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「二分の一ってなあに?」に対する母の回答が秀逸すぎた

 幼いころから数学が大好きだった。というよりも、「数字に対する恐れがなかった」という方がより正確だと思う。

 小学校5年生くらいになって、分数が分からなくて数学が嫌いになってしまう…というケースが多いらしいが、私にとっては、分数も、国語の文章問題も、さほど変わらない。つまり、数字の羅列も、日本語の羅列も、同じように「意味や情報を持ったもの」として処理されていた。

 なぜそう思えるようになったのか。小学校低学年の時の母親の言葉がきっかけだと思う。

 散歩しているときだったか、小学校からの帰りだったか、詳細は覚えていないが、通学路を二人で歩いているときに、「二分の一ってなあに?」と私は母親に聞いた。それは、算数の問いではなく、川本真琴の歌のタイトルとか、SIAM SHADEの歌で似たような歌詞があるよなとか、なんとなく耳にするけどよく意味が分からないなぁって感じだったと思う。そして母は答えた。

 「半分ってことよ。」

 なーんだ!と当時の私は思った。なんか長く言ってるけど、半分ってだけかぁ!二個に分けたうちの一個ってことね!じゃあ三分の一は、三つに分けたうちの一個だよね!?なーんだ、簡単じゃん!!

 当時から図に乗るのはうまかったので、「算数は難しくない」ということを知ってしまった私は、それから数字に対して全く物怖じしなくなる。分数だけでなく、円周率を表すπが出てきたときも同様だった。「3.14159265…を書くのが面倒だからπにしたんだね!了解!」みたいなテンションで問題を解いていた。

 本当に頭のいい人は、難しい内容でも相手に分かりやすい言葉を使って伝えるというが、まさにこのときの母親がそうであった。こんな風に分かりやすく子供に伝えられる自信は、依然としてまだない。

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