見出し画像

国際協力をしたい人へ〜私たちの新型コロナウィルス対策を機会とみなす一つの提案。

ウイルス対策はストレス

新型コロナウイルス対策として「3つの密を避けましょう」と言われている。

画像1

「あそこにも、ここにも出かけられない。ストレスたまるぅ!」って感じてませんか?「出かけないなんて無理。今まで通り出かける!」って思っている人もいませんか?

私も、ストレスがたまった一人でした。3月の一週目に、予定されていたお食事会やイベントや個人的なお約束も、次々にキャンセルされました。テレビはコロナ一辺倒。普段から家にいることが多く、家で仕事の準備や、スカイプレッスンや、お茶のお稽古や、ほとんどの趣味や仕事は家の中。それなのに、たった3つ、4つの予定がキャンセルになっただけなのに、ドヨーンとした気分。仕事の準備もお稽古もしたくな〜い。人をなんとなく批判的に見たり、暗い、やな奴、になりかけている。難民の仕事をしている時は、治安が悪くて、宿舎と職場を車移動するだけ、一歩も外に出ることができない、そんな生活もしていたのに、なぜ、うまく対応できないの?

気持ちを変えよう

そんな日を2−3日過ごしたあと、いきいきと日々を過ごしている友人を見て、パッと気持ちが変わりました。そして、仕事でストレス対策・安全管理対策をしていたように、頭を切り替えてみました。生活そのものが仕事だとすると、どうかな。

リスク分析をエクササイズする機会になる?

現在の状況を、リスク分析をする機会に、してみませんか?自分の行動について、「自分が感染させる」リスクを、分析してみるのです。リスク分析には、いろいろツールがあるのですが、そのうちの一つ「リスクマトリックス」というツールを聞いたことがありますか?

リスクマトリックス

画像2

ある「脅威」がもたらす「リスク」がどの程度、高いか低いか、ということを図るツールです。前職では、セキュリティリスク(治安についてのリスク)分析に使われていたものです。例えば「爆弾が事務所に落とされる」という「脅威」がもたらす「リスク」がどの程度かを、爆弾が落とされる可能性、probability(上の図ではlikelihood)と、爆弾が落とされることによって起こる影響、impactを使って、最終的な治安に関するリスクのレベルを測ります。上の図ではlow, highなどとなっているところです。

例えば、爆弾が事務所に落とされる可能性が「あるかもしれない、moderately likely」でその影響が「事務所員全員死亡、その結果、難民への支援が不可能になる」としましょう。影響は「非常に重要、critical」だと考えられます。結果、爆弾が事務所に落とされるリスクは「高い、high」となります。

では、どうするのか?「爆弾を落とされるかどうか」という可能性には、我々は影響力がないとすると、対策として「事務所の敷地に防空壕を作る」「職員の数を少なくし、20%の職員は海外から働く、20%の職員は国内の自宅から働いてもらう」「地元のNGOに事業をしてもらう」というような対策を立てることができます。そのことによって、「影響、impact」をなるべく軽減し、「穏やか、moderate」か「少ない、minor」の方向へ持っていくようにするのです。そうすると、「爆弾が事務所に落とされた」という脅威に対してのリスクは、「平均、medium」の方に向かいます。

しかし、戦況が悪くなり「爆弾が事務所に落とされる」という可能性がllikelyに上昇すると、これまでの対策は十分でなくなることもあり得ます。

自分が感染している前提で更なる感染リスクを測ってみる

さて、ここで、「私は新型コロナウイルスにかかっているかもしれないが、自覚症状はない。私が感染しているという前提で、他の人にウイルスを感染させてしまうリスク」を測るというエクササイズをしてみましょう。

私は街の真ん中に住んでいるので、日用品を買いに行くのも「繁華街」に出かけることになります。例えば、ドラッグストア。ドラッグストアに行った場合、「私が他の人に感染させてしまう『可能性 (上の図ではlikelihoodとなっている、probabilityを使っている図もある)』」は、混雑時に行くとどうでしょうか?「可能性」をはかる指標として3つの密を使ってみましょう。このドラッグストアは「換気は悪くないが良くもない。人は密集。話はしない。』としましょう。混雑時の感染の可能性は「ありうる、likely」になるでしょうか。

一方、私が他の人に感染させてしまった場合、そのことが与える影響、impactのレベルはどうでしょうか?「その人も他の人に感染させて感染が広がる。高齢者は重篤になるかもしれない。感染場所がドラッグストアだとわかったら、その店も、しばらく閉店になるかもしれない。このあたりに住んでいる人の買い物が難しくなる。」などを考えると「非常に重要、critical」だと思われます。

結果的に、「私が他の人を感染させてしまうリスク」は、「likely」と「critical」が交わるところ、「非常に高い、very high 」となります。

が、日用品や薬は必要なもの、時にはドラッグストアに行くことも必要です。

リスクを下げることはできるのか?

その際、「リスクのレベルを下げる」ために何ができるか?「マスクをつける」→ 感染の可能性が下がる。「混んでいない時間に行く」→ 感染の可能性が下がる。 「オンラインショッピングに切り替える」→ 感染の可能性が下がる。結果的に、リスクが下がります。Highかmediumくらいに下がることは可能でしょう。

この場合、注目点はリスクを下げるには、可能性、likelihoodを下げるしかない、ということです。行動を変えよう、と言われる所以ですね。impact は変わらない、自分が他の人に感染してしまったら、ドラッグストアの例以外でも、今の状況では、その「影響、impact」は「非常に重要、critical」だと考えられます。ここが、先ほどの「爆弾」に対する対応と違うところです。新型コロナウィルス対策としては、出かける時間を変える、頻度を少なくする、出かけるのをやめる、などですね。一方、出かけるときには、手洗い、マスク。お店の方々も、殺菌・除菌等をされています。これらの行為は全て、可能性、likelihoodを下げるためのものです。

ちなみに、「影響、impact」の方が変わるのは、医学・薬学の分野で新しい発展があったときでしょう。

私は3月上旬までは、「自分は感染していない」前提、だったので、「感染するのを、防ぐことには役にたたない(とその頃言われていた)」マスクを着用していませんでした。自分が感染していないのであれば、マスクする必要ないな、と思ったからです。その後、「自分は感染しているかもしれない」前提で、「人に感染させないように」マスクをしたまま話をするようにしました。話は少しそれますが、「うつされたくない」と思うよりも「もう感染しているかもしれないから、うつしたくない」と考える方が、前向きになれるように思いました。あくまで、私の場合、ですが。(マスクの効能については、諸説あるようですので、気になる方は専門のページでご確認ください。ここの記述は、あくまで私の理解です。)

機会にはならない?!

「じゃぁ、やっぱり外に出られないし、このエクササイズでやった結果と、政府や知事が言っていることと同じじゃん。」って思いますか?そうです。ここでの提案は、一つの練習の機会として自分の行動とリスクをどう見るか、ということをやってみてはどうかな、ということなのです。国際協力の現場に行くと、このエクササイズをしなきゃいけない場面に出会います。その時、人によって捉え方が違うので、リスク分析を、一つの結果にまとめて提示することが、とても難しい、でも、必ずしなくてはいけない。

今、私たちの行動を例にすると、より身近なエクササイズができるかな、と思ったのですが、どうでしょうか?私たちの日常の行動「友達とカフェに行く」「ピアノのお稽古に行く」「ジョッギングに行く」などについて、リスク分析をする機会にはなりませんか?

私の場合、リスク分析をデスクの前ではしませんが、頭の中でパパッと考えてみて、同時に「プログラム・クリティカリティ分析」というのをやってみます。「プログラム・クリティカリティ分析」の説明は割愛しますが、簡単にいうと「これをすることがどれほど重要か」という分析で、リスク分析とセットにすることで、事業の継続・中断の決定に役立ちます。治安が悪いところで働くときには、とても重要な分析です。現在の私に当てはめると、「この行動をすることが私にとって、また、他者にとってどれだけ重要か」ということを自問してみるのです。多くの働く方々が出勤されるのは、無意識に行われているプログラム・クリティカリティ分析の結果だと考えられます。

偉そうに言えないのですが、私は、生活を「仕事目線」でみること、いきいきと生活している人を見ることで、「今、自分ができること」に集中できるような気がしました。

やっぱりストレスはある!

「でも、やっぱりストレス減らない。エクササイズの結果、リスクの高い行動が多い。」ごもっともです。別のストレス対策も必要ですよね。私の場合は、インドに住む友人が「こんな時こそ」と始められた「ズームでヨガ」に参加しました。それから、インド舞踊をされるカナメちゃんのお母様が作られた「色塗り」をやってみようと思います。それでも、やっぱりストレスはある!お花見行きたかったー。みんなで、楽しいことを見つけて、そのアイデアを交換しあって、乗りきっていきましょう。

リスクマトリックスはhttps://cms.emergency.unhcr.org/documents/11982/48965/UNSMS,+Security+Policy+Manual,+Chapter+IV,+Security+Management+–+Policy+and+Conceptual+Overview+of+the+Security+Risk+Management+Process/5845083a-1f1e-4283-a967-d85f15ab81ec から転載ました。

今日の私。

プチ断食3日目にして、最終日。ずっと、家にいたので、つらくないですね。縫わなくても作れる布マスクを作ってみました。あ、これは今日じゃなくて少し前かな。

画像3



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?