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当時の日記より147@2010 10/1

師長と立ち話。『地下一階って何階よっ!』激怒事件の顛末を伝えていると

「ごめん、ちょっと待って」

と話を遮り笑い転げた。そうなの。人が聞いたらまるでギャグなの、姫(母)の言動は。今度の退院中に旅行に行くつもりだと告げると、師長の顔には『はぁ?無理に決まってるし!!』と書いてある。

「今回は腕のことがあるからいつもより入院は長いですよー。もし私の前でその発言が出たら『今は無理だからもっとよくなってからにしましょうね』って言うわ」

薬の副作用で言動をおかしくさせているとは考えづらい。脳転移の箇所が記憶障害を悪化させているのではという見解だった。

10/3

愛犬が体調を崩し慌てて動物病院へ。心配で心配でたまらない。姫のところへ行ってる場合じゃないのだが、新しい担当医と話をしなくてはならない。

2008年に初代の愛犬が亡くなり今はこの子だけ。大切にしているし、姫も可愛がっているので気にして電話をかけてきたほどだ。

想像すれば分かるだろう。この状態で姫の要望に添える買い物をしていく余裕がないことくらい。それでもパンと前から買ってくるように言われていた中村屋のかりんとうは持参した。

「なんでそれしか持ってきてないの?私色々頼んだわよね」

「マイヤーが大変なの、伝えたよね。それなのに留守番させてきたんだよ。早く帰りたいの。ここに来るだけだって大変なんだから少しくらい我慢してよ」

「頼んだ用事もこなしてくれないならもう帰れば?先生には急いでて先生が来るまで待てなかったからもう帰りましたって言っておくわよっ」

いや、それ担当医に喧嘩売ってるだろ。

約束の時間を30分過ぎて担当医が現れた。姫はもちろん聞きたくないと拒否し私だけがカンファレンスルームへ。

効果がなくなったと中止にしたアリムタに何故戻るのかを質問。すると15回も投与出来たのは姫の体質に合っていたから。長期に渡る癌の治療をする高齢者の場合体力が衰えてゆくため、抗がん剤は弱い物に変えていく。試したいものはあるけれど選択肢にならない。ならば一番相性の良かったアリムタに戻そうかということだ。

聞きながら泣きそうになっていた。だってアリムタの副作用は下痢。またあんなに神経張り巡らせる日々が戻って来るのかと思ったら私が辛い。もうこんな緊張から解放されたくてたまらない。

抗がん剤の投与サイクルに合わせて入退院をしている姫だが、アリムタだと入院期間は他の抗がん剤よりに比べて短く1週間。2週間は自宅療養となる。在宅時間が長いほどに私の負担は増すばかりなのだ。

介護は地獄だ。


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