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「読唇術」について

「読唇術」とは何か

まず読唇術とは何かご存知の方はいらっしゃるだろうか。
心を読む方の「読心術」ではない。そんなスキル、あったら欲しい!
漢字を見れば何となく分かると思うが、「」を「読む」術のことである。
唇の動きを読むことで音声がなくても相手が何を言っているのか大体把握することができるスキルだ。
イメージしてもらうとしたら、例えばあなたの連れが電車に乗っている。ドアが閉まってしまっていて、相手が自分に何か伝えようとしているがよく分からない、というシーンをイメージしてみてほしい。
その時に自分が読唇術を身につけていたとしたら。
窓越しに相手の口の動きを読むだけで相手の言いたいことがわかるのだ。
つ ぎ の え き で ま つ
いざという時にこのスキルがあるだけでどうにかなるものなのだ。

なぜ読唇術なのか

私は生まれつき両耳が補聴器を着けないと聴こえないレベルの重度聴覚障害である。
つまり、補聴器が無いと音声が無い世界なので、音声が当たり前の健聴者がマジョリティの社会で私が生きていくためには必然的に会得しなければならないスキルだった。
耳から自然に音声が入ってこない、補聴器をしていても入ってきた音声がどういうものなのか判別できない。
そのため、視覚的に情報を得るために幼少時に練習を重ねて今はある程度の人が対象であればできるようになった。

読唇術の心得

最初に言っておかねばならないのは、口元が見えないと何もできないということだ。
昨今はコロナなどの影響で年中、屋内でも屋外でもマスクをしている人が増えており、マスクをされたら何もできない。
マスクをするのが悪いというわけではない。私も花粉症なのでマスクをする時はあるし、何かあったら移されたくない移したくないという気持ちも十二分に分かる。
ただ、視覚的な情報が必要な人に対しては、ものの数分で良いのでマスクをとって話すということだけしていただけるとありがたい。(花粉症真っ最中の屋外だと流石にそこまでお願いすることも憚れるが...)
そしてもう一つ、慣れている人であれば問題ないかと思うが、基本は口をはっきり動かしてもらうことが重要だ。
テレビを見ている時に音声をオフにして見てもらえると分かるかと思うが、口をはっきり動かしている人の方が分かりやすいと思う。
家族などある程度一緒にいて慣れていればもう口元を見なくてもいい時もある(極端な話だけど)。

読唇術のやり方

さて、相手の口元が見える、はっきり動かしてもらえる、という状況ができた。
慣れるまでは口元を注視だ。「あ い う え お」この母音の形がベースだ。覚えておこう。
読唇術の問題は子音がわからない事だ。ギリギリわかる子音というと、「さ行」「ま行」「ぱ行」「ば行」だ。
なぜかというと、さ行は歯を使う。ま行・ぱ行・ば行は必ず口が一度閉じる
それ以外は状況・文脈(話の流れ)で何を言っているのかをすぐに導き出すという連想ゲームをするんだ!
まずは何を言っているのか。
あ え
母音「あ え」から連想するのは何だ?「あ め」?いや、口は閉じていないからめは違う。
「あ え」の時に相手は何をしていた?何かを指さしている。「あ れ」?
あれのこと?
正解だったらそのまま話が続く。不正解だったらもう一度チャレンジ。
たまに全ての情報から導き出そうとしても難しいワードがある。
その難しいワードを捻り出して、正解だった時の達成感
ぜひ体験してみてほしい。

仕事でどのように活きるのか

私は今クラウドワークスで人事の仕事をしている。
仕事で読唇術がどのように活きているのか?

まず読唇術は必ず相手の顔を見なければならない
ニコニコ笑顔で、相手の顔を見ながら話をしてみよう。
相手はニコニコ笑顔にまず嫌な気分は持たないだろう。
そして、相手が言ったことを復唱する(全てじゃなくていい、ポイントの言葉だけでいい)
前に接客の仕事でもやっていたポイントなのだが、基本誰でもきちんと自分の顔を見て自分が言ったことを復唱されるだけで「きちんと聞いてくれている」と感じる。

それを仕事でやると、同僚でもお客様でも基本何でも話せるのだ。
(何かあってよっぽど怒っていたりしている人は論外だが)
なので、例えば人事だとヒアリングのスキルとして使える。
セールスでもお客様へのヒアリングのスキルとして使えるし、エンジニアやデザイナーの場合は会議の時にこのスキルをちょっと使うだけで相手とのコミュニケーションもある程度スムーズにいく

最後に

読唇術は読むだけが読唇術じゃない。
相手にわかりやすい口の動きを心がけることも読唇術のひとつなのだ。
今すぐトライできるこのスキル、周りの人に気づかれないようにひっそりと始めてみて、「最近あの人話しやすいね」とこっそり思わせてみるのもいいかもしれない。

みんなでより話しやすい世界をこっそり作ってみよう!

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