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24時間営業を辞めたコンビニ〜5月の経営数値の動向〜

 数日前の記事では、当店5月の「販売数値」の動向を書かせて頂きました。
 
 自店の経営状況を数字で振り返る際、私は「販売数値」「経営数値」という2つの視点を持つことにしています。

 分かりやすく言い換えれば、コンビニ経営における「販売数値=日販(売上)の分析」「経営数値=利益の分析」となります。


 この2つの数値はどちらもお互いに影響し合う、密接不可分の数字ですが、その2つの「バランス」をどのように取っていくかが重要であると考えます。

 2つの数値の「バランス」が現状どうなっているか、2つの数値のどちらによりウェイトを掛ける方針なのか、その方針は長期的な経営計画と合致しているか、そんな所を大事にしています。

 

 前置きが長くなりました。
 
 それでは、5月の当店の経営数値の動向です。


1.経営数値

◯日販
 ・前年比103,8% ・コロナ禍初年度比106,4% ・24H営業時比86,3%
◯客数
 ・前年比99,4% ・コロナ禍初年度比97,9% ・24H営業時比76,9%
◯客単
 ・前年比104,5% ・コロナ禍初年度比108,8% ・24H営業時比112%
◯人件費
 ・売上比6,7%
 ・前年比96,5% ・コロナ禍初年度比96,2% ・24H営業時比102,9%
◯廃棄額
 ・売上比5,5%(売価)
 ・前年比112,8% ・コロナ禍初年度比124% ・24H営業時比102,5%
◯利益
 ・48万円
 ・前年比141,5% ・コロナ禍初年度比64,8% ・24H営業時比54%


 ※当店において、「コロナ禍初年度」は同時に「時短営業開始初年度」となります。
 ※参考として、時短営業へ変更した際の日販への影響額は、「24時間営業時と比較して平均約8%低下する」と当時は試算していました。


2.項目別の分析

◯日販
 昨年と比較して4%弱プラス、コロナ禍初年度と比較して6%超プラスです。「コロナによるマイナス影響が和らいでいる」と仮定すれば当たり前かも知れませんが、対して客数の数値は全く異なる数字の動きです。

 「コロナが収まっても元には戻らない」・・・常にこの想いが頭をよぎる毎日です。だからこそ、「試行回数を増やし、客単を重視する」が当店の現在の基本方針です。


◯客数
 昨年と比較して横ばい、コロナ禍初年度と比較して2%マイナスです。日販の数字とは反対に、コロナによるマイナス影響が和らいでいる感じが全くしません。

 コロナ禍初年度の客数は月によってもアップダウンが激しかったことも影響しているかも知れません。それこそ目まぐるしく、コロナによる変化が起きた連続でしたから。

 一方で、コロナの影響とは別に、インフレによる購買意欲減の影響も新たに出てきている可能性もあります。

 「客数依存から客単依存へ」が当店の現在の方針ですが、そうは言っても「客数」は無視できない力をまだまだ持っている、というのが率直な感想です。

 多くの人が、新型コロナという感染症を、インフルエンザと同等に受け止めるようになった時、客数がどうなっていくかを注視していきます。


◯客単
 28ヶ月連続客単価増です。
 何も言うことはありません。
 この数字が下がってきたら、「おしまい」です。 


◯人件費
 親父オーナーもオカン店長も、歳を取りました(笑) 昔と同じようにシフトを埋めることは出来ません。また、「最賃の上昇」と「人手不足」による人件費増は、コロナ禍以前からトレンドでした。

 売上比7%弱は他店と比較して「平均的な」数字だとの認識ですが、経費全般について「平均だから良い経営状態」とは言えない側面が増えている印象です。つまり、「みんながヤバい」という状況ですね。

 24時間営業を辞めたにも関わらず人件費が平均並みの理由は、「時短営業を始める前の直近数年間の深夜シフトは経営者が埋めていた」こと、そして「スタッフの賃金をある程度高い水準で維持している」こと、さらに「客数依存から客単依存への変更にはコストが掛かる」ことです。

 当面は、「契約更新の時期まで耐える」ことを基本方針としています。数値の目安は「売上比7%以内」です。今月はクリアですね。


◯廃棄額
 売価で売上比5,5%です。この数字は、クソ高いです(笑) 経営陣もそれは認識しており、人件費と同様「契約更新まで耐える」が基本方針です。

 客数依存から客単依存へ「売る力」を変更しようとした場合、試行回数を増やす必要が出てきます。そして、それには必ず「コスト」が掛かります。「人」、「時間」、「金」、ですね。

 数値の目安は、「販売分類ごとの廃棄率10%」、そして両親2人の経営者が「目減りする利益の額をどこまで耐えられるか」、この2点です。5月も両親はまだ生きていますので、今月は後者はクリアです。

 前者については、分類ごとで強弱を付けることを基本としています。今後「伸び代」があるかないか、あると考える分類は廃棄率高め、ないと考える分類は目安の10%以内に抑える、といった感じです。来月からは分類ごとに細かく書いていきたいと考えています。

 ここまで読んで頂いた方はもうお分かりかと思います・・・つまるところ、当店の廃棄額は、平均と比較すると当然高くなります。重要なポイントは、「廃棄額がいくらか」ではなく、「どこまで耐えられるか」となります。


◯利益
 「48万円」です。経営者である両親2人が共働きで稼いだ結果が月給「48万円」だった、と見ることも出来るかも知れません。この数字の「良し悪し」については、個人の価値観によるでしょう。

 分析もクソもありませんが、「富める者はより富み、貧しい者はより貧しく」という現実があるのですから、この数字の最大化を目指すことは、店舗の経営上において重要でしょう。

 下を見ればキリが無いけど、上を見てもキリが無い・・・この数字に対する私の現時点での分析、というか感覚は、「あんま良くねぇなぁ」です。

 この数字を視る際のポイントは廃棄額とほぼ同様です。「どこまで耐えられるか」 そして、「何年後をゴールと設定しているか」です。



 それでは今日はこの辺で。

 このクソッタレな世界で戦う皆様と明日もともに。

 

 



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