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当時の日記より81@2010 1/3

姫(母)は干し柿が大好きだ。私も好きなのだけれど、ここでも好みは分かれる。姫はあんぽ柿など粘り気の強いもの。私は市田柿が好き。つまり姫は市田柿は嫌い。

姫の友人がお手製の干し柿を送ってくる。それが運悪く市田柿テイスト。私は大喜びし、自宅に持って帰ろうと思っていた。嫌いな物を持ち帰っても文句ないだろうし、好きなものだって冷蔵庫にためまくって結局捨てるのだから、私が美味しく頂くのが最善策。

何やら冷蔵庫をごそごそやってるなと思ったら干し柿を探していた。

「私はこういうの嫌いだから、持って帰るのは構わないわよ。でも私に食べさせたくて友達が送ってくれたものなのよ、少しでも食べなくては申し訳ないじゃないの」

これは多分認知症的発言。ずっと観察しているとアスペルガー的発言か否かが分析出来るようになってきた。私が好きな物はお裾分けするな、全部一人で食べるんだと言う発言は他人に向けてのものだった。食に対する所有欲がとうとう家族にも向けられたのだ。惨めだな、そういうの聞かされるの。

ご近所さんからお汁粉のお裾分け。

「お餅は咀嚼して小さくなるものじゃないから、初めから小さく切ってね。お母さん心配だし」

と有難いアドバイス。

姫はお餅が好きだが、私が怖くてあまり出さない。昔から飲み込む力が弱いのか誤嚥することがとても多いし、ましてや餅なんか詰まらせた日にはどう対処していいか分からない。何度も本人に告げたり、小さく切ってから出したりしているが、それが気に食わないと怒る。老人扱いをされていることではなく、自分が思い描く形状でないから許せないのだろう。決めたことは曲げられないアスペルガー。ご近所さんのアドバイスを伝えると途端に不機嫌に。

「分かったでしょ?私がひとりでやきもきしているだけじゃない。噛んでも小さくならないから初めから小さくして出すのが大事なんだって。磯辺焼きよりお汁粉やお雑煮がいいんだよ。水分が後押ししてくれるから」

「しつこいわね、分かったわよ!よく噛んで食べればいいんでしょっ」

話、振り出しだ...。

一つ気になったらそれだけで頭がいっぱい。入院が近づいた数日前から

「今度入院したら売店で小さなお醤油を買おう。売ってるかしら?売ってなかったらどうしたらいいかしら。みんな持ってるから私も欲しいの」

「売ってます。前、売店で買ったでしょ」

「うん。そうよ」

質問の後に肯定。これが本当にイライラする。

今夜も

「明日、散歩のついでにスーパー寄ってね。小さいお醤油が欲しいの。あると便利なのよ。売ってるかしら?売ってなかったら病院の売店で買えばいいかしら」

気が狂いそうです。

更に続く。

「荷物を詰めないとね。私が見なくちゃ分からないんだから、自分でやるわよ」

早く入院してください...。





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