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伊勢根付のこと

▶根付ってなあに?

「伊勢根付とは?」
昨年偶然この世界に飛び込んで、まだ満足に作品を彫れない私は、この問いの答えを深く理解しているとは言えません。
読んでくださっている皆さんと一緒に学んでいくような感覚で、これから少しずつ深めて書いていければいいなと思います。

まず、根付(ねつけ)がどんなものかというと
手のひらに収まるほどの小さな彫刻で、紐を通して提げる装飾品です。
キモノを日常的に着ていた昔の日本人は、巾着や印籠、煙草入れなどの大事なものを落とさないように、根付で帯に引っ掛けて使っていました
気に入ったものを身に着けて自慢したりする
粋でおしゃれなそして実用的な品物でした。

キモノを着ない現代の生活には、なかなか馴染みの少ないものですが、ケータイストラップやキーホルダーがイメージとしては近いです。

根付の素材は、木や象牙、動物の角など様々ですが、私が学んでいる伊勢根付は、特に朝熊山のツゲの木を材料に作られます。

素材の高価さや作る技術などがより洗練されてゆき、現代の根付の立ち位置は「実用品」ではなく、コレクタブル商品としての「高級品」となっています。高価な嗜好品であることも、現代の生活に馴染みのない理由の一つかと思います。

参考までに……
私の師匠である、中川忠峰さんの代表作品「ダリア」は、お値段なんと70万円~!!
こう聞くと、根付はとても敷居の高い、近寄りがたいものと感じるかもしれません……

海外にコレクターが多く、”NETSUKE”は世界中に愛好家がおり、日本独自の工芸品として、欧米の美術館などの収蔵品としてもポピュラーです。今では日本国内よりも海外での方が根付に詳しい人が多いほどです。

▶第一印象

伊勢根付について調べた時、
モチーフが様々で、たくさんの可愛らしい根付作品があることが印象的でした。
かちぐりとかけて勝つことを願う「栗」、伊勢参りから無事に帰ることを願う「カエル」。伝統的なモチーフも職人によって彫り方が違うこと。そして、それ以上にそれぞれの作家オリジナルの意匠でバラエティに富んだ作品が無数に生み出されていること。オリジナルを展開できるレンジが広いことに夢が広がりました。

もう一つはやはり、
一つ一つがめちゃくちゃ高価だし、そもそもどこで買えるのかわからない!なんだこれ!
です。

伊勢市が協力隊を募集する理由は、この「なんだこれ!」の部分を解決したいということなのかなとぼんやり理解しました

▶︎伊勢根付がステキな理由

伊勢根付を知って半年ほど
根付を彫る修行を始めて3ヶ月

伊勢根付の魅力は
もう…ほんとに、山盛りあります

(私の知っている根付は大半が師匠の作ったものなので、中川忠峰作品の魅力は、と言い換えられるかもしれません。)

その中でも今の私が重要と感じる
根付のステキポイント
日頃、師匠がおっしゃる

絵画や他の芸術品は見るだけで普通は触れられないものだけれど、根付は手の中で愛でられる芸術品だということ。

一見、実用品だった背景から生まれる境遇を説明しているだけに見えますが
このことは伊勢根付が持つ、優しくほがらかなぬくもりの理由だと思っています。

根付は帯に通して使うという性質上、引っ掛かりが少なく、優しい形が好まれます。少しシャレの効いた意味のあるモチーフは、気に入ったものを選ぶ楽しみとなります。触れて楽しむこと。そばにおいて愛でること。使うほどにしっとりとした味が出ること。

作り手は心地よい肌触りにこだわり、モチーフの意味に願いを込める。
もつ人への思いやりで、根付は作られます。

数ヶ月伊勢で暮らして、実は伊勢の人でも、伊勢根付の存在を知らないという場面によく出逢います。実際、必需品ではないので知る機会が少ないのかもしれません。

肌身離さず常に触れられる道具だったものが、今は一番遠くの存在になってしまっていることは、少し寂しく感じます。

高価だから高尚で近寄りがたいと思わずに、たくさんの人が伊勢根付のぬくもりに触れられるように。
より多くの方がこの工芸品の良さを感じることができるように。
その機会を作ることが、今の私の活動の目標だと考えています。

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