見出し画像

悲しみも一緒にぜんぶ、煮込もう

悲しいことがあった。悔しいよりも、悲しみのほうが強くて、我ながら打たれ弱いなあ……と思う。いつの間にか、頑張るところを間違えていたのかもしれない。

(要するに今、私はだいぶ、傷心中です。)

こんな日こそ、料理をするのがいい。無心でおいしいごはんを作ろう。冷蔵庫にはちょうどいい感じの、豚のかたまりがある。

煮豚用のブロック肉が100g86円という広告を見て、先日気を利かせて買っておいたのだ。今になって思えば、この事態を予知していたんじゃないかという気もしてきて怖い。……いかんいかん。深い意味はない。全部、煮込んでしまおう。

気を紛らわすべく、写真もたくさん撮りましたんで、しばしお付き合いください。ちなみにレシピは私が敬愛してやまない料理家・藤井恵先生のレシピ本から「豚肉の酢じょうゆ煮」を参考にしています。お酢で煮込むことで、お肉がとろけるような柔らかさになる絶品レシピです。

画像1

豚肉どーん!冷蔵庫から取り出し、30分ほど常温で置いておきます。その間、私は湯船で体を温めます。

画像2

玉ねぎを丸ごとスライス。鍋に投入。大好きなにんにくは3かけ投入。水とお酢と醤油を入れて強火で沸騰させる。

画像3

沸騰したら、お肉をどーんと投入。改めて沸騰したら、中火にして40分のアラームをセット。たまにひっくり返しながら、とにかく煮込む。

画像4

その間に電子レンジでゆで卵を作る。最後に鍋に投入してタレに絡めるだけで、意外といい感じの味玉になる。

画像5

これが20分経過したもの。徐々に水分が減ってきている。このまま塞いだ気分も蒸発してほしい。

画像6

椅子に座ってほうじ茶で一服。ふぅ。

このイス(兼踏み台)も、かれこれ5年の付き合いか。今のマンションに住む前。一人暮らしを始めた時に、部屋の電球を取り付けたくて近所のドンキで買ったんだよな。まだまだ現役。いつも支えてくれてありがとう(尻に敷いてるけど)。

画像7

40分経過。ここで砂糖を大さじ1投入……なんだけど、ついうっかりを装ってもっと入れちゃう。甘味は、うまみ。さらに10分煮込む。

(ちなみに、さすがに砂糖が多かったようで、彼氏から「甘すぎ」と言われた。私は好き! と自己主張しておいた)

画像8

ここで伝家の宝刀、ロバート・デ・ニーロ法!(ゆで卵の殻むき)

横向きにして置いたゆで卵を手のひらで上下にコロコロ。殻がミチミチと割れて、えもいえぬ快感。それを水につけて剥くと、つるんといける。

鍋の火を止める。ゆで卵を入れて残り汁を絡ませるように箸で転がしたら、冷めるまでしばし待機。

画像9

午前中に仕込んでおいた「きゅうりのピリ辛酢炒め」を盛り付けておく。これも藤井恵先生のレシピ。出来立てよりも、しばらく冷蔵庫で寝かせてからのほうが味が沁みておいしい。

マイアレンジとして、たっぷりのしょうがとにんにく(ともにチューブ)を加えている。これだけで酒が進む進む。

画像10

お肉をなるべく薄くスライスして、お皿に盛り付けたら完成。

どろどろに溶けた玉ねぎをタレ代わりにつけて食べるのが美味!からしや唐辛子、粉山椒で味変してじっくり堪能した。最後の一口が名残惜しい。合わせたハイボールも、美味!

おいしいものを食べるって、しあわせですね

この言葉は、精一杯背伸びをしたレストランで、近くに座っていた老紳士がつぶやいていた言葉。それ以来、私のなかで魔法の言葉になってる。

たっぷり煮込んだ豚肉は、とってもおいしかったです。

***

今日作ったレシピは『藤井恵さんの体にいい和食ごはん』に収録されています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?