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恋に至る病

150人を自殺に追い込んだ女の子の話。
「彼女は誰一人として愛さなかった化物か、ただ一人だけは愛した化物かの物語であり、夜河景そのものを謎としたミステリーです」
とあとがきにありました。


ヒントは作中に散らばっているとのことですが、判断が私たちに委ねられるのであれば、私は誰も愛さなかった、完全な悪で貫き通してほしいと思う。大量の人を自殺に追い込むまで狂ってしまった人間でも、たった一人は愛していた、人間の心は持っていたんだ、なんて美談で終わってしまったら、あまりにも救いようがないと思いませんか。

それから余談ですが、小学生の自殺は珍しいことではない、と当たり前のように書かれていたことが、そのなんてことないフレーズが、ひどく心に刺さっています。事故や病気で人は簡単に死んでしまうのに、どうして死ぬことができないんだろう、と考えた時期がありました。死なないことは強さなのか死ねないことが強さなのか、とにかく理屈も理由もなくたって、人は死んでしまう。



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