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無職16日目、旅立つ日の綺麗な空

我々三十路が学生時代、女子生徒が熱を持ってクラスで交わしたたくさんの論争がある。

「制服のリボンの長さはどのくらいが丁度よいか」、「ワンピースはゾロ派かサンジ派か」、「学生カバンは斜めかけが可愛いか、リュックが可愛いか」。他愛もない、どうでもいい話を何時間でも何週間でも話した。

中でも白熱したトピックは、「修二と彰どっちが好きか問題」だったような気がする。

「修二と彰」というのは、学園ドラマ「野ブタ。をプロデュース」に出てくる登場人物の名前である。
亀梨和也、山下智久がそれぞれ演じたキャラクターは、どこか身近で等身大で、多くの視聴者の心に火をつけ、一躍人気のコンビとなったのは皆さんご存じであろう。

学園ドラマだけれど、明るいだけではない。
時に残酷なまでに、誰しもが抱える心の闇や孤独までもをリアルに描いたこの作品が、私も大好きだった。

亀梨君と山Pどっちがかっこいい?と言った話に花を咲かせては、キャッキャと笑いあったあの日々。
私は特別ジャニーズのファンになった過去はない。
でも彼らの話が好きだった。
ジャニーズは必修科目ではなかったけれど、人生のどこかでは必ず交わる道のような気がする。

ドラマの委細については今回説明はしないが、現在特別編が放送されているため、懐かしさもあって視聴することにした。

ドラマを見ていてかなり驚いたのだが、私はストーリーをほとんど覚えていなかった。
自分の記憶力のなさに飽きれてしまったが、物語はなかなかにテツガクしていて、1時間しっかりと見入ってしまった。

私が学生の頃、どんな思いでみていたかももうあまり覚えていないのは少し悲しいなと思いつつ眺めていると、懐かしい聴き慣れたあのギターのフレーズが流れた。

エンディングテーマ「青春アミーゴ」だ。

野ブタ。をプロデュースといえば、この曲!といっても過言ではないほど、大ヒットし愛されたこの曲。

「あ~これこれ。やっぱりいいわあ、この曲」等と思いながら、映像を見る。
ピンクと青2匹の豚の(おそらく修二と彰を表していると思われる)アニメーション。

内容についてザっと説明したい。

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悪者にぼこぼこにされた瀕死状態の青豚を救うため、バイクの後ろに青豚を乗せ海沿いを走るピンク豚。
途中悪者に追いかけられるも、命からがら何とか巻いて進む。

だがその甲斐なく青豚は力尽き、バイクから転げ落ちる。
駆け寄るピンク豚。

回想シーン:よみがえる楽しかった青春の日々。語り合った海辺、笑いあった日常。

♪青春アミーゴ:旅立つ日の綺麗な空

もう目を開けることのない青豚、空を仰ぎ泣き叫ぶピンク豚。
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泣いた。私が泣いた。めちゃくちゃに泣いた。

切ない、切なすぎる。
なんなら、これを書きながらも泣いてる。

映像を見ていただければわかると思うが、青春アミーゴの「旅立つ日の綺麗な空」が歌唱されるちょうどその時、二匹を映した画面がズームアウトし夕日が沈む美しい空を映し出す。

なんというカタルシス!!
全演出がニクい。そして美しい。

本編では全く泣かなかったが、エンディングでこんなに泣くことになるとは。しかも修二も彰も別に出てないじゃん!

そういえば、と気が付いた。
私は学生の時も、同じようにこのエンディングを見るたび泣いていた。号泣していた。わんわん泣いてた。

15年前から、私の感性は変わっていないのかもしれない。

そう思うと、なんだか青臭いようなきがして、少しだけ照れくさくなった。

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