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当時の日記より73@2009 12/12

姫(母)の友人から荷物が届いた。米、味噌、もち米、にんじん、里芋、じゃがいも、こんぶ、キウイ、干し柿。もうため息しか出ない。っていうかまたキウイ。なんでキウイ?!

箱の中を覗いた姫が言う。

「あーっもち米が入ってるー!良かったわ、お赤飯作ろう。だって私家事出来るんだもの。あらじゃがいもも。ちょうど切らしたところだったから助かるわー」

苦しい。こういうのいつまで聞かされるのか、私は。姫は手指に現れる副作用のせいでもう長いこと炊事なんてしていない。じゃがいものストックは十分ある。調理はしないけど、そういう言葉を呟きたいのだろう。

姫に存在するマニュアル。こう言われたらこう返そう。型どおりの言い方で話す。それがいつだって喧嘩の種になってきた。

ここにきて、ますますひどくなっているのだ。更にもともと順序立てて伝わりやすいように話すのが苦手な人。前置きなくいきなり本題を切り出される。

「好きって言っちゃダメってまた卯月に言われるだろうけど、私ドリアって好きなのよね」

???

「えっと。私はどうして姫に『ドリアを好きだと言ってはいけない』って言ったんだっけ?」

「残すから」

「ん?」

「いつも言うじゃない。何だって残すんだからこれが好き、あれが好きって言うなって」

分かった!

「私って何でも好きだけど、〇〇だけは嫌いなのよって言い方のことじゃないの?みんなに驚かれるほど偏食がひどいのに何でも好きで食べられますって言い方はおかしいよって注意したの。それはね、好きな物を好きって言ったらいけないよってことではないの。分かる?」

姫、ぽかーん。情報量が多すぎたか、全く会話についてこられない。分かってる。正したところでどうにもならないのは。でもただ一方的に聞かされ続けるのは辛いのだ。

辛い時は距離を取る。気持ちを静めようと廊下でキウイが入っていた箱を畳んでいた。すると慌てて飛んできて

「箱は捨てたらダメよ。使うんだから」

「使わないでしょ、いつだって捨てるな取っておけって空箱が山積みになってるじゃない」

「絶対使うの。お兄さんに荷物送るためにそれを使うの」

頭にきて別の箱を畳んだら

「それも使うのっ!!」

目に見える物がなくなってしまうことが彼女にとっての変化であり、恐怖そのもの。だから一度視界で捉えた物は捨てたくない。世間一般のいわゆる「ゴミ屋敷」の住人ってメンタルに問題を抱えている人が多いのだろうな。

私は気が狂いそうだ。


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