24時間営業を辞めたコンビニ〜10月の販売数値の動向〜「デイリー品」

 「拡大均衡」と「縮小均衡」 そして「人口減」と「経費増」
 

 皆さんこんにちわ、あやすけです。

 
 「嫁にとって人生で初めての3病院掛け持ち通院治療生活」・・・先月から始まったそんな毎日の生活にも慣れてきました。と同時に、自分が通院治療していた遥か昔の事を想い出しながら、立場が真逆だったその当時の嫁の気持ちも、少しづつ分かってきました。

 こういう状況になって初めて他人の気持ちが理解できるなんて、人間とは本当に頭の悪い生き物ですね。


 一方で、私と嫁の二人がそんな目まぐるしい毎日を過ごしている事などお構いなしに、今日もお店はいつもどおり営業しています。明日も明後日も、来月も再来月も、何年も何年も、経営陣の生活の変化には見向きもせずに、あのコンビニはただただ回り続けます。


 それならば、一緒に回り続ける以外に道はありません。当たり前の事ですね。でも、たまに再確認しないと忘れてしまうんですよねぇ・・・なんせ私は、頭の悪い生き物ですから。



 それでは、デイリー品における当店10月の販売数値の動向です。



1.基礎数値

・日販
 前年比107%(105%)
 コロナ禍初年度比103%(99%)
 24時間営業時比92%(89%)
・客数
 前年比99%(102%)
 コロナ禍初年度比92%(92%)
 24時間営業時比80%(78%)
・客単
 前年比109%(103%)
 コロナ禍初年度比112%(108%)
 24時間営業時比115%(114%)
・買上点数
 前年比100%(99%)
 コロナ禍初年度比104%(101%)
 24時間営業時比105%(105%)

※当店における時短営業開始時はコロナ禍初年度です
※( )は前月の数値です            


 今年の4月から日販の前年比は100を超え続けていますが、その上昇度合いは8月の106%、9月の105%、10月の107%と頭打ちしている状況です。その原因は、コロナ禍からの回復傾向が続いていた客数が前年並で頭打ちしていることです。

 その客数に注目して視ると、8月に2年と8ヶ月続いた客数の前年比割れがようやく終わりを迎えた当店ですが、10月には早くも前年比を再び割りました。加えて言うと、コロナ禍初年度の水準には未だ遠く及びません。

 以上の事から、当店の経営陣は「客数の回復度合いはコロナ禍2年目の昨年並に留まる」ことを確定しました。

 今後はこの確定させた客数の予測に基づき、これまでと同様に「客単価」への取組みを引き続き重要なポイントとしながらも、8月から経営方針を変更した廃棄額の適正化、具体的には「廃棄額の売価を売上比4%以内とする」を目標に、経費のスリム化も同時進行で取り組んでいく方針とします。

 

 ・・・今この状況で、「売上至上主義」はリスクが大きすぎます・・・



 一方で、「本部」さんは相変わらずそのスタンスを堅持しているようです。だからこそ、チャージ率の変更にメスを入れることはせず、「売上を伸ばすことで加盟店の利益を確保していく」という、過去数十年に渡って継続してきた方針をこれからも取って行くことでしょう。現在のコンビニフランチャイズの「仕組み」が維持される限りは、立場上そう言い続けるしかありませんからね(笑)


 その本部さんの方針が成功だったかどうかは、10年単位の「未来」にならなければ分かりません。私に出来ることは、その行末を末永く見続けて行くことだけです。何故なら、私にとって本部さんとは、敵でもなければ、味方でもありませんから。



2.前年比upした分類

◯米飯→前年比122%(116%)
・「おにぎり→大幅up」
・「チルド弁当→大幅up」
・「弁当→大幅up」
・「寿司→大幅up」
・「御飯→大幅up」
・「こだわりおむすび→大幅down」

※( )内は前月の数値

 前月と同様、状況に変化はありませんでした。「客単価」と「付加価値」を重視した取り組みが数値に表れています。地区平均と比較しても大幅に優位な数値です。
 
 「こだわりおむすびを切り捨てる」というオーナーの選択も継続中です。米飯全体の販売数値と廃棄額を視る限り、その選択は正しかったと言えます。

 何も言うことはありません。数値が問題ない結果を示している以上、これまでと同様の取り組みを継続するのみです。


◯フライヤー→前年比111%(121%)
・「フライヤー→大幅up」
・「中華まん→大幅down」
・「おでん→取扱い無し」

※( )内は前月の数値

 前年比の数値が大幅にupしている状況は10月も引き続き継続していますが、その上昇度合いは8月の141%、9月の121%、10月の111%と減少傾向です。その原因は、8月から経営方針を変更した経費のスリム化による仕込み数の減です。

 「品揃えは売上に影響しない」「本部に騙されている」・・・昔からよく見かける意見ですが、実際の数値を視ると前者の言葉とは正反対の結果を示していますので、品揃えは売上に影響するのでしょう。後者の言葉については、自分がどう思うかという「主観」ですので、どうでもいい問題です。各個人が自由に考えればそれで良いと思います。

 経費のスリム化という観点から「費用対効果のスケール」を縮小することとした当店ですが、「フライヤー」という分類においても、その方針の結果が数値に表れています。その方針が成功だったと言えるかどうかは数年後にならなければ分かりませんが、現時点で決めた方針どおりに数値が動いていますので、状況が変わらない限りこれを継続するのみです。

 重要な点はどの水準まで「販売額」と「廃棄額」を落としていくか、となるでしょう。そのバランスの落とし所を見極めて行きたいと思います。


◯ペストリー→前年比113%(105%)
・「菓子パン→大幅up」
・「惣菜パン→大幅up」
・「NBパン→大幅down」
・「ドーナツ→up」

※( )内は前月の数値

 8月から前年比の数値が改善し始めた状況に変化なしです。特に惣菜パンの数値が好調であり、分類全体の数値を押し上げています。

 一方で、「付加価値」という観点からこの分類を視た場合、現時点ではペストリーに魅力を感じません。よって地区平均と同水準の数値を維持できればそれで良しとするこれまでの方針に変更はありません。NBパンもこれまでと同様に伸び代が無いと判断します。

 10月も地区平均と同水準の数値を維持できました。よって良しです。


◯デリカテッセン→前年比118%(129%)
・内訳省略

※( )内は前月の数値

 こちらの分類も前年比の数値が大幅にupしている状況に変化なしです。健康志向の高まり&中食という「現在の流行り」も継続中であり、廃棄額についても予算の範囲内です。

 もう随分長くこの「流行り」が続いていますね。この「健康志向」と「中食」という流行が飽きられ、廃れる日が来るのは、いつ頃になるのかなぁ。個人的な妄想ですが、その時が来るのは、経済全体の景気が上向きに転じた後それがピークを迎える頃になるのではないかなぁと勝手に想像しています。つまり、あと数十年は来ませんね。

 今後の伸び代は少ない可能性を頭に入れつつ、買上点数を上げる要素の強いこの分類について「現在の流行りに乗る」スタンスを引き続き継続していきます。


3.前年比downした分類

◯調理パン→前年比96%(91%)
・「サンドイッチ→up」
・「ロール→大幅down」
・「ブリトー→横ばい」

※( )内は前月の数値

 前月に引き続き、前年比の数字が割れている状況がしばらく続いていますが、前月にようやく地区平均と同水準にまで回復した数値の推移は、8月の85、9月の91、10月の96と改善傾向です。

 一方で、その内訳を視ると、地区平均の数字と比較して先月に改善に転じた「ロール」の販売数値が今月は再び落ち込み、逆に先月まで低迷していた「サンドイッチ」の数値が大幅に改善しています。したがって、やはりそもそもの販売力が今は弱いということなのでしょう。

 以上のとおり分類の中身の数値は一進一退を繰り返す状況ではありますが、全体としては上向きに改善しているという事ですね。今は「耐える」ことが唯一にして最善の策でしょう。

 前月と同様になりますが、行楽客やスポーツ関連イベントの客層割合が他店と比較して高いロードサイド立地の当店の状況を考えると、この分類の前年比の数字が割れるという状況がしばらく続くという見立てに変更はありません。


◯スイーツ→前年比98%(103%)
・「チルド洋菓子→大幅down」
・「チルド和菓子→大幅up」
・「チルド洋菓子NB→down」
・「プリン、ゼリー→大幅down」
・「ヨーグルト→横ばい」

※( )内は前月の数値

 フライヤーと同様に、立地的に弱い分類である「スイーツ」を自店の強みにする取り組みを6月から開始していますが、5ヶ月目にして初めて前年比の数値が割れました。地区平均と比較するとほぼ同水準です。その原因は、経営方針の変更による経費のスリム化と、自店の強みにするという取り組みとの、その2つのバランスを取ることに失敗したことです。

 具体的には、「廃棄額をチルド洋菓子で抑えつつ販売額をチルド和菓子で稼ぐ」という方針において、チルド洋菓子の廃棄額抑制の度合いが強すぎたことです。

 今後は、「洋菓子の廃棄率を6~8、和菓子の廃棄率を12~14」という数値目標を設定した上で、販売額とのバランスを上手く取ることを重点に取り組んで行きたいと思います。

 やっぱり、肝となるのは「洋菓子における取り組みのバランス」ですねぇ。


◯麺類・その他→前年比84%(98%)
・「カップ麺→大幅up」
・「スパパス→大幅down」
・「グラタンドリア→大幅up」
・「うどん焼きそば→大幅down」

※( )内は前月の数値 

 地区平均と比較して大幅に劣後しています。その主たる原因は「スパパス」です。

 「スイーツ」の分類と同様に、経費のスリム化と販売額の維持のバランスが崩れています。親父オーナーの試行錯誤は、この分類に限って言えば、私のスイーツの分類と同様に苦戦が続いている状況です。

 冬に入りつつある季節であることを考えると、この分類が上向かない状況はこの先の当店の販売額全体に大きな影を落とす可能性大です。内訳の一つであるカップ麺は好調ですので、もう一方の主力である「スパパス」のテコ入れを進言してみようと思います。

 

 
 それでは今日はこの辺で。
 
 このクソッタレな世界と戦う皆様と明日もともに。

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