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当時の日記より75@2009 12/15

姫(母)は今日、入院しました。

昨晩ひと悶着した。蒸しタオルを渡した時に自分の足を見て

「ちょっと見て!すごいむくんでる!」

と騒いだ姫だが、どう見ても変わらない。

「いつも通りだよ」

と声をかけたらぶちキレた。

「卯月が私の足の状態なんて知ってる訳ないじゃないの!!」

じゃ聞くなよー。その後も延々とやつあたり。面倒なので黙ってやり過ごす。どうせ何言ったってキレるだけなんだから。

今回はナースステーション隣の二人部屋になった。入院患者のやりくりが出来なくていつもの4人部屋ではないと説明を受けたにも関わらず、姫のマニュアルでは『ナースステーション脇は今日、明日にでも死ぬ患者が入る部屋』という認識なのだ。だって同室の人は検査入院してる若い女性だよ。ピンピンしてるし。

担当ナースが入ってきた途端に姫は

「ねぇ、見て。足がひどくむくんでいて心配なの」

看護師さんは一言

「いつもと変わらないじゃなーい」

ほら見ろ。ようやく安心した姫。私の言うことは信用しない。給湯室に向かう途中、師長に呼び止められた。

「姫、どう?」

「ばりばり落ちてる」

大爆笑。

「部屋のことでしょ。ナースステーションに近いから私は死ぬとかなっちゃってる?」

「正解!」

「本当に一つ気になるとそのことだけでいっぱいなんだね。卯月さん休んでよ、こっちで預かってる時くらい姫のこと忘れなよ。あ、でも...」

「何?」

「卯月さんに会いたいって待ってる患者さんがいっぱいいるのよ。おしゃべりしたいんだって。悪いけど、顔見せてあげてくれる?」

どういうわけだか私は老人にモテる。そんなわけで今日も6人の患者さんたちとおしゃべり。娘みたいな感覚なのだろうか。そてし姫の部屋に戻り荷解きをしているとまた姫がキレた。

「肌着が一枚しか入ってないじゃないのっ」

「あるある。その袋に下着が入りきらなくて別の袋に分けたの」

臨機応変は姫の辞書にないから融通がきかない。

「肌着はこの袋って決めているでしょうっ一緒にしまわなきゃ分からなくなるじゃないのっ」

荷解きも整理も全て私なのに怒ることか!と思いつつ、それがアスペルガーだから仕方ない。怒られっぱなしで堪える。理不尽だけど堪える。

すると次に

「あら。リンゴでも剥いていれてくれたかと思ってたわ」

「え?キウイとりんごは自分で詰めるから触らないでって言ったよね」

「言ったわよ。でも、りんご入れ忘れちゃったの。そこに気づいて用意してくれるのが娘の気遣いなんじゃないの?」

え?えぇぇぇぇ....。

姫の主張はいつもめちゃくちゃで理不尽。疲れる。




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