彩瀬たけひと

趣味の善部。

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最近の記事

偕老同穴なり。

私はチョキを出す。彼が決まってパーを出すから。 私たちはよくじゃんけんをする。決め事、洗い物、お会計、掃除。彼は綺麗にたためないから洗濯ものは私がたたんでいる。 一度、なんでいつもグーなのって聞いてあことがあった。もしかしたら二度かもしれないが、そんなことはどうだっていい。彼は言ってた。  パーで負けるよりグーで負けるほうが負けた感じするから。 そっかと答えた私はいまだにピンと来ていないし、チョキに関しては仲間外れにされている。そんなことを思い出しながら彼は今日も奢っ

    • 病みの季節

      極寒の夏。 気になるあの人の裸体を想像し、画用紙に落ちる鼠黒い汗にすら気付かぬまま私は無心に描き続けた。黒黒しく、細く、時に丸いもののそばで、子宮はドンと音をたてると唾の色は変色している。 何時間が過ぎたのだろう。何日かもしれないがそんなことはどうでもいい。カーテンの隙間から漏れる光は、夜か朝かも教えてはくれない。無心に描き続けた絵は完成を迎えようとしている。同時に、私の身体は火照り、絶頂を噛みしめながら脂汗を垂れ流しているらしい。 嗚呼。 とっくの昔に死んでるらしい

      • 曇り空が最高の晴れ。

        茶色く汚れた水溜りでバシャバシャとはしゃいでいる私。裸足で歩くことを唯一許してくれるモノ、私はそれが大好きだった。雨の日の次の日は、決まって散歩していた。汚れた水溜り、濡れた木々たち、曇天の下にいる私をその瞬間だけは、何か包まれたようなそんな気分にさせてくれる。 一行。

        • 脳の髄まで癒されて。

          誰にでも疲れるという現象はあると思います。同時に疲れを癒す存在もあるのではないでしょうか。様々なことが重なり、病み期という沼に埋まりきっている私のちょっとした癒しを記したいと思います。 それは“ASMR”です。私がこのASMRに出会ったのは高校時代です。我ながら結構早い方だったのではないかと思っていますが、簡単に言うと音フェチというものなのですがジャンルは幅広くそして深い…。きっかけはポーチの中身を紹介するという動画でガサゴソしながら囁くような内容でした。初めてその動画を見

        偕老同穴なり。

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        • 脳内の吐き処
          8本
        • 短編小説
          3本

        記事

          聴覚の癒し。

          めちゃくちゃ久しぶりのnoteなんですけど最近感じたことがあります。まずその前に、今すごく悩んでるんですね。人生の中で病み期と言われるモノに入ったことがなかったんですけど、自我を持って約二十年目にして絶賛突入中です。今までの生活で辛いことは、多々ありましたが自己肯定感また自信が消滅しかけ我を保てなくなる事が一番の苦であると共にそれこそが病みの要因だと認識しているところです。こういう時ってやる気はもちろん読書も音楽も好きだったことまで何か余計したく無くなるですね。そして寝る前に

          聴覚の癒し。

          村田沙耶香と社会②

          物語の中盤では、私の友人である純子との会話からとあるパーティーの存在を知ることになる。そこでは、大勢で人々を世代間でカテゴライズし、過去と現代の20歳を比較しながら未来の20歳の「流行」を決めていくという会議が行われていた。そこから、上記に述べたように物語に登場する大学生が変化してきていることが社会的に大きな現象であり、それが今の流行なのだということが明らかになる。 そして、主人公の私は、ある人と実際に例のパーティーに参加することを決める。その同行者として、私が大学生当時のバ

          村田沙耶香と社会②

          村田沙耶香と社会①

          私が、最近読んだ本の中に『丸の内魔法少女ミラクリーナ』という本がある。この本は、小説家でありエッセイストの村田沙耶香によって2020年2月29日に発行された。この本を読むことに至った経緯として、私の好きな作家であったことや他の作品も以前から少しずつ読んできたこと、また、本屋で見かけた時の表紙カバーの綺麗さが目立ち手に取ってしまったことにある。本書には、過去の『小説 野生時代』より抜粋された4篇の短篇小説で構成されている。当感想文では、その中の最後に収録されている『変容』から現

          村田沙耶香と社会①

          妹。

           春の訪れは別れが伴うと、小さな頃から聞かされていたもののイマイチ深く考えたことは無かった。今まで、もちろん卒業という行事も経験し、転校した事だってあるが、狭い町という空間内での話で会おうと思えばいくらでも会えるからである。  人の変化と同様に環境の変化も激しく、気づけば大学生になってしまった。僕には妹がいる。つい先日、妹の就職が決まり関東のほうに出発してしまった。前々から話は聞いていたもののいざ居なくなると寂しいものだと痛感中である。妹とは小さい頃はすごく仲が良くて何があ

          萌え。

           久しぶりの投稿になってしまいましたが、この前の出来事を綴っていきます。   バイト前の時間つぶしがてらに町中を散歩中、ふと車道に視線を移して運転している人を見てみると、着物風の服を身につけた美魔女っぽい方が、窓を開けて煙草を吸ってたんですね。  初めてって言っていいくらい胸の中の何かが熱くなったんです。これが「萌え」というものかと実感した次第です。自分の中にあるM気質(と言えるのか分からないが)だけじゃ無い、いろいろ性質がまだ身体の中に潜んでいると思うとまだまだ人生楽し

          言葉。

          人とのコミュニケーションツールの言葉。 便利だけど不便なところもある。どうしようもないけど。 どうして人は“言葉”を持ったのだろう? 心が見えにくくなる YUI 「why?」 どうして歴史の上に“言葉”が生まれたのか 椎名林檎「本能」にある歌詞。 生きていく上で話すということが自然過ぎた故にこの行動に意味なんて有るか無いかとか考えたこともないけど、互いに思っている事と感じ取ることが一致しない場合だって勿論ある。 口から発せられる言葉、耳から入ってくる言葉や目から

          彼と森。

           彼と出逢って3年。付き合って約2年。  彼のことが分からないでいた。  いつの間にか”森“に迷い込み、今の今まで抜け出せないのである。しかし、何故だかこの莫大な広さに嫌な気はしなかった。  彼の最初の印象は暗く、寂寥感が滲み出ていたように感じた。しかしその中にも、何んだか懐かしい雰囲気と包み込んでくれそうな寛大さがそこにはあった。そんなところだろうか。  私は気分屋で面倒くさがり屋である。でも思いやりはある、はず。彼が一個下だとういうこともあり、お姉さん肌だったというこ

          価値観。

          男女を表す文献を短期間で少し読んで感じたことは、うまくいかないことに落胆したり、怒ったり、考えすぎてる自分がいることに気がついたように感じた。少し。 同姓でさえ、全く理解できない行動や言動をとる人もいるし分かり合えないことも当たり前にある。反対に、異性との友情関係が成立していることも少なからず存在してるし。恋人とか親友とかセフレの境界線って何、 「女のイメージ」「男のイメージ」の奥に潜む、いち人間をどうやって見いだせるか、それを愛せるか、難しい。。 眠れないからただのつ

          好きを言葉に。

          カチュームとワンピースが似合う人。 カフェテリアで弁当を食べる人。 青信号の点滅で止まる人。 たったこのコトしか知らない。 一目惚れだった。 君を目で追いかけるようになったのは、高校2年生の夏だったか。何故その時まで気づかなかったのか、今でも分からない。上品な空気を纏い、小さく笑っている。 可愛い。凄く、可愛い。 19年間生きてきて、この言葉を素直に思い浮かべるのは初めてかもしれない。その時は本当にそう思っていた。 僕は恋をしていた。 何ヶ月か経ったか、一向に進展がな

          好きを言葉に。

          あったかい。

          風が突き抜ける。懐かしい。 2人の子供達は無事社会人になり、自立しているため家では旦那と細々暮らしている。子育てもひと段落し第ニの人生へと進むべくためとでもいうだろうか。私は旦那に旅行を切り出してみた。バイク旅行である。旦那は昔よく後ろに乗せてくれていた。何年も前だろう。旦那は何のためらいもなく了解を出し、あっという間に日程と場所が決まった。 田沢湖に来た。 昔から日本人は南方を好み、訪れる事を望んでいるらしいが私たちは北へ進んだ。比較的近めを選んだ。しかし秋田に来たのは

          あったかい。

          お出かけ。

          気になってる女性がいる。なんとかご飯に誘うことができたものの、その日のレストラン等はまだ決めていない。ぶっちゃけどこでもいいのだ。彼女と話しさえできればそれでいい。本当にそれでいい、と僕は思っている。 ご飯をする場所が決まった。最近、流行りなのかは知らないがビールを専門とするお店CRAFT BEER BARである。インスタグラムでは、そのお店の季節限定ビールや全国の地ビール、少しの海外ビールの写真がハッシュタグとともに並んでいる。これが映えというものらしい。我ながら良いチョ