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シャドーワーカー

 シャドーワーカー=陰で働く人。主婦の家事労働など、報酬を受けない仕事をする人を指す。
 今や共働きは当たり前になってきたし、専業主夫なども認知されてきたが、未だに家事の多くは女性の仕事とみなされ、多くの既婚女性が育児、介護、家事に日々奮闘している。
 
 シャドー。なんて悲哀の籠った響きなのだろう。
 
 シャドーボクシング。敵を想定し、パンチやステップワークなどの練習を一人黙々と行う。目の前にいる「見えない敵」に向かい、腕を力強く振り抜く。あらゆる攻撃をイメージし、何回も何回も繰り返す孤独な練習だ。
 
 シャドーピッチング。ピッチャーがボールを投げずに、投球動作を練習するやり方だ。フォームに問題はないか、リリースポイントは正しいか確認する。安定した投球フォームを手に入れるため、何度も何度も繰り返し、自分の体に覚え込ませる。

 どちらも強くなるため、勝利するため、ただひたすらに黙々と行う孤独な練習だ。何百、何千と繰り返すその練習の先には、試合のリングやマウンド、そして観客の声援が待っている。努力の先に、陰ではない、日の当たる場所で輝くチャンスが与えられるのだ。
 
 シャドーワーク。毎日毎日、ただひたすらに行う家事。家族のためにすることが当たり前とされ、決して日は当たらない。
 多くの、主に女性の犠牲の上に成り立っている社会。どう考えたっておかしいと私は思っている。

 おかしい事にすら気付いていないから変わらないのか。あるいは、気付いてはいるが、気付かない振りをしているのか。だって気付いていると知られてしまったら、今まで丸投げにして楽をしてきた人達は、自分も大変になってしまうから。割の合わない仕事なんて、きっとしたくはないでしょう。
 
 経済学や社会学など分からないけれど、偏りのある社会はやっぱりおかしいと思うし、居心地はよくない。
 改善策は見つからない。でもおかしい事は、ちゃんとおかしいって言いたい。
 
 

 
 

 

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