当時の日記より67@2009 11/17
姫(母)は昨日退院した。
入院した時より荷物が増えているとイライラしながら洗濯物を取り出していたら、せんべいを発見。病院の売店で売られているもの。
一枚売り100円の大きなおせんべいがあって、姫は梅ざらめ味がお気に入り。ただ人気商品ですぐ売り切れる。私が頼まれて買いに行った時もなくて、仕方なく塩味としょうゆ味を買ったら「嫌い。食べない」と拒否された。それなのに!しょうゆ味が10枚も入っていたのだ。
「食べない物を何故買うの」
と責めたが
「食べるもん」
の一点張り。もちろん食べない。
退院のタイミングに合わせて今日、レンタル家電のレンジが届く。あと歩行の力が弱ったので車椅子も専門業者からレンタルした。あいにく今日は雨だから車椅子に乗せられないけど、明日からは活用予定。
夕食に「ささげ菜」のお浸しを出した。知らない物は絶対口にしない姫だが、見た目が三つ葉に似ていたのと豆が好きなのでガードが緩んだらしい。(私の夫は北海道出身。姑が小豆の代用でささげでお赤飯を作ることがあるのでささげという名前は耳慣れていた)
姫は嬉しそうな顔をして
「へぇーささげ。小豆に似てる豆なのね。初めて知ったわ。今までレンズ豆だと思っていたもの」
姫と私は食の好みが合わない。私はあまり豆料理が好みではないので知識がなかった。単純に会話を広げようとして話に乗った。
「ささげは見たことがあったけど、名前を知らなかったんだ」
「ううん知らないわよ、今初めて知ったもの」
「え?じゃ何をレンズ豆だと思ってたの?」
「ささげ」
「...今、初めてささげを知ったって言わなかったっけ?」
以下、エンドレス。
近頃会話のパターンで多いのがこれ。他にも、姫「これは白よ」私「違うよ、黒だよ」姫「黒よ、あなた何を言ってるの!」みたいな。
ネットで調べものをしていたら偶然、あの梅ざらめ味のせんべいを発見。しかし問屋なので小売りはせずに箱売り。しかも売店で扱っていない味もある。それをつい口走ったものだから買って、買ってとやかましい。
「美味しいかどうか分からない物を1箱単位で買うなんて嫌だよ」
と拒否したが、もう耳に入れてしまった情報を消せない姫。
「食べるもん。絶対食べるもん」
言い出したら絶対にひかない。
悲しいくらい食への卑しさが増す。自分で食べた羊羹の残りを何処に置いたか忘れ、私が勝手に食べたと八つ当たりしているうちに思い出したようだ、私は羊羹が嫌いで食べないことを。
そうこうしているうちに大好きな兄から届いた塩ウニのことをまた思い出した。
「お兄さんからもらったウニどうしたかしら。冷蔵庫?冷凍庫?ねえ何処にあるの、出して見せてよ」
限界超えた。
「それさ、私が勝手に捨てたかどうかの確認をしてるんじゃないの。別に今食べたくて聞いてるんじゃないよねっ!」
固まってるから図星だろう。でも気になって仕方なくてごそごそと探しだしてようやく見つけた。ずっと入ってるそれ、どうする気なんだろ?と見ていると
「あぁ良かった。入ってた。明日食べよう」
と再び冷凍庫に戻したから食べない、絶対。
どうしてこんなに卑しくなっちゃったんだろうね。見ているのが哀れだよ。
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