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知恵

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この知恵はゲットしておきたい。もう一度見返したい。そんな記事を集めました。
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#フードエッセイ

🍥燻製クラフト辣油🍥

ついに──辣油が底をついてしまった。 燻製にした硫黄島唐辛子で作った、とびっきり辛くて美味い辣油だった。 逆さまにした瓶の最後の一滴が、皿へと落ちながら、 ──いつかまた──作ってくれる?── と、私に語りかけ、酢醤油に美しく咲いて、餃子とともに、胃のなかへ消えていった。 餃子とビールで膨れた胃とは裏腹に、私はひどい喪失感を覚えた。もう、市販のものでは──がらんどうな心と辛さに飢えた舌は満たせない。まだ口のなかに残る、じんじんとしたその余韻を感じながら、 ──ああ

サクラサクラ 四月 一汁九菜

ソメイヨシノ 大島桜 薄紅色 儚げな白 ずっと花曇りの日が続き、昨日は荒天春の嵐、それらが嘘のように 鎮まり、四月十日、久しぶりの春の桜日和。 桜文様の器に少しずつ春の料理を盛りつけて サクラサクラ四月のランチ 器が決まったら次は献立 旬の食材を用意して、そう手間もかからない料理、これが大事。 気合を入れて二三日前から下準備するおもてなし料理は、まぁ、もうほんとにたまにでいいのです。 ケの献立に少し華やかさを加えられたら、それがいい。 筍の塩麹マヨから揚げ 茹で

江戸料理 「初鰹刺身に辛子酢味噌」「ふわふわ豆腐」「井出の里」 で 一汁五菜

目には青葉 山時鳥 初松魚 江戸時代の俳人、山口素堂(1642年~1716年)が詠んだ句ですが、三百年近く経った今でも、つい口について出て来る句です。 句に詠まれた初松魚とは上り鰹のことで、四月から五月に伊豆や房総沖で獲れる鰹のこと。 江戸時代、初物を食べると七十五日長生きできるという言い伝えがあり、人々は特に初鰹を珍重し、文化・文政(1804~30年)のころの江戸の初鰹志向は熱狂的で、どんなに高値でも買ったそうです。 そんな初鰹の季節に、初鰹の刺身を江戸スタイルで食し

母のミンチ 私のミンチ

免治が思い出させてくれた 母のあの料理と 私から娘たちへ、娘たちから少年少女たちへ伝えるぱぱっとごはんのこと… 免治 免治を作りたくなった。 葡式乾免治はマカオの代表的な家庭料理で、日本の雑誌やグルメ旅番組でもよく紹介されているマカオの代表的な家庭料理だ。 とエラそうに言い切ってはみたけれど、実はマカオで食べたことはない。 十五年ぐらい前にマカオを旅したときは、アフリカンチキンの食べ歩きが目的だったから、免治は全く眼中になかった。 ところが突然、そうだ!免治作ろ

八月五日 二の丑 はみ出し鰻丼で一汁五菜 

連日の猛暑日 うなぎ!鰻白焼き  鰻蒲焼き  うな重弁当! 鮮魚コーナーとお惣菜コーナーが鰻であふれる土用の丑の日 もう終わったんじゃないの? いやいや。 土用の丑の日はそもそも、一年の春、夏、秋、冬にあるそうです。 世間に定着している夏の土用の丑の日だって、年によっては一回だったり二回三回あることもあるらしい。 今年は二回、二回目が八月五日なんだそうな。 到来ものの鰻蒲焼が冷凍庫に三枚あるから、二の丑にもうな丼 お頭付きのデカい国産鰻蒲焼、四国か九州のどこかの県産鰻

よもやま料理帖 ~酒が止まらん!うま味噌ダレのあぶら揚げ焼き~

日本が誇るスーパーフード豆腐 この豆腐を薄く切ってしっかり揚げたのが あぶら揚げ 甘じょっぱく味つけしたら、おいなりさん この豆腐を厚く切って表面だけ揚げたのが 厚揚げ おでんに入れたら、お出汁がしみしみです 大豆さまの賜り物で たしかな食感は食に満足を与え 身体の組織に絶対不可欠な たんぱく質をたっぷり摂取できます ちなみに、ダイエット中の方には 厚揚げがオススメなんだそうです カロリーで見ると、しっかり揚げている分 あぶら揚げの方がカロリーが高いのです がしか

【冬越しの相棒に】体を温める干し生姜

じんわり体を温める。冬のお守りに秋に干そう 9月中旬ごろ、親戚からかなりの量の生姜をいただきました。新生姜は6〜8月頃に出回るもののイメージの方が強いかもしれませんが、秋に収穫されたての根生姜で色白のものもまた新生姜と呼ばれます。今回いただいたのは後者です。 瓶詰めにして発酵させようと思っていたのですが、適当な空き瓶が見つからず、とりあえず干してしまおうと思い、干してみました。ちょうど夏から秋へグラデーションで変わっていく時季だったので、干すために庭やベランダに出るのも苦に