![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/49279539/rectangle_large_type_2_215658e185180a2a7835b0561e937847.png?width=800)
#62 インスリンではない注射薬
こんにちは。
薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。
日々の業務で感じたこと、疑問、気づきをつづっています。
糖尿病で使われる薬を紹介してきましたが、そういえば1つ忘れていました。
「GLP-1受容体作動薬」
この薬は注射薬なのですが、インスリンではありません。
いや、そもそもGLP-1って一体なんなの?って感じですよね。
GLP-1は、食事による血糖上昇に応じて、膵臓からのインスリン分泌を促進する一方、血糖上昇作用のあるグルカゴン分泌を抑制します。
また、胃内容物排出を遅くし、かつ中枢性に過食を防ぐ作用もあります。
しかし、生体内ではGLP-1はDPP-4という酵素によりすぐに分解され、効果はすぐ失われます。
あれ、どこかで聞いた内容だな?と思った方はいますか?
そうです。
#56インスリンの分泌を促進する薬②で紹介した内容と酷似しています。
その時は、インクレチンというホルモンを分解する酵素(DPP-4)を阻害する薬がDPP-4阻害薬だよ、という感じでお伝えしました。
そう、この図にあるようにGLP-1はインクレチンの一種です。
○GLP-1受容体作用薬:GLP-1の構造を分解されにくいように変えたもの。
○DPP-4阻害薬:インクレチンを長持ちさせようとしたもの。
アプローチの仕方の違いですね。
GLP-1受容体作用薬は、毎日注射するものから週に1回注射するものまであり、それぞれで形状も異なり、使い方も異なります。
1日1回製剤は、インスリン製剤とほとんど同じような使い方ですが、週1回製剤は製剤ごとの個性が強いです。
オゼンピック®︎やトルリシティ®︎は、針が既に内蔵されていて、キャップをとり、注射部位に当てて押すというような感じで、操作が簡単です。
また、注入時に針が直接見えないような工夫がされています。
(詳しい使い方は、お近くの薬剤師までご相談ください。)
インスリンではない注射薬、GLP-1受容体作動薬。
糖尿病で使用する注射=インスリンのイメージが強く、勘違いされがちですが、インスリンではありません。
インスリンの分泌を促進する薬です。
つまり、インスリンが枯渇しているような状態(絶対的にインスリンを必要としているような状態)では、この薬はうまく働きようがありませんので、使用できないのです。
さて、今回は、「インスリンではない注射薬」についてお話ししました。
疑問や質問あればお気軽にご相談ください。
▷あやこのお薬相談室
みなさんのヘルスリテラシーが向上するためのお手伝いが少しでもできますように。
参考:糖尿病リソースガイド
薬がみえるVol.2
まるごと図解 糖尿病看護&血糖コントロール
引用:各種製剤写真
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?