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ポジティブ心理学でウェルビーイングな日々を・8「今、ここを味わう=幸せを先延ばしにしない」

今回の話は、
「いつも何かに追われるように頑張りすぎてしまう」タイプのあなたには、
一番ぴったりかもしれないな。

今回の幸せになる・気分良くいる・ご機嫌でいるためのコツはね、
「今、ここ」を味わう、っていうこと。

そんなこと?って拍子抜けするかな?
でもさ、忙しい日常に追われている私たちにとっては、
案外難しいことじゃない?

私もねぇ、のんびりしているように見られることもあるけど、
実は、何をしていても、「こんなことしている場合かな?」って焦っていたり、
何かを頑張らなきゃいけないのに、
本当に頑張らなくちゃいけないことは頑張れていない気がして、
いつも追われている感覚があるの。

そう。
追われているんだよね。
時間に。
仕事に。
周りからの期待に。
プレッシャーに。
自分の夢にさえ。

「いつも何かに追われるように頑張りすぎてしまう」タイプの人は、
過去に追われるタイプと、
未来に追われるタイプがいるね。

過去の失敗や挫折にとらわれて、
それを乗り越えなきゃ、と過去の幻影に追われる。

未来の自分をイメージしすぎて、
早くそうならなくては、と未来の幻影に追われる。

私は後者かなぁ。

もちろん、頑張ることは悪いことではないよ。
頑張っている人って、大好き。

でもね、
本当は、「今、ここ」を大切にして、
丁寧に味わって、
気分良くいられたほうが、
結果的には、いい未来を、望んだ未来を
するすると無理なく引き寄せるんだって。

いやー私も、頭ではそうだろうなって、
わかっているんだけどね。
けっこうすり込まれているのかなぁ、子どもの頃から。

「将来のために、頑張りなさい」って。
「将来のために、今は我慢して、頑張りなさい」って。

あなたも、そう言われてこなかった?
親や、先生とかに。


「今、ここ」を味わうことを、
最近では「マインドフルネス」という言葉で表現することが多くなってきたね。

「マインドフルネス」を社員教育として、
Google、Facebook、Yahoo!といった企業が導入していることは有名だよね。

もともとは禅や東洋系の宗教の中で、
精神性向上のために実践されてきた瞑想がルーツなんだ。
そして近年になって、
西洋の先進企業がその脳科学的な効果を認めて、
社員の「Well-being」のために積極的に取り入れているってわけ。

定期的に瞑想する習慣のある人は、
「心の穏やかさ」や「静かな幸福感」を体験しているときに活性化する、
脳の左前頭前皮質の活動が極めて活発であることが、
神経科学実験により発見されたんだって。

「マインドフルネス」の話は奥が深いので、
また別の回で取り上げるね。


私たちも、追われるばかりでなく、
定期的に立ち止まってみよう。

「幸せを先延ばしにしない!」を合言葉にしてね。


ポジティブ心理学で提案されている、
具体的な方法を紹介するね。


★日常でよくやっていること(食事、お風呂、料理、外を歩く等)を、
いつもの2倍くらいの時間をかけ、
2倍くらい集中して、ゆっくりと楽しむ。
五感を存分に使い、
今、この瞬間、
目に見えているもの、
聞こえる音、
舌の上の味わい、
皮膚の繊細な感覚、
鼻腔をくすぐる香りを味わう。
五感の感覚のみに集中する。
栄養価の高い、美味しい食事を用意すると、特にやりやすい。

★夜寝る前の10分間、
マインドフルな呼吸を行う。
楽な姿勢で目を閉じ、
5秒で吸って10秒で息を吐ききる深い呼吸を続ける。
呼吸から意識がそれていることに気がついたら、
「ああ、違うことを考えているな」と受け入れたあと、
そっと意識を呼吸に戻す。

★音楽や芸術や自然や宇宙や科学や偉人、
何か自己を超越する荘厳で偉大なものに触れて、
驚嘆したり、感動したり、畏敬の念に心を奪われる。

★感謝できるものを思い浮かべて、
それが自分のそばにある幸運について、
じっくり思いをめぐらす。


私がマインドフルな状態に一番なりやすいのは、
自然の中にいるときだなぁ。

道端に小さく咲いている白い花、

田んぼの中でたたずんでいる首の長い鳥、

水路から聞こえる蛙の鳴き声、

風にそよぐ真緑の草原、

その上を躍りながら渡っていく陽の光、

森の中で背の高い木々の間から斜めに差し込んでくる薄絹のような朝日、

あぜ道の向こうで待つ竹やぶの闇、

背の低い石に腰掛けてあおぐ雨上りの青空、

汗でぬれた前髪を吹き抜けていく涼しい風、

ところどころで色づく紅や黄の葉、

険しい岩壁に真っ直ぐ射す真緋の光、

山のてっぺんを幻の向こうにかき消そうとする雲の帳、

蛇行する白い川のきらめき、

茜色に空を染める夕陽、

黄金色に溶ける空、

風に舞う花けぶり、

月を映す湖面・・・

そういう、
世の中に溢れている、
途方もないくらい美しいものを見ながら、
ただ、歩くの。

今この瞬間、
風が額をなでていくこと、
次の一歩が地面につくこと、
自分の荒い息が規則正しく聞こえること、
こめかみを汗が流れていくこと、
地面を踏みしめるたびに、ふくらはぎの筋肉が固くなること、
一瞬一瞬の感覚が、生々しく迫ってくる。

そうするとね、
なぜ、この体があるのか、
どうしてこのように動くのか、
どうやって風を、水を、火を、土を、太陽の光を感じているのか、
歩けるというのは、不思議なことではないのか、
そんなふうに、当たり前だと思っていたことが、
だんだん当たり前でなくなってくる。

今、自分の体がここにあり、
そして動くということに、
風や土や光を感じるということに、
胸が張り裂けそうなほどのありがたさを感じるんだよ。


世の中の、いい感じがするものだけに目を向けて、
それを味わい、愛でてごらん。
すべきことは、それだけだよ。

そう言ったは、「サラとソロモン」という本に出てくる
賢いフクロウのソロモン。


いつもいつも、できるわけじゃないけどね。
疲れたら、お互い、立ち止まってみよう。

それで、美しい場所や、落ち着ける場所に行って、
五感が感じるものを、味わい愛でてみよう。

幸せは、先延ばしにしなくていいんだよ。

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※このコラムは主にポジティブ心理学に基づき、
幸せでいるためのエビデンスに基づく方法を紹介しています。
※ポジティブ心理学の分野では「Well-being」を高める方法が数多く研究されています。


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