オーダーメイド センパイとコウハイ 一週間後

1週間前はコチラ↓

チロリンチロリン

ここはオーダーメイドスーツを取り扱う、テーラーニノミヤ。老舗中の老舗。

明るくアットホームな店内には、外国製の生地のいいにおいと、小気味よいハウスミュージックが囁くように流れている。

「すみませーん」

先週と同様、私は店内に入るや否や声をかけると、オーナーのニノミヤさんが奥からやってきた。

「高島です。スーツ取りに来ましたー」

「はい、お待ちください。今日は、、、試着は無しですね」

先週はデブな息子村上と一緒だったが、今日は神奈川から来るのが面倒だということで私一人でやって来た。

「成人式ギリギリになっちゃいました。年末で休みに入るかもしれないと思って、急いで来ました」

そんなどうでもいい会話をしながら、私はスーツを受け取った。
本来ならこのまま帰る所なのだが、私はニノミヤオーナーに、どうしても話をしなければならなかった。四半世紀近くかけてためていた、この話を。

「センパイ、実は私、センパイとは中学時代じゃなくて、20代半ばごろに青山のクラブで会ってるんですよ。覚えてませんか?」

「え???ク、クラブ?」

「はい。青山のハウスミュージックが流れるクラブです。私、この前初めてここに来た時に、店内にハウスが流れてたのを聴いて凄く懐かしかったんです。センパイ、覚えてませんか?」

「えー、青山?どこだろう?あの頃、クラブはしょっちゅう行ってたからなぁ・・・」

でしょうね。センパイ、しょっちゅう行ってる風に見えました(まぁ、私もだけど)」

「アレ?もしかして表参道のクラブ?2人組だった?」

「そうですそうです!先輩とは知らず、私から声かけたんですよ。」

「たしか・・・物凄く嫌そうに、声かけて来たよね?」


****

今から23年前、場所は青山(表参道)のクラブ。
いつも行くソウルバーのDJ Zさんがハウスイベントをやるということで、私はB子と一緒に夜な夜な出掛けて行った。いつもはA子も一緒なのだがその日はB子と2人だった。

イベントが終盤に向かう際、B子が私に囁いた。

「アヤ!あそこにいる人、超かっこいいんだけど。

超タイプ超タイプ超タイプ


アヤおねがい、声かけてきて。
一生のお願い!私はタイプ過ぎると自分からは声をかけられないの。アヤならできる!
行け!行け!行け!」

「ちょっ、どれよ?」

「ほら、あそこにいる、オシャレなサブカル風の・・・」

「マジかよ。私全然タイプじゃないけど」

「お願い、お願い、一生のお願い!!!」


ってことで、


「こんばんは~
すみません、先に言っておきますけど私じゃないですから~
私じゃなくて、あそこにいるオカッパの顔が濃いめの(B子を指さす)、アレ私の友達なんですけど、すっごくかっこいい人がいるから声掛けに行ってこいって言われて、私すっごく嫌だったんですけどすみません。ちょっと話して貰ってもいいですか?」

超失礼で下手過ぎる逆ナンwww


にも関わらず、
私は見事成功して、モジモジするB子をサブカル風オシャレ男子に紹介した。

こんばんは~
かんぱ~い
うえ~い

(相変わらずアホすぎるノリ)

サブカル風オシャレ男子は友人と2人で来ていたんだけど、こういう時に2人組って辛いのよね。なにせ、B子がサブカルと2人で話すと、全くお互い興味のない残りの2人で話さないといけないからwww
仕方なく私もサブカルのツレもテキトーに踊っていると、B子がやってきた。

「ちょっと!!!あの人、ショウ君っていうんだけど、一個上でアヤと同じK市に住んでるんだって」

「マジ?中学どこか聞いてみて」

「五中だって」

「ちょ、ちょ、ちょ、苗字は・・・?」

「ニノミヤだって」

「ヤダ!もしかしてテーラーニノミヤ?」


そんな偶然もあって、私達はクラブの後に4人で地元のファミレスでお茶をすることになった。
B子はキャッキャと舞い上がっちゃって、私はオール明けの朝の妙なテンションで、比較的先輩が穏やかでおとなしめの人だと判断して、地元ネタでウザ絡みしながら、いつものノリツッコミのオンパレードで暴走しちゃったのよwww。
もう一人、先輩のツレだけは輪の中に入れなくて、それが今思うと物凄くウケルんだけどwww

そんな感じでB子はニノミヤセンパイと連絡先を交換して、その場は別れたんだけど、、、

その後B子は、デートまで持ち込んだはいいけど、1回限り(健全デートですよw)であっけなく降られたとの事。
「ショウ君、彼女候補がもう一人いたみたいで、私とどっちにしようか迷ってるって言ってた。まぁ、どうやら私は負けたようなんだけど。えーん、悲しい。もの凄くタイプで、もの凄くかっこよくて、もの凄く優しくて、ほんっとにパーフェクトだったのに・・・

多分、アヤのせいだよ


地元にヤベー後輩がいるって知って、そんなのが友達だって思って私のこと降ったんだよ。だって、アヤかなり暴走してたじゃん。ショウくんにバカみたいな事いっぱい言ってたじゃん。ちょっとアヤ責任とってよ!!!ちょっと、ちょっと!!!」


うるせーよB子、人のせいにすんなボケ
全てはおめーの魅力不足だよ

***

と、そんな事があったんですよ。
モテモテだったセンパイは、イマイチ覚えていない程の出来事だったかもしれないけど、私にとっては、

初めて自分からナンパした相手が中学の先輩だった


という、何ともいかんともしがたい偶然の出来事だったので、ずっと覚えてたんですよね。(B子がこっぴどく振られたのが面白かったってのもあるけどwww)

そんな感じで、
私はテーラーニノミヤオーナーと昔話に花を咲かせて、ついでに先輩が中学時代も後輩からモテモテだったことを話して、どうにかオーナーの気を良くさせて、ネクタイの1本でもサービスして貰おうかと思ったけどダメだったわ(あたりめーだよw)。

しかしながら、
なぜ私がその場でこの話を先輩にしなかったのか?1週間後まで溜めてたいたのか?その理由は、、、


20歳の息子に母がかつて遊び人だったとバレたくなかったから


クラブだのナンパだの、息子の前ではしたくないですからね~

ほらほらやっぱり母親って、
子どもの前では、いつも純で潔癖で生娘のままでいたいじゃないですか。だからね、ほら、


母親が生娘なら息子生まれてねーよ



って、そうだよね。
そうだよそうだよソースだよね!
しかも、息子には母がパリピだった事は薄々バレてるんだけどねwww



ということで、
今年もありがとうございました。(相変わらず雑な終わり方w)

皆様よいお年を~


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