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当時の日記より78@2009 12/27

今日は日曜日。一般的に老人は朝が早いというが、姫(母)はとにかく寝るのが好き。しかし入院中はそうも言っていられない。それに家へ戻ってきても薬の時間があるので、昔のように目が覚めるまで寝てるのは不可能だ。更に日曜は食前に服用する薬があるため逆に早く起きなくてはならない。

それが分かっているのに、姫マニュアルに書かれている土曜の夜に口にする文言を呟くからイライラする。

「明日は日曜日だからゆっくり起きましょうよ」

「姫、お願い。毎週同じこと言わせないで。日曜日はいつもより早く起きるの。フォサマック(骨粗しょう症治療薬で服用後30分は飲食と横になることが厳禁)飲まなきゃいけないんだってば。ゆっくり起きたらそのあとの薬の時間もどんどんズレこんでいくよ」

どういう訳か姫はタルセバを10時半に飲まなくてはならないと決めている。そのため日曜日は7時半フォサマック→8時半朝食と食後の薬→10時半タルセバというスケジュールだ。数字にこだわる姫はこれを絶対に変えない。

10時頃、午前中の家事を終えた私は少し休憩したくて2Fに避難した。すると5分も経たぬ間に携帯が鳴る。具合が悪くなったのかと慌てて下りると見下したような笑みを浮かべて姫が言った。

「薬出してよ。忘れたわね、だらしない」

「何の薬?」

「タルセバよ!まだ飲んでないのよ!」

「え。それはまだ時間になってないからだよ」

「はぁ?何言ってるの?10時過ぎてるじゃないの、早くしなさいよ」

「タルセバは10時半って姫が決めたんだよね」

「は?誰が?私が決めるわけないじゃないの。私はいつだって10時に飲んでいるんだから」

怒りで叫び出したくなるのを抑えて説明した。朝食から2時間空けなくてはならないと姫がルールを作ったこと。それを破っても構わないなら今タルセバを出すよ、どうする?と。すると姫がキレながら答えた。

「10時半に飲むって言ったのを私が忘れたんでしょうっ!だったらそれでいいわよっ」

え、いや、なんで私が怒られてる?

入院中は他人の目もあるので、しゃんとしている。自宅に戻った瞬間気が緩むのか言動が怪しくなる。刺激を与えるのが大事だろうと車椅子で出かけるようにしても、押し慣れていない私は腰痛を起こすようになった。けれど外に連れ出さなければ言動がおかしくなって私の苛立ちは増える。

どっちにしろ地獄。


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