見出し画像

お見合いの仲人をした話 ③(3200字)

続きです。

若い2人を残して(同い年だけどw)、私とKさんはその場を後にした。Kさんから、

「E子さん、綺麗な人じゃないですかー」

え?
だから誰のこと言ってんの?
Kさんまでどうしたの?
あんなのが綺麗なら私含めて世の中の女皆綺麗じゃね?

と思ったけど、

「そ、そう?年齢相応に小綺麗にしてるとは思うけど。レゴさんに気に入られたみたいで良かった」

「レゴさんには勿体ないですよ!」

「そう?見た目的にはお似合いじゃない?
2人上手くいくといいよね」

「そうですね!レゴさん今日は緊張してたけど、決して悪い人じゃないんで、あとはレゴさんの頑張り次第だと思います!」

「そうよね。あとは2人次第だからこっちは知ったこっちゃないわね。Kさん、今日はありがとう。また会社でね!」

「はい!またレゴさんから何かあったら連絡します!」

という事で私たちは別れた。

その日の夜にKさんからLINE。

「今日はありがとうございました。さっきレゴさんから連絡があって、あれから少し散歩して、その後スタバで2時間位話したそうです。次に会う約束はしなかったけど、LINEの交換はしたそうです。レゴさん完全に舞い上がってました!高島さんにもお礼を伝えて下さいと言われました。」

なかなか礼儀正しい男だわね。
私はKさんにLINEを返した後、E子にもLINEを送った。

「今日はお疲れ様でした。レゴさん緊張して変な事言っちゃったけど、悪い人ではないと思います。私としては前向きに考えていったらいいなと思います。レゴさんはE子のこといいと言ってましたよ。自分のことを好いてくれる人がいるって、なかなか悪くないと思います」

夜の9時くらいに送ったLINEですぐに返信が来ると思ったが、

既読スルー

は?
なに?
E子の分際で既読スルーって何?
舐めてんの?

と思ったけど、翌日も返信が来ることはなかった。

は?
何これ?
なんなのコレ?

すると中1日空けた朝方、通勤時に打ったと思われるLINEが、

「返信遅れてごめんなさい。すごく迷いましたが、今回の話はお断りさせていただきます。理由は、お見合いの最中にレゴさんが「会社辞めたい」と言った事です。私はあの言葉は、結婚を前提に考えてる人の前で口に出せる言葉では無いと思いました。本気で結婚を考えてたらああいう発言は出ないし、私はあの一言でこの人は無いなと思いました。

あとは、ウンタラカンタラ××××××」

は?
なに?
なんなのコレ?
いきなり結婚って何?
しかもいつの間にかE子がいい女設定になってるの何?

「ちょっと待ってE子、確かにあの発言は私もちょっととは思ったけど、別にいきなり結婚しろとは言ってないし、一緒に住めなんて言ってないし、子供産めなんて言ってない。
せめてもう1回くらい会ってもいいんじゃない?そんないきなり結婚とか堅苦しく考えないで、ひとまずLINEのやり取りを少し続けてみてもいいんじゃない?まだまだわかんない事あるからさ、そんな1回で決める事は無いんじゃないの?」

すると、

「私は、絶対に結婚する気のない相手にその気を持たすことは酷だと思う。私はレゴさんとは絶対に結婚する気は無いから、もう二度と会う気は無いし、LINEのやり取りもするつもりも無い。あとは、ウンタラカンタラ・・・」

は?
だからなんでいきなり結婚なの?
レゴさんからプロポーズでもされたの?
しかもいつからアンタはそんなにいい女設定なの?
何言ってんの?
バカなの?

と思ったけど、
ここは落ち着いて

「お見合いの後に2人でスタバに行って2時間位話したって聞いたよ。レゴさん、あなたのつまらない話を2時間も聞いてくれたんだって?今そんな人っている?今あなたの話を嫌な顔もせずに、2時間も聞いてくれる人なんている?いないでしょ。そういう人って貴重だよ。大人になればなるほど本当に貴重だよ。だからさ、どうか一つ一つの出会いを大切にして欲しいの。E子自身迷ったんならさ、そこは1回で決めなくてもいいんじゃない?今回は私に免じてさ、ね?」

私の本心だった。
20歳で知り合ったE子は、入社して瞬く間に「とんでも女」になった。E子は特に先輩の男性社員からとことん嫌われた。
E子は昔からそんな子だった。
(私も散々生意気と言われたけど、E子のような扱いは受けていなかった。)

それでもかわいい所はある。私のくだらない話を聞いてくれたり、やり捨てされた男に翻弄された時は本当に可哀想でかわいかった。だから私はE子に「誰かから愛される喜び」を知って貰いたいと思った。多分レゴさんは、E子みたいなとんでも女でも、しぶとく耐え抜く変な癖(へき)があると思う。レゴさんからはそんな節が見えた。

しかしながら、そんな私の渾身のLINEにE子は、


既読スルー


何日経っても返信は来ませんでした。
マジでムカつくんだけど!
こうなるとテコでも動かないのがE子。
私たち同期の間では、「頑な」=「E子」、「E子」と言ったら「頑な」。
たまに誰かが「このゼリー固くなっちゃったよねー」なんて言おうものなら声を揃えて「かたくな」「E子」と言ったりしていた。

(頑なについてのウンチクなげーよw)

話を戻すと、
友達だと思っていたのは私の思い上がりだった。E子には、私の思いは全く伝わらなかった。

その後、私はKさんを通してレゴさんに謝り、レゴさんもすごく残念がっていたけど(結局レゴさんはE子と一通もやり取りせずLINEをブロックされたらしい)、それでも「また何かあったら宜しくお願いします」と言われたので、申し訳ないので私から直接レゴさんに謝罪した。

レゴさんと直接やり取りをしてみると、私の予想通りなかなか面白い人だった。

あー、E子勿体ない、友達でもいいのにね。
なんなら友達の友達とかでもいいのにね。
本当に勿体ない!

その後、E子とはモヤモヤした関係を続けていたけど、なんかどうにもこうにも腑に落ちなかったので、E子からは口止めされていたけど、今回のお見合い話を同期の皆に洗いざらいぶちまけた。
おかげでいい酒の肴になったんだけどw

以上、「お見合いの仲人をした話」は見事失敗に終わったのでした。
なかなか上手くいかないものですね。


実はこの話はこれで終わりでない。

なんで急にこんな5年も前の話を蒸し返したかと言うと、先日同僚のM氏(エロ雑誌でひたすらモザイクをかける仕事をしていた元モザイク職人)から、

「この前ノンフィクションの婚活特集見てたんですけど、あんなの見たら俺、結婚できないんじゃないかと思いましたよ」

と言われたので私はM氏に、

「レゴ氏、諦めたらだめよ。諦めたらそこで終了だよ」

と答えた。

え?
レゴ氏?
え?
レゴ氏ってあのお見合いのレゴさん?

そう、今一緒に働いている元モザイク職人のM氏は、あの時のE子のお見合い相手のレゴさんなのです。

遡る事4年前、コロナのパンデミックの時に、従業員の一人が大発狂して大暴れしてどうしようなくなってしまい、このままだと会社存続も危ういと思った私は閃いた。

「レゴさんに会社に来てもらおう」

と。あの時ちょうど、

「今の会社を辞めたい」

と言っていたではないか。
そうと決まれば話は早い。私は社長である夫に相談し、夫も夫で精神が壊れる寸前2秒前だったので、速攻レゴさんを紹介した。

そして、レゴさんに話をした所すぐに答えが返ってきた。

「よろしくお願いします」

と。


今現在、
レゴさん改めM氏は真面目に仕事をしてくれて、社長である夫の片腕として無くてはならない存在となっている。
そして、私の当初の読み通り、M氏は私のつまらなくてくだらない話をいつも嫌な顔をしないで聞いてくれる。思った通り、本当に貴重な男だ。

私は出会いを無駄にしない。
どんな形であっても無駄にするなんてもったいない。


でもたまにM氏に言われるんだけどね。

「高島さん、俺、いつでもE子さんOKですよ」

って!!!
やめて!!!

M氏、あと10年後にまたE子のこと紹介するよ。きっとその時もまだE子は独身だろうからさ。











この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?