【毎週ショートショート】伝説の安心感
僕は、ふわふわクリームと淡いピンク色の春爛漫な飲み物を持って、はやる気持ちを抑えつつ、歩を進めていた。
「えーと…苺ミルクフラッペMサイズの、ホイップ多め、チョコチップ追加で。」
注文するときは、少し恥ずかしい。
でもそんなことは些末な問題だ。
早く、幸せを手にしたいのだ。
大通りを抜けて、落ち着いた雰囲気のお洒落な石畳の通りに出る。
木製ベンチが、木陰にいくつも並んでいる。
見慣れた後ろ姿を見つけただけで、
口角が自然と上がってしまう。
そんな口元に喝を入れ、なるべく冷静に声を掛けるのだ。
「おまたせ。」
彼女が振り向いた。
ああ、僕はやっぱり口角が上がっていて、浮かれた声になってしまった。まあいいか。
大きな瞳が、僕を捉えて、そして弧を描く。
僕はふわふわホイップの幸せな飲み物を手渡す。
「ありがとう!」
この笑顔が、僕の究極の原動力であり心のオアシスなのだ。
僕は今日も、隣で彼女の柔らかい笑顔を堪能しながら、ホットコーヒーを啜る。
(409字)
ふわふわクリームの飲み物、2週連続登場です。私がス○バのフラペを半年ぐらい飲んでいないことが原因です。
イメージは自由が丘のあの大通りです。
天真爛漫な女子と、クールに見えて彼女にデレデレな男子がすきです。
それでは。
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