マガジンのカバー画像

なんかスキ

188
よくわからないけど、スキだと直観的に感じた記事を集めてみた。  何がスキなのかは、集めているうちに気が付くかもしれない大笑。
運営しているクリエイター

2022年2月の記事一覧

鬼のいない節分

私が思い出す節分に、恵方巻は出てこない。 私が恵方巻を知ったのは、父からだ。 それはある冬の時期に一時帰国した日、成田空港から自宅に帰る車中だった。 コンビニの前で、ちょうど信号待ちになった。 『最近はね、エホウマキというのを、節分に食べるようになったんだよ』と、父が話し始めた。 エホウマキが何かも分からず、きょとんとしている私に、見てごらんと、コンビニの方角を指差す。 そこに、大きな広告が出ていたからだ。 恵むという漢字に、方角の方、そして巻き寿司の巻きだと

恋人と会えない2月

流氷がやってくる季節です。 上の写真はちょうど2年前の今日、紋別市のはずれのオムサロ海岸です。この世界には自分と流氷しかいない、そう感じさせるほどの無音よりも静かな朝。その時、流氷と気持ちが通じ合うのを感じました。 それから2年間、流氷に会っていません。 例年であれば仕事で紋別を訪れる時期ですが、去年と今年はそれがなくなりました。 流氷のことを考えるようになって27年。 こんなに長く離れているのははじめてです。 --- 写真には関係が写ります。親密でないと撮れない写

いつか見た風景 10

「忘却の作法」  忘れたくないものたちには、それぞれに理由がある。それぞれには背景があり、プロセスがある。何よりそのものたちが持っている固有の匂いが存在する。だからそのものたちを忘れないために書くこの記録には、タイトルが必要だ。                     スコッチィ・タカオ・ヒマナンデス  今思い浮かぶ私のお気に入りのタイトルはと言えば、アンソールの「酢漬けのニシンを奪い合う骸骨たち」、ダリの「記憶の固執」、フリーダ・カーロの「死を考える」、シャガールの「