タスク管理に挫折した私にも

育休からの復帰不安すぎ

 あやめと申します。長女出産以来育休取得中のアラサー主婦です。来年度4月1日をもって復職する予定なんですが、上の子が幼稚園に行き少しだけ余裕が出てきましたので、そろそろ何かしら準備していかねばな…とぼんやり考えています。
 準備といっても、服や文房具なんかの仕事に必要な物品を買うのは年明けで十分だし、下の子の妨害にあうので腰を据えてエクセルの勉強とかもちょっと難しい。今のところ実践しているのは、復職後を想定して9時〜17時のあいだはできるだけ家事をしないことと(昼食はお弁当を作っています 弁当記事もそのうち)寝かしつけタイムを利用してkindleで何か役に立ちそうな本をぼちぼち読むことです。そんな中で出会った一冊について書きつついろいろと考えてみます。

仕事がダメだった人の記事が読みたい

 育児家事に忙殺されすっかり仕事のことを忘れていたのですが、少し生活に余裕が出てきた最近、復帰後の生活についてぼんやりとした不安感に襲われるようになってきました。不安を解消しようと「時短勤務 タイムスケジュール」「育休復帰 不安」などとググっては記事を読むのですが、読んだところでやっぱりモヤっとした気持ちに変化はない。
 ワーキングマザー関連の記事、一時期までの短時間睡眠スーパーマンが持てはやされる風潮は去ってきて、ずいぶん普通っぽい感じのものが増えてきたんじゃないかなと思います。8時間は寝る、家事は自分で抱え込みすぎず外注する、夫や家族とシェアするなどなど…。しかし、そんな「肩の力を抜いてやってこ〜」みたいな記事を読んでも、自分にはハードルが高いように思えてしまいました。なんだかんだいいつつ、みんな仕事はできてるのでは?復職したらやっぱりダメで仕事やめたみたいな記事ないじゃん。10時〜16時は集中して仕事⭐︎って1行だけじゃ参考にならねぇ~!やっぱり私には幼児二人抱えて仕事とか無理じゃないですかね…。

タスク管理の本に出会った

https://www.amazon.co.jp/要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑-F太/dp/4801400744

うじうじ悩んでいる中、Amazonで見つけて「これは私のために書かれた本では?」となったので秒で購入しました。あまりに紹介文の内容に身に覚えがありすぎたので…!

仕事をつい先送りして、地雷化させてしまう
どうやったらいいかわからない仕事を前に、ウンウンうなって時間だけ過ぎていってしまう

抜け漏れ忘れがしょっちゅうある
ささいなミスも重大に受け取ってしまったり、他人のミスを自分のせいだと感じたりしてしまう

1つの仕事に集中できず、結果どの仕事もなかなか完結できない
デスクの上やパソコンのデスクトップがどうしても整理できない
現在、休職中、あるいは転職検討中で、次の仕事に不安を感じている

 育休中現在はなんとか平穏に過ごしていますが、休職前はまさに上に書かれているとおりの状態でした。さっぱり仕事ができず抜け漏れ忘れの毎日で、最初は優しく指摘してくれた上司や同僚もだんだん冷たくなり、それにつれて体調も悪くなってくる。眠れなくなり、毎日ボーっとしてますます仕事ができなくなる。朝出勤途中の電車で気分が悪くなり、職場までたどりつけない日もある。食欲がなくて朝食がのどを通らない。耳の聞こえが悪くなって電話が聞き取れないときもある…。結婚出産に逃げるという表現を使うのは問題あると思うんですけども、まさに職場から逃げるようにして育休に転がり込んで今に至ります。

 育休から復帰する人向けの記事を読んでいてもいまひとつピンときていなかったのは、自分の不安が「育児家事と仕事の両立」ではなく「仕事」そのものにあり、ピントがずれていたからのようです。復帰前にろくにできなかった仕事を、幼児2人の育児という負荷が増えた状態で再開したらどうなってしまうのか。また体調を崩して、工夫を重ねてやっとのことで回せるようになった家事育児もダメになってしまうのではないか。そこが不安だったのに、読む記事の内容は仕事ではなく家事にフォーカスしたものばかり。どうやったら家事の手を抜けるか、短い時間でこなせるかというものが中心でした。

 私が読むべきだったのは、家事の本ではなく仕事の本だったみたいです。幼児のいる共働きの生活を回していくには、自分自身のこころとからだの健康が何よりも欠かせない。今後も円満に家庭を運営していくためには、自分の問題を解決しなければならない。小手先で胡麻化そうとしても、最終的には人並みに仕事ができるようにならないと家事もやっていけないのだ、という結論に至りました。

当たり前に仕事をして
毎日を平穏に過ごせる。
「自分はここにいていいんだ」と
安心できる。
こんな「普通」ができるようになる方法を紹介する本です。

「仕事のできる人になりたい」「バリバリ活躍したい」なんてとんでもない。普通に仕事をして、毎日怯えずに会社に行けるようになりたい、というのを新卒の頃からずっと切に願っていました。心身ともに休んでから復職する機会に恵まれたのを機に、今度こそ普通の社会人として普通に過ごせるようになりたい。そのためには、今からできることは少しずつでもやっていきたいと思っています。

家事をタスク管理で分解してみる

 さて、具体的なやっていく内容です。上記の本の紹介されていたタスク管理アプリの使用と手順書の作成を実践してみようと思います。職場のセキュリティの関係上、復職後はおそらくエクセルで管理することになると思いますが、まずはタスク管理自体に慣れるため手軽に使えるアプリと手書きのメモを併用しながら家事タスクを処理してみたいと思います。

本の中では色々なアプリやツールが紹介されていますが、普段のスケジュール管理をgoogleカレンダーで行っていることから、連携が簡単なgoogle todoを使ってみることにしました。表示がシンプルで使いやすそうです。パソコンでgmailを開き、右側にあるボタンをポチっと押したら即使えました。

ものの試しに

「子供の写真のフォトブックを作成して実家に送る」

タスクをアプリに登録してみます。
 毎年両実家に送ってるフォトブック、そういえば今年はまだ作ってないな…やらなきゃな…面倒…と唸りながら早1か月経過。先送りが過ぎてタスクの存在自体を忘れかけていました。

作って送らなきゃな~とぼんやり思っている段階からやることは、まずそのぼんやりした思考をアウトプットすること。

フォトブックを作成して実家に送る

と書きます。これで頭の中から出ました。ちょっとスッキリ。これを細かく分ける前に簡単に2つに分けます。

フォトブックを作成する
実家に送る

必要そうなことを書き出してみます。

画像1

書いてみたらだんだんと引っ掛かりが見えてきたので、さらに細かく分けてみました。

画像2

 一行で表してしていたタスクが、書き出してみればこんなに細かい小タスクの集合体だったということがわかりました。実際はプチプチを買いに行くあたりで止まって先送っていた案件なのですが、書き出してみたらスッと頭がクリアになった感覚があり、直後に冷蔵庫に貼ってあるホワイトボード(買い物するものをメモしています)に「プチプチ」と書くことができました。

画像3

 残りはアプリに登録してみました。その後も小タスクをサクサク消化、アルバム到着後2週間放置していたのが無事送付完了。アプリ登録後たった1日で実家に電話までできてしまいました。

新卒の頃の苦い記憶

 あまりにケアレスミスが多い私に、当時の上司は「紙のリストに案件を記入してはどうか」「印鑑をしまう引き出しにチェックを促す付箋を貼ってはどうか」など提案してくれました。指摘されるたびにビクビクしていましたが、今思えばできない新卒に寄り添ってくれる親切な上司でした…。しかし、紙のリストも付箋も効果は上がりませんでした。リストは運用していくうちにだんだんと書き漏れが出て最終的に書き込まれることはなくなり、付箋は背景と同化して「決済前にチェック!」は実施されなくなりました。

「私のことバカにしてるの?」
「こんな簡単な仕事はどうでもいいと思ってるんでしょ?」

 こう言われたのを覚えています。バカにしてるつもりはないんです。自分としてはキチンとやりたいと思っているのに、どうしてもできない。書き留めたいと思っているのに、目の前の仕事をやってるうちにリストも付箋も頭から消えて行ってしまう。記入漏れが増えたリストは見るのも嫌になりました。期待に応えられない。周囲の人が次第によそよそしくなり、最終的にはだれも話しかけてくれなくなる…。
 今思い返しても、のどの奥がウッとなる苦い記憶です。その後手帳に書いては続かず挫折、卓上カレンダーに書いては書き漏らし、と散々な結果で、常に「何かやり漏らしてる仕事があるかもしれない…」とおびえつつ催促された仕事を誤りながら片付ける日々を送っていました。

 このように散々タスクの管理に挫折してきた私が、アプリを入れて1週間、スムーズにタスクを消化できています。見るのも嫌どころか、何かアプリに入力できるものはないか暇な時間にふっと考えたり、消化できるタスクがないかな~と眺める時間も作れています。この違いはなんなんだろうと考えました。なんであっさりできるようになったんだろう、あんなに胃に穴が開きそうなほど悩んでいたのに。

先送りは「不安」と「やる気出ない」の合わせ技

 書き出して分けるだけで、なぜ今まで手を付けられなかった先送りタスクを片付けられるようになるんだろう?と考えていたのですが、ADHDの脳の特徴が書かれたネット記事など色々と読んでいたら、なんとなく理由がわかったような気がしてきました。

 先送りは「不安」「やる気不足」の集合体なのではないかと思います。上に書いた例をみてみると、頭の中でぼんやりとフォトブック作らないとな~と思っている時点で頭に浮かんでくるのは

「前作ったときにiPhoneからうまくデータが吸い出せなくて困ったな~」
「そういえば封筒どこにしまったっけ」
「コロナで郵便局の営業時間が短縮になったみたい」

などなど、モヤっとした不安です。この不安があると「なんかめんどくさそうだし、今日は元気でないから明日にしよう…」と先送りしてしまいます。書き出した一番最初の小タスク、これは3分でできる作業です。すぐできる上に、実行する際特に不測の事態は生じない作業のはずです。この本来ならスムーズにできるはずの最初の1手にとりかかることができないのは、先のモヤっとした不安感に頭が占領されてしまい、簡単にとりかかれるということが見えなくなってしまう状態なのではないかと思います。

 発達障碍児向けの療育手法にABA(応用行動分析)というものがあります。専門ではなく本を数冊読んでみただけなのですが、その手法のひとつに似ているところがあるのではないかと感じました。行動を細かく分割して(スモールステップ)こまめに褒めていくことで実行を促すというものがあるようです。例えば、手を洗うという動作を「手洗い場の前に立つ」「蛇口をひねる」「手を濡らす」「ハンドソープをつける」などと分割していって、適当なタイミングで褒めていく、というようなものです。
 手を洗えない子供に対して、本人が見通しの立てられる単位に動作を分解することで不安を軽減する効果があるようです。「手を洗う時に水が服にかかってしまうかも」と不安に思う子供に「とりあえず手洗い場の前に立ってみよう」と言葉がけをするのは、フォトブックの例でいえば「iPhoneからうまく写真が吸い出せないかもしれない」不安をとりあえず横においておいて「とりあえず前回のアルバムを取り出してみよう」と最初の作業に意識を向けることに対応すると思います。

 また、ADHDの脳の特徴として脳内報酬系の活動が低くドーパミンが出づらいというものがあります。やる気が出なくて行動できない。作成したフォトブックを送った時点で大きな快感が得られるのはわかっているが、ゴールの地点が遠すぎるので最初の1歩が踏み出せない。私たちが「手を洗いなさい」と言われるだけで手を洗えるように「フォトブックを作って送ってください」というだけで作って送れる人もいるのです。送れるタイプの人のすぐ仕事に取り掛かれる人からすれば、よかれと思ってアドバイスをしたのにグズグズ仕事に取り掛からない同僚は、手を洗えない子供と同じように見えるのではないでしょうか。

 タスクを分解することで自分が把握できる時点に小さいゴールを作り、ゴールしたところでチェックを行って報酬(ドーパミン)を受け取る。受け取った報酬(ドーパミン)を燃料にして次のゴールに向かって一歩踏み出すというサイクルが上手に回せるようになる仕組みなのではないかと思います。でっかい薪に火をつける前にマッチを擦って藁を燃やすようなものです。ガスバーナーでじゃんじゃんでっかい炎を燃やせるタイプの人から見ると、もどかしく見えるかもしれません。

自分には無理だと思っていた

 一番仕事がうまくいっていなかったころ、書店の仕事本コーナーを見るだけで気分が悪くなったのを記憶しています。「この本を買って実行に移せないお前は怠惰である」と本からメッセージが出ているような気がしていました。ここまでいってしまうともはや睡眠も家事もめちゃくちゃになっていて、洗濯物は山積みになっているところから引っ張り出して着て、皿はシンクに溜まって今使うものがなくなったら洗うという感じでした。生きているだけでいっぱいいっぱいなのにもう1ミリも頑張る気が起きない。一歩を踏み出せばあとはなんとかなるといわれても、その一歩が踏み出せないんだよ…。
 本の中で著者のお二人の様々な「しくじり」エピソードが紹介されていますが、一番共感した箇所は、喫茶店でアイスコーヒーが出てきて感動したエピソードです。私もファミレスで注文した商品が運ばれてきて、自分には正しくオーダーを取って伝えて皿を割らずに運んでくるなんて仕事はとてもできない、何をやってもダメな私がやっていける仕事なんてない…と涙目になったことがあります。
 この段階でこの本に出合っていても、手に取って開いて実行に移せたかどうかはちょっと怪しいです。多分無理だったと思います…。単純に気持ちにゆとりがなかったというのもありますが、がんばってやってみようと思って前向きに踏み出した最初の一歩を踏み外し続け、失敗体験を重ねてしまったことで「自分は変わることができる」という自信、イメージを全く失ってしまっていたのです。

 その後結婚出産して産休に入り、ストレス源だった職場からいったん距離を置くことで不眠症状も徐々に解消されていきました。物心ついたころから入眠障害気味だったので服薬を開始した(眠れないのが長年の日常だったの病識がなかった)ところ、生まれて初めて毎日コンスタントに8時間寝るということができるようになり、劇的に体調がよくなりました。普通の人ってみんなこんなに体調がいいんだ…?体調がよくなったところでやっと本を読んでなにかしら改善しようという意識が出てきて、いわゆるビジネス本みたいなものに手を伸ばせるようになりました。

一歩が踏み出せない人に

 休息と服薬を経てやっと本が読めるようになった私ですが、この本は私のように最初の一歩をなかなか踏み出せない人にお勧めしたいです。今まで一歩を踏み出しては崖下に転がり落ちるような体験をしてきた人に、また踏み出せというのは酷なことかもしれません。しかし、この本のすごいところはビジネスに役立つテクニックだけでなく、著者のお二人の等身大の体験記が書かれているところです。はじめからデキた人がレベルアップしていく本を読んでも逆に落ち込んでしまったりしますが、この本にたびたび出てくる「あるある」エピソードに自分を重ねて読んでいき、工夫を重ねて仕事をする過程たどっていくと、なんとなく「自分にもできるのではないか」という希望が見えてくるような気がします。

 タスク管理について書かれた本はほかにもたくさんありますが、お二人が自分の位置の近くから山頂近くまで登って行った登山記録をよめば、もしかして辿れば自分にも山登りできるかも?というような元気が湧いてくるように思います。

とりあえず、やってみます

 休職中ずっと「あの不調がぶり返したらどうしよう…」とモヤモヤ心配していたのですが、この本を読んだところ、とりあえずタスク管理というものをやってみよう、無理ならそのときに次の通院・服薬や転職について考えよう、というように冷静に考えられるようになりました。将来の不安を書き出して心の中から出し、目の前のタスクに集中するという効果がまさにここに出ているのだと思います。
 スケジュール管理することについてはまだまだ自信が持てないのですが、少なくとも手の付けづらいタスクについて書き出して分解して考えるという習慣がつきました。山頂に向けて、大きめの一歩を踏み出せたのかなと思っています。

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