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飛騨高山100kmウルトラマラソン ippon blade足袋Ver2 モニターRUN

飛騨高山ウルトラマラソン100km
走ってきましたー!

今回も「ippon blade試作品Ver2 足袋」です。
バージョン①から更新されたバージョン②タイプ

前回よりも、細かいところが改良されて、つま先に少し余裕ができたりインソールの当たりも穏やかで格段に走りやすくなっています。
が、まだ改良するところはいろいろあるのは事実です。

結果は、74Kmの関門に間に合わず70Kmでリタイアとなりました。今回も、やり切りました。

足袋シューズ、めちゃくちゃ作るのが大変なんです、、、。制作職人のモクエン氏が頭を悩ましています。

そして、試作品足袋②バージョンも、大会6日前に納品してもらい、急いで調整することになりました。

私なりに、調整したいところがあったので、細かい微調整、切ったり縫ったりしながら、当日、少し不安はあるものの出走!

念のため、リュックの中に携帯しやすい薄いワラーチを入れておく。



①坂しかない飛騨高山100kmウルトラマラソンコース

累積標高 2529M

やばいコースです。おまけに6月。気温が上がったら、ヤバさは倍増!


こちらが坂のコース高低図

備えて、練習しない私がかなり練習しました。

林道の激坂アップダウン、ロング走、ペース走、足裏のバネの感覚を養うために、1.5㎜の厚めのソールのワラーチ(ルナサンダル)も履いて走りました。

クッション性のあるソールで長距離を走っていると、やはり膝や腸頸靱帯に違和感を感じたので、ランナー特有の怪我をしないために、リカバリーには、ippon blade369で走りました。


⚫︎月間の走行距離は、230Km。
⚫︎合計の累積標高は、約3500M。


走って登って見る景色

当日の最高気温が26℃ほどになることも想定し、暑い日中も仕事の合間を縫って走る。

強力な日焼け止めが合わなくて肌荒れしてしまったり、内臓に疲れがきたり、トラブルも起きつつ、大きくなる前に早めに対処して、回復力を高めて、やり切りました。

まず、これだけ走れる体力、気力、精神力があった自分に自信もついたし、常に「正しい努力」を考察し続け、決して無理をせず、かと言って甘えずに、練習内容、セルフケア、食事、睡眠、休息を見極めながら、積み上げてきました。だから、今回の結果も、全く悔いはない。

怪我した捻挫も、時間はかかったもののレース当日には、ロードを走るには問題ない程度に回復しました。
(しかし、トレイルRUNはまだ石を踏むと違和感あるので、できない状態)

日々の坂道RUNのお陰か、飛騨高山100kmウルトラでの坂道は、免疫ができていて、激坂見ても心が折れずにいれました。むしろ、ずっとフラットだったり傾斜がはっきりしない坂道がダラダラ続く富士五湖100Kmの方がコース的には辛かった。(こちらは捻挫があったため51Kmでリタイア)

飛騨高山100kmウルトラのコースはどちらかというと、私にとっては楽しいコース!

登りは歩いたり走ったりを繰り返して、降りは一気に駆け下る。
膝も足も、タフ!まだまだイケる。

が、だんだんと足の皮膚と足底にダメージがきました。

足袋シューズのつま先の当たりがキツくなってきて、痺れてきた、、、。爪も痛い。

ヒールコンタクトでつま先に負担がかからないように走る。

内蔵されたインソールの下駄歯2本を上手に使う。

ただ、この時点で25Km。
この先が長い。26.6Kmの第一関門を通過して、つま先と足底にテーピングを貼る。
紐を結び直す。

時間ロス、、、。
その分、給水所では水を飲んだらすぐに出発!
休む暇はない。お手洗いもパス!

また、激坂登場!
その繰り返し。

誰、このコース考えたの?笑

②後悔のない選択をする

46Kmの関門。
目標タイムより30分も遅い。

ただ、関門閉鎖からは40分も早く到着。
油断禁物!次の57kmの関門が厳しいので、サクッと休んで走る。


つま先の痛みと足底の痛みがどんどん酷くなる。

ワラーチに履き替えるべきか?
決断を迫られる。

自分にとって、大切にしたいこととは何だろう?

悔いのない選択をしたい。

【二つの選択に悩む】

①ワラーチに履き替えても完走すること
②ippon blade研究者として、体験をippon blade製品の向上に役立てること

もし、私がランナーなら、ワラーチに即履き替える。

でも、私は、ippon blade製品のモニターで走っているので、「実験」を選択する。

ぐんぐん進む。

全くおすすめしませんが、痛みは精神力でなんとか乗り切れる部分もあるので、微細な着地や全身の操作で誤魔化しながら走る。

日本舞踊を応用した走り
天ちゃんの二軸走法
哲さんの肩甲骨を使った脱力走り
モクちゃんの重心移動

全部を、自分なりに繰り返しながらやってみる。

レジェンドたちが、本や情報で入手したことではなく、生身を持って体験してきたこと。

今、本当に必要なタイミングで実践できていることに、胸が高揚する。

心も身体も、覚醒してくる。

 

③飛騨高山100kmウルトラマラソンで出会うベテランレジェンド

油断すると、また激坂。

若いランナーたちは、もう諦めて競歩で進む。
みんな、下り坂で駆け下るという計算だと思う。

しかし、後ろから、スタスタスタッ!と走ってくる人がいる。

さっきお話ししたベテランランナーのおじ様だった。

このおじ様、5月21日の野辺山ウルトラマラソン100kmを完走されたばかり。
(飛騨高山ウルトラマラソンの常連ランナーだそう)

トレイルとロードと激坂という飛騨高山100kmウルトラマラソンよりやばいコースです!今年、70歳になるという。

しかし、この大会で捻挫してしまったらしく、もう走るのが厳しいと話していました。

「下りは足が痛くて走れないから、どうぞ先に行って〜」と、優しく背中を押してくれた方。

そのおじ様が、後ろからまるでオラウータンのように、ウッホウッホ走りながら登ってくる。

「なんとか、走ってきました〜」

軽いノリと合わない、豪快な走り。

超短いハーフパンツから、ムッキムキの日焼けした足が、おじ様の人生を物語っている。

このおじ様について行こう。

私も、走る。

100歩ぐらい!?笑

ついていけずに、歩いて走ってを繰り返す。

下りでおじ様に追いついた!

おじ様は、「下りは足痛いから、歩きます。もう次の関門でリタイアします。」

サクッと教えてくれた。

リタイアすると決めているのに、登り坂であの精神力!?なんで?

胸がグッと熱くなり、それだけでも、この大会に参加して良かった!!感極まる。

足の痛みは限界。

骨や筋肉が痛いのはなんとかなるけど、皮膚が痛いのは、もうどうにもならない。

57kmの関門まであと10分1kmになってしまった。

1km7分で走る。

そんなとき、、、。

さっきのおじ様、「最後は行きます!」ものすごい勢いで後ろから走ってきて、ダッシュ!!

関門近くで、ここは飛騨牛が出る大きなエイドなので、最も盛り上がるポイント。
応援の方々もたくさんいる。

子供も大人も、すっごく応援してくれる 涙。

「ありがとうー!!」めっちゃ笑顔で、腕を全力で振りながら、みんなに挨拶しながら、走っていくおじ様。先程の疲れていた表情は無い。

後ろにいた若手のランナーが、おじ様の後ろに続く。

同じように笑顔で挨拶しながら、雄叫びを上げながら走っていく。

私も、10Mぐらい後ろをなんとか喰らいついて走る。

関門を3分前に通過。

おじ様が、駆け寄ってきてくれて「ここでリタイアします。ありがとうございました。」

頭を深々とサクッと下げて、握手してくれて、サラリと去っていった。

「ゴールできるかわかりませんか、行けるところまで行きます」

と、答えながらも、言葉にならない想いが湧き出てきて、それ以上、何も言えなかった。
積み重ねた経験とは、こういうことなのだろう。
きっと、子供達の目にもこのかっこいいおじ様の姿は目に焼きついたに違いない。
強烈な残像により、しばし立ち尽くす。

が、感動に浸る時間もないので!!

飛騨牛、みたらし団子、トマトそーめん!!

エイドが大充実!!食べまくる!!

ここまできて、ようやく砂糖も解禁してエイドのカルピスを水で薄めて飲む。

カルピス、うまい!!

こんな美味しかった?カルピス!!

気持ちが緩んで、少し冷静になった自分。
充分に頑張った。

痛みを少しでも軽減するために、ワラーチに履き替えよう。

しかし、荷物を出し入れしながら、計測チップを付け替えるのに時間がかかる。

関門3分前に通過したランナーに、余裕なんてない。

せめて10分で、出ないと。

食べながら、履き替え、食べながら、計測チップを付け替え、食べながら、紐の調整と荷物の入れ替え。

写真も動画も、もちろん撮れない。

はじめて、お手洗いに寄る。

急いだけど、このエイドで15分も経ってしまった。

ワラーチに履き替えるも、足裏の痛さは限界!

④煩悩が無くなった千光寺

ワラーチに履き替えたことで、つま先はリリースされて少し楽に。
しかし、足底が痛いことには変わりない。

でも、動きが変わり足が動く。
だんだんと痛みが軽減していく。

恐らく、100kmの最終ランナー!!

一人、二人と、声をかけながら追い抜いていく。

71kmと100kmの分かれ道のコースに到達!


100kmへ、、、。

出たーー!千光寺の激坂。

ここは、いつもなら走れるけど、もう走れないので歩く。

競歩。

一人、二人と追い抜いて、女性ランナー発見!!

嬉しくて話しかける。

今回、飛騨高山100kmウルトラは8回目だそう。

これまで6回も完走してきたそう。

いろんな話しをしながら、一緒に進む。

生理でウルトラは辛いとか、もう50歳なのよ、っとか、何でも話してくれて、ここまでくると初対面とは思えない話しを、どのランナーともできる!!笑

激坂のあとの108の階段を登り、千光寺に辿り着くとお坊さんが待っていてくれた。

頭から顔までピカピカで綺麗なお顔。

手を合わせる。「ありがとうございます。煩悩が無くなりました。」
お坊さん言うと、優しいお坊さんは笑顔で微笑み返してくれた。

「お前なんて、煩悩だらけだろ!!」
自分で自分に突っ込む。でも、いいの。
一瞬、マジで辛すぎて無になったからね 笑!

たどり着いたエイドで、リタイアを決めた選手達が座っていて、ちょい暗めの雰囲気、、、。

めっちゃ、わかる。
みんな、めちゃくちゃ努力してきて、それでの結果だもの。心の整理をしているに違いない。

次の関門まで12km。1時間15分。

数年ぶりのコーラを飲んで、進む。

コーラ、うまい!!

1km6分で走らないと間に合わない。

ウルトラは何が起きるかわからないので、とりあえず、足が残っていれば走る!!

また、登り坂、、、。

降りがきたー!駆け下る。

でも、1km6分では走れない。

あと、30分で6Kmという計算になってしまった。

諦めて歩く。
ここからは、気持ちを整理するための散歩。

同じ気持ちのランナーと、また出会う。

いろんな話しをしながら、次のエイドまで歩く。

歩いても長いので、時々、ゆるジョグしながら、走る。

70Km付近で、収容車に二台、前後に挟まれてしまったーー!!

前にいたランナーが、「70Kmの記録マットを踏みましょう、急いでー!」

70Kmの計測マットまであと30M。

収容車が前に踏みこんできたにも関わらず、その車に謝りながら止めて、70kmを踏む。

私も、続く。

おつかれ様でしたーー!
ありがとうございました!!

笑顔で収容車に乗る。

間に合わないランナーも数人、ピックアップ!!

やり切った自分たちを褒め称えながら、笑顔溢れる収容車!笑

⑤天ちゃん


天ちゃんがバス停の前で待っていてくれた。
いつものように、お父さんの表情。

美女峠では、後ろから雄叫びが聞こえた。

振り返ると天ちゃんだった。

みんなが歩いている美女峠で、二軸走法でコツコツ走ってくる天ちゃん。

周りのランナーが「嘘でしょ?一本歯下駄?」そう言いながら、なぜか一緒に雄叫びをあげながら、天ちゃんについて走り出す。

すごい光景だった。

ゆるっと脱力したがらも、丹田に力が入り、芸術的な美しいフォーム。

上下に身体も動かず、ただただ、重心移動で進んでいく。

全然、速く見えない。なのに、速い。

まるで、忍者のよう。



天ちゃんのこれまでの奇跡、体現、人格、その全てが詰まった姿だった。

瞳は、これまで見たことのないほど、澄んだ瞳だった。

歩いていた私も、天ちゃんに続くランナーと共に一緒に走る。

「あやちゃんに、ippon bladeで100kmを完走する姿を見せたい。」

一本歯下駄で100kmを何度も完走している天ちゃん。

でも、ゴールに私がいたことはない。

私には、そんなことはどうでも良くて、天ちゃんのこれまでの軌跡によってできたippon bladeと、ippon bladeによって出会えた仲間やユーザーさん、そして、今、目の前で雄叫びを上げながら美しい姿で登り坂を登っていく天ちゃんの姿のみで、もう本当に本当に充分だった、、、。

飛騨高山100kmウルトラマラソン、もうドラマしかなかった。

初対面とは思えぬほど、これでの人生をお互い話しながら、昇華しながら、一緒に走ったランナーの皆さん。

連絡先も交換していないけど、またどこかのウルトラマラソンで、きっと出会うと思う。

⑥ippon blade製品の開発に奇跡は起きてはいけない


帰りの車の中で、天ちゃんが「あやちゃんにはランナーでもないのに、大変なことに巻き込んでしまった。一回、普通にワラーチでとにかく走ればいいよ、そしたら絶対に完走できてるよ。別に100Km走れることがippon blade製品の証明になるわけじゃないんだから。」

これは、当然、いつも言ってくれていたことなのだけど、どうしてもippon blade製品で走ってモニターをしたかった。

もしかしたら、奇跡が起きるかもしれないから。

そうしたら、ippon bladeの夢がまた広がる。

でも、「奇跡」ではダメなのだと。

奇跡は再現性の低い事実でしかないので、誰もが履いて良いもではないと、それは製品化できないと、、、。

ippon blade足袋は、前回のバージョンよりもかなり良い感じに進化してます。

ハーフ、フルマラソン、60Kmぐらいまでのウルトラなら、私のようにランニングを始めたばかりの者でも、充分な結果を出せると思います。

実際に、すでに60Kmを走ったランナーもいます。

登り坂では内蔵された特許構造の下駄歯2 本が、距骨から全身を前に押し上げてくれるし、下り坂では、膝に負担がこないように踵の溝にはめるように走れば、距骨から重心が後ろにくるので、大腿四頭筋や膝に負担がかからず、下り坂でもガンガン走れます。

本当に、めちゃくちゃすごい発明品です!!

私は裸足ランニングやベアフット系シューズは、まだまだ経験値が浅いので、ベアフット系シューズに熟練したベテランランナーだったら扱いはもう少し簡単にできるのかもしれません。

ippon blade製品をご愛用頂いているユーザーさんは、ippon blade製品の品質の良さや、ブランドコンセプトに共感してくださっていると、感じています。

オンラインSHOPでも、たくさんの安い一本歯下駄が溢れる中で、2万円以上のippon blade製品が売れており、すごい奇跡だとこの希少な仕事に誇りを持って取り組んでいます。

だからこそ、これからも、ランナーである前に、ippon blade研究者として、私は、ippon bladeでの実験は継続します。

飛騨高山ウルトラマラソンに出走されるランナーの皆さんは、それぞれに、コンセプトがあり、美学があり、淡々とやっている方々が多く、素晴らしい方々が多かったです。

厚底スニーカーでも、足袋でも、ワラーチでも、裸足でも、一本歯下駄でも、同じゴールを目指して、これまで日々を積み上げてきた。

ノリと勢いではないことは、その足を見れば納得します。

今回の旅でも、めちゃくちゃ刺激をいただきました。

全くの無名の方々なのに、世の中には、こんなに実直に生きてる人たちが、こんなにもたくさんいるんだ!

そう思うとめちゃくちゃ勇気をもらって、やっぱり難易度高いウルトラマラソンでないと、出会えない人たちと世界観ではあるので、、、。

もう、100kmは身体に悪いしやーめよ!っと、走っている時は思ったんですが、またすぐに走りたくなっている私がいます 笑

が、しかし身体と足の皮膚は確実に疲れていて痛いので、しばらくはのんびりと休むことにします!

ippon blade足袋は、また開発チームで、少しずつ改良を重ねて、いつか世に出したいと思っているので、これからも、引き続きどうぞよろしくお願いします。

次のチャレンジは、9月の京都丹後ウルトラマラソン60km。

60Km!?短くなった。

っと、思いきや暑さでこちらも完走率50%ほどの大会です。

制限時間が9時間30分。
短め〜!!

ギリギリ、頑張ればippon blade369でいけるかな?っと言う感じなので、369で行くか、足袋でいくか、はたまた今回は、ダメージも考えて、楽に走れるワラーチでいくか。

悩んでいますが、これからの日々の中で決めたいと思います!

いつも、応援してくださる皆様に、心から感謝しています。

また、動画はInstagramでUPしますので、よろしければぜひフォローお待ちしてます!

@ayari.style



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