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人を笑顔にする新玉ねぎのトースター焼き

旬のものは、おいしい。そして安い。今ならやっぱり、新玉ねぎじゃなかろうか。

トースターで焼くだけでおいしい、というのは昨年の春に発見していたのだけど、旬が終わって、その感動もいつの間にか忘れていた。

しかし数日前、晩酌のつまみを捻出しようと冷蔵庫を開け、半分残っていた新玉ねぎを目にとめたとき、それ以外は考えられなくなった。

トースターの皿にアルミホイルを敷いて、くし切りにした新玉ねぎを並べる。その上にスプーンでオリーブオイルを適当にたらたら~とかける。

トースターのつまみを限界までぐりんと回して、待つこと15分。ちなみに温度設定もMAX。

ちょっと焦げてしまった端っこはよけて、アルミホイルからはがすように新玉ねぎを取り上げ、器にいい感じに並べる。塩とブラックペッパーをふりふりして完成。

その日は炭酸水を切らしていて、ウィスキーの水割りで。うん、合うね。いやきっと、どんな酒にも合うやつだ。

ああ、甘い。とにかく甘い。そしてホクホク、トロトロ。私はニンニクのホイル焼きが大好きなのだけど、あの“ホクトロ”をビッグサイズで味わっているような至福。酒もぐびっとよく進む。なにこれ楽しい。

しかしそんな幸せは心に留め、黙々と晩酌を楽しんでいると、同棲中の彼氏が一口ねだってきた。いつもは多少渋るのだけど、この独り占めはよくないな。「どうぞ」と差し出す。

すると、吹き出すみたいに彼が笑った。それから「うめぇ」と一言。

「なんもいらない。このままが一番いいね」

たしかに、そのとおりだと思う。去年はベーコンやピザ用チーズでアレンジしていたけど、そんなことしなくても、十分絶品だ。素材がいい、ってこういうことなんでしょうね。

(味にうるさい)彼氏を、一口で笑顔にした新玉ねぎ。恐ろしい子…。


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