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「悲しい出来事に幸せな出会いが勝つ」という言葉の力は大きい。

今更ながら、有村架純さんが好きでNHK朝ドラの「ひよっこ」をみた。
みねこのお父さんが見つかるところまで流し見もしてたが、やっぱりみねこのお父さんが見つかったところからまた一気に面白くなって、3日かけて一気に完走。

有村架純さんは、役ではなく、ご自身が「やさしい雰囲気の中に、1本の芯が通っている」方だと感じていて、同じB型ということもあってなんとなく勝手にちょっと似てるとこがありそうだなと想像できるところもあり、好きである。そんな有村架純さんが演じる役は、もちろん作品によってキャラクターは違うけど、でもどの役も、ご自身の「やさしい雰囲気の中に、1本の芯が通っている」というが映し出されていて、それが有村架純さんの唯一無二を確立させていると思う。唯一無二があるのは、一社会人としてとても羨ましい。

中学聖日記が特に好きで、年に1回は見てるかも。

というわけで「ひよっこ」をみて、やっぱり「やさしい雰囲気の中に、1本の芯が通っている」有村架純さんをみれた。

東京に出稼ぎに行っていた、有村架純さんが演じるみねこのお父さんが急にいなくなってしまい、行方不明になってから2年後。菅野美穂さんが演じる俳優・節子さんの家にかくまわれていたことが分かり、再会。でも再会したお父さんは、みねこや家族のこと全て記憶がなくなっていた。その後、みねこの実家・奥茨城村に帰り、変わらず優しく迎えてくれる家族や仲間と過ごしながら、記憶に頼らずとも自分を少しずつ取り戻していくというストーリー。

なので、自分のお父さんがもし行方不明になって、再会したけど、自分のことを覚えてなかったら…とか頭で自分に置き換えながら見てたんだけど。

そのまさに、節子さんの家で初めて記憶をなくしたお父さんと再会したシーン。みねこは「嘘だ、信じられない」と激しい怒りの感情をぶつける。そして2年間、警察に行かずにかくまっていた節子さんにも怒りを向けていた。

意外だった。
自分だったら、悲しいし、寂しいし、辛いし、きっと泣くと思う。
だけどそんなはずがないという「怒り」まではいかなかったから。

なにかの本で、人はなぜ怒るのか、それは自分の大切なものが失われそうな時に生まれると聞いたことがある。
だから、みねこはきっと、お父さんから自分や家族が消えてしまっている現実を受け入れられず、大切な家族がなくなってしまうのではないか、それによって傷つくことから、怒りという感情を通して必死に守ろうとしたのではないかと感じた。
このシーンで、みねこがどれだけ家族のことを大切に思っているのかをちゃんと知った。

その後、みねこのお父さんは、みねこと東京で過ごした後、自ら奥茨城村に帰ってみたいという気持ちになり、環境・家族・仲間・自分の行動によって少しずつ自分を取り戻していく。

このことをきっかけにみねこは節子さんと距離を置いていたが、自分が働いているすずふり亭の出前でテレビ局に行った時に再会。みねこのことを好きな、すずふり亭のシェフの見習いひでが、「みねこは、色んな人の気持ちを汲み取れることがいいところだけど、でも自分の気持ちを優先していい。自分がやっていることに自信を持ちなよ」と背中を押してくれて、お父さんやお母さんのの気持ちを考え話しかけるのを躊躇していたみねこは節子さんのところへと向かい、節子さんのことを気にかける言葉をかけた。

その後、金銭トラブルが起きて、ひとりで家にこもっていた節子さんを、自分が住んでいるあかね荘に連れ出す。その連れ出す時のシーン。なんであなたたち家族を傷つけた私にそんなことまでしてくれるの?と少し戸惑いを隠せない節子さんに対してみねこは、「悲しい出来事をなかったことにするためには、節子さんが幸せじゃなきゃダメなんです。節子さんに幸せになってもらわなきゃ、なかったことにできない。」と言った。

この言葉の意味、この時は分かったようで、心から理解していなかった。
その言葉通りのまま、まだ頭で理解しようとしていた。

最終話。
家族の夢だった「家族全員ですずふり亭でごはんを食べる」というのが叶った日。全ての食事が終わって、ひでがみねこの家族に結婚の許可をもらい、みんなが泣いて幸せそうにしているシーン。

みねこのお父さんの弟・宗男さんが
「勝ったんだよたった今。悲しい出来事に、幸せな出会いが勝ったんだよ」という。

その瞬間、あ、本当に辛くて悲しい出来事があった人はみんな、幸せになれない。幸せになっていいのかな。と、幸せになることからちょっと距離を置いてしまう。それを凌駕するのが、人との出会いと、その人たちの優しさに触れたり、その人達と心がひとつになった時なのか。
だから、みねこは節子さんをあかね荘に連れ出し、俳優の節子さんが、節子さん自身と一緒に過ごす人がいることで、節子さんが幸せになると思った。節子さんが幸せになり、自分も幸せになり、自分の家族も幸せになりということで、悲しい出来事はなくなるのだと。

その行動ができるみねこすごくないですか?
お父さんが行方不明になってしまったことも、記憶がなくなってしまったことも本当に本当に辛かったと思うんです。でもみねこはいつも自分に自信がなくて、周りの人の気持ちばかり汲み取って、どうしたら良いかわからなくて周りの人に助けてもらっていた。そんなみねこが、結果、全員を幸せに導いた。
すごく大きなことに感じて、それが「悲しい出来事に、幸せな出会いが勝ったんだよ」という言葉によってより重みを感じた。


「悲しい出来事に、幸せな出会いが勝つ」


言葉で言うのは簡単だけど、その言葉の意味を本当に理解するためには、
最初から最終話までの全てのストーリーが必要だった。


「家族」がストーリーの中心となっているドラマは、「ひとつ屋根の下」の最終話1話だけでティッシュ1箱分泣いた依頼、避けていたけど、やっぱり人と人のコミュニケーションがどうなるかとそのためのセリフを大事にしている岡田惠和さん脚本のドラマは、ドラマである。面白かった。

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