企業統治(コーポレートガバナンス)の形骸化を招く弊害があり、これに対しては海外投資家を中心に批判が集まっている。

戦後、旧財閥系の企業グループが結束を高めるために始めたとされ、グループの中核である銀行を中心に持ち合いが急速に進んだよう。90年代には上場株式の時価総額に占める比率が3割を超えたが、その解消が進む契機となったのがバブル経済の崩壊だった。保有株の下落により損失が膨らみ、金融機関を中心にして保有株を手放す動きが広がったのだ。

野村資本市場研究所によると、上場企業の株式保合比率は2023年度で11.5%で、時価総額に換算すると100兆円規模にのぼると見られている。今回の損保大手4社による政策保有株売却は、日本の悪しき商習慣である「株式持ち合い」を解消させるきっかけになるかもしれない。

最後に

損害保険は、実際に発生した損害額を保険会社が評価し、その金額を保険金として支払う実損填補の方式である。加入者と保険業社で情報の非対称性があるため、保険会社としてはその信頼性がビジネスの根幹である。
ビッグモーターの事件も含め、不祥事が明るみになった保険業界は今、自らを見つめ直す重大な局面に立っていると言えるだろう。
今回の政策保有株売却を端に、保険業界は悪しき経営土壌を脱し、業務行動が改善することに期待したい。

この記事が少しでも学びになれば、いいねとフォローお願いします!
学生の私の励みになります…泣

(参考引用:日本経済新聞)

presented by 雨不足の場合
経済・株式投資に専念する現役東大生です。有り余る時間を活用して、皆さんの経済への解像度を上げるお手伝いをしたいです。今日も昨日より少しだけ賢くなって資本主義に立ち向かいましょう。
資本主義を勝ち抜くのは、いつだって堅実な冒険家。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?