言葉を持つこと

現代社会において、「ぼくは、私は〇〇だと思う」「僕は、私は反対です」と、意見を言ったり、反対をすることは、ハードルが高いが確実に必要とされていることである。

しかし、世の中には「言葉にするまでに時間がかかる人」というのがいて、今日はそういう人へアドバイスを送りたいと思う。ちなみに私は、頭に浮かんだことを言葉にするまでにとても時間がかかる。ただ、話し言葉の場合に限られるので、こういった文章構成にはあまり困ったことがない。


言葉にするということは、自分が頭の中で考えているものを言語というもので具現化することで他者に表現するということで、コミュニケーションの代表格とも言えるだろう。言葉にするまでのスピードが速かったり、自らが考えていることを相手を刺激せずに巧みな言葉を使って話をする人は、コミュニケーション能力が高い。そして、口がうまいと言われる人種の人だ。
社会に出て、きっと飛躍するであろう人はこういうタイプなんだろうが、この「相手を刺激せずに巧みな言葉を使って話ができる人」というのはかなり少数に限られてくるだろう。
なぜなら、「他者」というのは毎回対象が違って、同じ人物ではない。昨日話したAさんは、物分かりが良くて明るい性格だったが、今日話したBさんは物の飲み込みが悪くてどちらかというと理屈を並べたがるタイプだったりと、人それぞれの考え方の癖がある。私たちはその癖を捉えて、「どうやったらこの人に伝わるような話し言葉にできるかな…」と創意工夫しながら、会話を成り立たせているんだと思う。
どこのサークルにも一定数「あいつに何言っても無駄だよ。分からず屋だから」と言われる人が生まれる。きっとそう呼ばれている人は、はなから物事に関心がないんだと思う。関心がないものは分からなくて当然だし、そもそも分かろうとしないから。
しかし、それでは人間関係が破綻してしまう。が、そういう人はそういう人で、分からず屋さんを営んでいくうちにこの商売がどれほどウケないかというのに気づいていくんだと思う。それは年輪を重ねるごとに分かることであって、今説明しても関心がないから、分からない。

ここまでは、聞き手の話だ。
これからは、話し手の話に戻る。

そして、私たちはある程度話の分かる人たちと触れ合っていく。たまに、カチンとくる態度で人の話を聞く人間がいるが、あれは「分からず屋」なんじゃなくて、単純に「ぼく、私は分かってるから。」の、分かってますけど何か屋さんなんだと思う。多分それも全然ウケないし儲けが出ないから、やめた方がいい。個人的な感想が出てしまったので、話し手の話をしようと思う。

「言葉にするまでに時間がかかる人」は、前述のような分からず屋や、分かってますけど何か屋さんに過敏すぎるのである。過敏であることは時には良いことをもたらす。しかし、人と会話している時に関してはどうだろうか?言葉は出て来ず、目の前の聞き手の顔色や表情、仕草が気になって、「そもそもぼく、私の話なんか聞いてないんじゃないか」という境地に達してしまう。そして出る言葉は、考えていることより幾分も浅はかな言葉だ。私はこれで何度も失敗してきた。やり直せるものなら、その一つ一つの失敗すべてをやり直したい。

言葉というのは本当に難しいもので、取り消しができない。SNSの日々のつぶやきではないので、一端の人間が他人に伝えた言葉でさえ一生その「他人」の心に残る。
だから私たちは日々ちゃんと考えて、やっと捻り出しましたよっていう言葉を伝えるべきなんだ、本来は。
しかしそんなことをしていては時間がない。決められた例えば会議やディベートで、いちいち言葉を抽出していたら終わるものも終わらない。

ここで私たちに必要なのは、「語彙力」だ。
言葉をたくさん持つことだ。意味を知らないなら調べればいいので、気になる言葉はなんでも調べるという癖をつけたほうがいい。そして、間違ってもいいから使うといい。間違ったら、その言葉の意味は一生忘れないからどんどん間違えればいい。言葉を覚えるのは、意外と簡単だ。
そうすると、どんな他者であろうと、まぁなんとなく納得のいく会話ができるということに、私は最近気づいた。
本当は「まぁなんとなく」ではなく、ちゃんと抽出するべきなんだろうけれど、やはりそれどころではない日というのがあって、そういう時に使えるのは「単語のつながり」なんだ。
まずは単語の意味、そしてその単語がどう連なるのかを理解して、なるべくスマートに自分の考えを表現する。それには、一人の時間が必要だ。きっと、人の顔色を見てよく考えて話す人っていうのは「一人の時間がないと辛い」という人が割と多いと思う。ぜひその一人の時間で、まずは自分という人間について、沢山の難しい言葉、はたまた簡単な言葉を使って説明文を頭の中に浮かべて欲しい。そして「ここはなんか自分とは調和しない言葉だなー」と思ったところは、類義語を探して、別の言葉で補う。そうすると、ほら、あなたは言葉を新たに一つ覚えたことになる。

言葉を持つものは、他者を制す。
言葉を持たないものは、自らをも持たない。

そういうことなのではないかと、私は考える。

久々に長い文章を書いたので、拙くてテーマに沿っていないかもしれないが、もしも「考えを言葉にするまでに時間がかかってしまう!」という人がいたら、ぜひ語彙力を身につけてみて欲しい。

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