よこしまな子猫


塀の上をしとしとと、歩く

塀の上から見る街並みは

彼女のそのエメラルドグリーンな瞳に映り込んで

ビー玉の中に街がある

誰かの笑い声が

彼女の耳をかすめて

歪んだ人の罵声が

盛りのついた猫のよう

そこの角を曲がると空き地があって

猫がたむろする

私はそこへはいかず

一度塀をおりて、そのまま真っすぐ、またぴょんと塀の上へジャンプする

野良犬が最近増えた

同じ野良でもゴミを漁る犬と

愛敬で餌にありつけるわたしは

きっとわたしの方が幸せに違いない

野良犬は薄汚れていて

わたしはシルクの様な毛並み

風が吹けば猫じゃれ声で泊めて貰い

お日様がご機嫌なら

日光浴

水溜りに写るわたしは

本当は誰なのか

木の上にのぼるのも面倒くさくって

もっぱら塀の上さ

あからさまに

笑うのもつかれて

いっそのこと誰か、かわりに肩の上でわらってくれ

カラスの1時間目の授業がおわるころ

わたしは夢の中

夢の中でもわたしは

愛敬を振りまいて
 
美味しいご馳走と

暖かい毛布にくるまる


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