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当時の日記より56@2009 10/6

毛布とタオルケットをかけて寝ている姫(母)だが、昨夜はすごく寒かったので毛布を羽毛布団に変えておいた。退院中に風邪なんかひかせたら大ごとだ。

ところが今朝起きていくと毛布に戻っていた。本人曰く「羽毛布団が重くて寝られなかった」と。

この発言に衝撃を受ける。もともと細い人が食べないから更に痩せていき、ついに布団の重みすら辛いと言い出したのか。本格的な冬が来る前に対処しなくてはと慌ててパソコンを開き超軽量の布団を探し始めた。すると何が怒りのポイントだか分からない姫が猛烈に怒り出す。

「なんで買うのよ!卯月は本当に無駄遣いばかり。お金の使い方を知らない!」

唖然として検索する手が止まる。腹を立ててはいけないと懇切丁寧に説明をする。今から探しておかないと冬に困るよ、それより軽い布団なんて見つけられないかもしれないからと。でもどうしても姫には伝わらないのだ。

「寒くなってからまたかけてみて、その時に重いか考えればいいことじゃないの!」

と激怒。そして

「10月から羽毛布団をかけたりしなかった!今までは!!」

と言い出した。

「あのね、今、重いと感じるものが冬に軽くなるわけないでしょ。もっと寒くなったら羽毛布団に毛布もかけるんだよ。なんで分からないの?私は姫が何に怒っているのかが分からない」

「しつこいわよっいい加減にしなさいよっあなたは昔からしつこい性格だった。ちっとも直ってない」

はっと閃いた。この人、言葉のチョイス間違ってるのではないか。

「ねぇ、もしかして布団が重かったんじゃなくて、暑かったって言いたいんじゃないの?」

姫が黙る。図星だった模様。

マイルールで自分をがんじがらめにしているアスペルガー。姫は羽毛布団を10月から使うべきではないと設定しているのだろう。臨機応変、例外という言葉が姫の辞書にはないから。

言葉で的確に自分の思いを表現することが出来ないアスペルガーの姫。今後このような厄介な事例は増える一方だろう。その度に私は言葉を変換し、むやみに怒られながらも真相にたどり着くしかないのだ。

昔から数字と天気予報が大好きな姫。それが何故なのかずっと理解出来なかったが、今はなんとなく分かる。変化じゃなくて断定と捉えているからじゃないか。自分で決めることが苦手だから決めてもらうのが楽。そしてセンテンスを理解出来ずに断片的な言葉だけ拾うから「今日は雨が降るかも知れません」も「今日は雨」だと認識するに違いない。

朝食後、ベッドに戻った姫は天気予報が『今日も昨日に引き続き寒い一日になるでしょう』という言葉に安心し、毛布を再び羽毛布団に戻した。そして言葉=音。いつものような大きな独り言をつぶやく。

「10月でも寒いんだから羽毛布団使ってもいいわよね。重いと思ったのは久しぶりにかけたからよ。うん、平気平気。全然重くないわ」

私はもう4日続けて下痢している。理由は...改めて記すまでもない。


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