ep.3 自由な恋のための説教


恋にルールはない。
国境も、性別も年齢も次元も、時も超えていく。そして、それらすべてが掟破りということはなくて、誰かにとっての「普通」は、別の誰かにとっての「特別」だからこそすべてが受け入れられる世界にならなければならない。
ただ、法律で守られている年齢のうちは、恋心よりも大切なことを守らなければならないものがあるということで、制限されることがある。
そういう、常識の範囲内での中で、みんなが恋をしているわけだ。


もしも恋のルールが一つあるとするなら、これだ。

「ぜったいに、他人の恋を笑うな」


自分と違うものを見た時に、人は多くの疑問をぶつけたがる。
LGBTの権利・性の多様性について、多くの人が自分の考えを持って発信できるような世の中になった今、そういう「自分たちとは違うものを抑圧し、除外しようとする動き」のようなものが、権利運動とは反比例的に目立たなくなってきている。(もちろん、目立たなくなっているだけであって、個人の考えに関してはそのままかもしれないがそれはどうしようもない)

自分と違うものを、笑いものにしたり、自分達と比較したりすることほど意地汚いことはない。
そういう人は、目の前にある事実にしか興味が湧かないのだろう。例えば、その二人がどのようにして恋に落ちたのかだとか、どんな恋をしているのだろうかとか、二人が実らせた想いについてはなにも興味がないのだろう。目に見える範囲の、浅いところで人を見る癖がついているのだろう。

自分と違うアイデンティティを持っている人に対して「優しくしろ」とは言っていない。
ただ、ごく普通のことをしたいだけだ。私たちや私たちの子孫が、これから先もルールのない自由な恋愛が許されるように、目の前にある恋を笑わずに認めるのだ。
世の中に、「自分には関係ないだろう」なんて事は一つもない。すべて、明日の自分なのだ。誰かの恋を笑っている自分がいるのなら、明日の自分は誰かに大切な恋を笑われているかもしれない。


自分の・他者の大切なものを守るための生き方って、こんなにも簡単そうなのに、時にとても難しいと感じることがある。きっとそれは、自分の中に「殻が割れかけのたまご」があるからだろう。
分かろうとはしている。けれど、その先が分からない。それを許してしまった先のことが分からない。
分からない人にも、分からないなりの苦しさがあるのだろう。


けれど、そんなたまごの殻を破って出てきた先には、あなたがこれから遺すかもしれない大切な命や、あなた自身が生きる人生が、少しだけやりやすい世界が待っていると思う。

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