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#60 糖の吸収・排泄を調節する薬②

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

さて今回は、糖の排泄を調節する薬についてです。

血糖値が高いということは、血液中にブドウ糖がたくさんあるということ。

ブドウ糖は、血流にのって腎臓に向かっても、再吸収されて血液中へ戻り、基本的には尿の中には糖分はないのです。

ただ、糖尿病の人はその名の通り、糖分が尿に含まれているような状態。
(再吸収しきれなかった糖が尿糖として排泄される)

昔の人はうまいこと名前をつけるものです。

ブドウ糖が再吸収されて血糖値が高いのなら、逆に尿糖としてブドウ糖をもっと排出できないのかな?

という感じで作られた薬があります。(多分そんな思考だと思う)

2 型糖尿病においては、高血糖状態が持続するとインスリン抵抗性やインスリン分泌不全が増 悪し、さらに血糖値が高くなる悪循環(糖毒性)が生じる。田辺三菱製薬は、この「糖毒性」 という概念に基づき、過剰なグルコースを体外に排泄することが血糖低下とエネルギーバラン スの是正をもたらし、糖毒性の軽減につながると考え、研究に着手した。
       ーカナグル®︎インタビューフォームー

ブドウ糖は、腎臓で尿を作る過程において糸球体という場所でろ過された後、尿細管にて再吸収されます。
(腎臓というか尿が排泄される仕組みって結構複雑。)

この再吸収にSGLT1、SGLT2というタンパク質が関与しています。

そのSGLT2のはたらきを阻害し、腎臓の尿細管でのブドウ糖の再吸収を抑制。

それによって、エネルギーとなる尿糖を体外に排出→血糖値が下がる

さらに、エネルギーを補うために脂肪を分解する→体重が減少する

と言われています。

ただ、浸透圧の関係で、水分は濃度が濃い方に移動するため、尿に糖が多くなる(濃度が高くなる)と、尿量が増えます。

特に飲み始め、トイレの回数が増えます。

そのため、脱水には注意が必要!!

また、尿に糖が多くなると、尿路感染症や性器感染症が起こりやすくなります。

つまり、高齢の方だと使いにくい。

実際、勤務先で高齢女性がSGLT2阻害薬を使用したら、尿路感染症になってしまいました。

さらには、脱水は以前お話ししたメトホルミンの副作用である乳酸アシドーシスを来たしやすいので、適切な水分補給(特に夏場!!)が必要ですね。

乾燥が皮膚にも表れて、湿疹が…なんてこともあるので、保湿もしっかりと。

あ、もちろん低血糖が起こることもあります。

やっぱり薬にはいい面と気をつけないといけない面とがある。

そんなことがすごくよくわかる薬、でした。

疑問や質問お気軽にご相談ください。
あやこのお薬相談室

みなさんのヘルスリテラシーが向上するお手伝いが少しでもできますように。

参考:薬がみえるVol.2
   まるごと図解 糖尿病看護&血糖コントロール 
   薬局で使える実践薬学
   糖尿病リソースガイド

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