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なんかスキ

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よくわからないけど、スキだと直観的に感じた記事を集めてみた。  何がスキなのかは、集めているうちに気が付くかもしれない大笑。
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2023年1月の記事一覧

『アデン アラビア』の冒頭文と、恋から逃走した20歳の私

ポール・ニザン著の『アデン アラビア』を紹介すると、政治思想を語ると思われるかもしれない。ニザンと言えばフランスの小説家・評論家・哲学者にして人民戦線時代の共産党員として有名である。日本でも全共闘世代に支持された作家だ。 でもここでは、そんなことが話したいのではない。 この本は、私の20歳の苦い恋の思い出なのである。 30年以上前、別れた彼氏の本棚から、この『アデン アラビア』を人質として奪ってきた。 以来解放されることもなく、ずっと私の本棚に拉致されている。 まだ20

冬休み帳、お焚き上げ

お正月が終わると、正月飾りや前の年のお札などを持ち寄ってお焚き上げする行事、どんど焼きがある。子どもたちが地域を回ってそれらを集め、大人たちがやぐらを組む。小学5年生の児童が点火役を担い、火がつくと勢いよくやぐらが燃えていく。舞い上がる炎、竹がはぜる音、舞い落ちる燃えかす...年末年始を挟んで久々に顔を合わす人々が交わす会話もいつもの通り。平和だなぁ、と思う。残念なのはコロナの影響で、どんど焼きの炭で焼くお餅は持ち帰って食べることになっていたこと。コロナ前は、めいめいに持参し

【思い出ぼろぼろ】大人を信頼できる存在として認識させてくれた出版社の御仁

 齢五十を越えてなお、「 大人 」という言葉の意味するところについて考えることがあります。  そうした時に、必ず思い起こす人物(男性)がいます。その御仁とは会った事もないので、顔は勿論のこと、声色すら分かりません。  ただ、凡そ40年前に、彼の聡明で温かい人柄に触れたという事実だけが、僕の記憶の中に深く刻まれているのです。  振り返れば、小学生の時分から、冒険記や探検記といったドキュメンタリー性の強い物語に心酔していたように思います。  例えば、インディージョーンズのモデル