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イエローディンギーの思い出03

ヨット旅出発の朝まで、イエローディンギーの出番はなかった。笑
重たいイエローディンギーは持ち帰った後、再び持ち出されるコトは無く。
彼女の処女後悔はイキナリの出港日。笑
ここで簡単に彼女のプロフィールを。

種類: イエローディンギー
素材: FRP 繊維強化プラスティック
長所: 黄色が可愛い、船検不要
短所: 重たい
相棒: Hondaの3馬力船外機

ディンギーを写真のように引っ張ると負荷がかかり、フネの速度が遅くなる。
わかってはいるが、分からないフリをするしかない。
そう、折り畳めないイエローディンギーはデッキに乗るスペースがない。笑

彼女を桟橋まで運び、命綱という名のロープをクリートし、容赦なく、しかし、ひっくり返らないようにウィンチを使って(笑)、ゆっくりと落とす。

出航準備として、船内機のエンジンを温める為、点火する。
その時、私たに不安が過ぎる。
というか、不安しかない。
エンジンがつかない。。。。
元々、調子は良くない。
それをエンジニアの娘が父親に電話しながら直す。
いわば、ハリボテに近い。されど、父親は立派なエンジニア。その娘はエンジニアとしての腕をヨットクラブでも讃賞されていた。初心者の小娘がエンジンを直しただと!?という、感じで。笑
褒める文化をすごいと思ったのは、今まで話した事ない人も、『エンジン直したんだって!?すごいね〜。』って声かけてもらえる。

それ以外の不安要素はと言うと…
私を含めた全員がビギナー(初心者)。
ヨット乗り初めて1〜2年ぐらい。
私は忘れない、メンバーと出会った当初に言われた衝撃的な出来事。
『初めての出港は誰もセイルの出し方分からなくて、どうやってセーリングするんだろうね〜って言いながら帰港した。笑』って、その場の笑いを奪って行ったこと。
読んでる人の思う通り、私がベテランの位置。笑

ヨットは簡単じゃないし、間違えたら死んじゃう。頭では強く思うが、日本に同世代のヨット友達がいなかった私にとって、これは小さな夢の1つ。
このメンバーと海に出ないで死んだ方が後悔する。自分たちで、自分たちの力で海を渡ってみたかった。(なんていうセリフは5000マイルを超えようとする人達が言うべきか、否か。我々がこの日に超える予定だったのは、たった5マイル。笑)

話が逸れてしまった感があるが、
この時、時刻は午前5時。
眠りついた街が、少しずつ明るくなる。
『朝早すぎて、エンジンまだ寝てるんだよ〜。』なんて冗談を言いながら、
真剣にニュートラル確認(なかなか難しい位置にある)、燃料タンクとフィルター、接続部確認、エンジンオイルも(1度確認したけどもう1回)確認して、メインスイッチのon off、バッテリーの接続部も確認。

今度は2回目でエンジンがかかった。
しかし、回転数を上げておかないと、

ドッドッドッッッドッッッッッど…………

っと、音が消えていく。

いつもの事。笑
エンジン点火したのがわかったので、
3度目の正直は点火→スロットル上げて→OK。

エンジンをかけながら、出港準備。
食料を積み、荷物を積み、スプリング外し、セイルする準備。今まで、人がなかなか行けないような場所も周ったし、人が驚く航海をしてきた(つもり)だけど、
この日ほど緊張した日は、無い。かな。
シングルハンドで、初めて1人で出港した日より、ドキドキしたかもしれない。

イエローディンギーは我々が、あーだこーだ言ってる時も、私が緊張している時も、
フワフワと水の上にいました。

そして、この日1番疲れた出来事のは…
『イエローディンギーを桟橋まで運ぶコト』だったと知るのは、1日が終わる頃でした。

つづく。

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