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今のご時世、旅のお土産をどう選ぶか?

 どこの県に行ったときだったか。その土地の特産品などの、お土産が売られている大きな道の駅で、あるカップルの会話が耳に入った。

 「もっと、ここでしか買えないようなものを選べよ」「それ、東京にも店舗あるお菓子じゃん」という男性の少し乱暴な声。

 その声が耳障りだったこともあり、少し意地悪な気持ちになった。もはやこのご時世、こんな大きなお土産売り場に、ここでしか買えないものなんてあるのか。そう言い返したくなった。

 もちろん「ここでしか買えないもの」を探そうとするのは間違ってないと思う。でも今の時代にそれでお土産を選ぶのは少し窮屈ではないか。

 だって突き詰めると、お取り寄せとか、便利なネットショップのことを無視する必要がある。そうでないと気持ちが冷めてしまうから。店舗販売のみでかつ自分好みの店にたまたま出合えれば運がいいと思うけれど、「ここでしか買えないもの」を探す旅とかでない限り、それをわざわざ探す労力と時間がもったいない。

 じゃあ、今に合ったお土産の選び方はなんだろう。導き出された私の答えは「ここにいるからこそ、興味を持ったモノ」。それくらいにしておくのが、ゆとりがあっていい気がした。

 というのも、こんなことがあった。

 富良野に行ったときのこと。「地元の人は『JAふらののソース』がみんな好き」という話を聞いた。街のスーパーにも普通に売っているし、お土産売り場でも目立つところに堂々と売られていた。気になってお土産に買って帰ったところ、すっかりお気に入りに。

 リピートしようとネットで取り寄せようとしたら、なんといつも行く家の近所のスーパーに置いてあったというサプライズが。あのときの感動は今でも忘れられない。
 
 見慣れたスーパーなのに、全く視界に入ってなかったという驚きと、この棚からこのソースを選ぶことは一生なかったかもしれないという面白さ。私が旅先から持ち帰ったのはモノではなく、興味とか好奇心とかそういう類のもの。そして、それが日常にうまくつながった瞬間だった。

 そもそも、旅のお土産をそこまでレアなものに仕立てあげる必要もないし、それをするにはもうモノが溢れすぎている。旅先での興味は頑張っても普段のそれとは異なるわけだから、シンプルに自分がピンときたものを選べば、何かの“きっかけ”を持って帰れるかもしれない。


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