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「NPO×企業」のセミナーに登壇して、期待とか、関係性の理屈を改めて考えた雑記。

先日、こちらのセミナーに登壇してきました。非営利界隈の前線を張るエキスパートな先輩方の威を借りて、立ち位置を探りつつおしゃべりさせていただいた次第です。

「企業×NPO」の連携でよりよい社会をにするために…という趣旨だったのですが、参加される方にはこれからNPOに関わる機会を増やしていきたいという声も多くて、週5で働いたうえにそこからプラスアルファ踏み込める意気に感服しております。

それで、若者支援という景色から学んできた、企業との連携について個人的な意見も含めてお話をしました。

ロジックに寄せた「NPOと企業」の話をした

前提として「日本に住んでいて、孤立する若者を放置しても誰も得しない」という極めて客観的なことに触れました。

若者が孤立状態を望んでいるか、そうでないかは僕もわからない。
でも、国家単位で考えたとき、GDP増加に寄与してくれる人が多い方が資本主義国家は豊かになるし、福祉や保障に使うお金が減れば税金を減らしたり、他のことに使えるようになります。

つまり、若者を支えることは社会に還元する投資活動だという話です。孤立を望まない若者がいるのなら、その支援をするのは社会的に得しかないからやった方が良いのでは?と。

通常、このロジックにフォーカスして話すことはありませんが、時間的な制約があったことと、どうしても誰かに言いたかったんですね。
当事者が困っているんだというストーリーで「かわいそうでしょ」って伝えるのがどうしても性に合わないのだと最近思うのです。…他人の人生を勝手な尺度で話すの無理すぎる。

セミナーのあと、朝井リョウ先生の『正欲』を読んでから、あぁ、たぶんこの感情は間違っていないなと再確認しました。2021年最推しです。

最近、協働の意味合いが変わってきたと思う

参加された方からの「NPOが企業に期待していることは?」という質問が印象的でした。

いわゆる大企業に所属されている方が多かったので、それを前提としたプロジェクトを立ち上げるような場合で回答を考えました。

最近の協働においては、SDGsやESGのトレンド化で明らかに加速した、営利企業が背負う社会的なリスクマネジメント施策の実行者が非営利組織であると考えています。

CSRの思想から、企業も社会のことを考えなければならなくなったけど本業でやるには難しい。自社でできないならだれかと一緒にやろうとなり、その社会的責任を一緒に負担する実行者を探すなかで、数多ある選択肢から、たまたまNPOが選ばれている認識でいます。

育て上げネットも関わっていますが、NTTとKDDIが始めた就職氷河期世代支援の場合、その大部分は企業自身で実行しているんですよね。
企業が自分でできるとしたら、わざわざ社会的な信頼の薄い非営利組織を使う理由はないのかなと・・・他にも多くの企業が自身が実行者になることを選んでいると思うのです。
(※↑の支援事業はあらゆる面での実行者になれない部分があるから、協働者として選んでいただけたのだと個人的には思っています。)

いただいた質問に強いて答えると、法人としてのレピュテーションに関わるもろもろが「期待」のそれにあたるのですが、大企業が一緒にやろうと選ばれた時点で概ね期待は達成してしまっているように思います。

この質問、なにを応えるのが正解だったのかいまだに悩んでいます。

むしろNPOに期待されてることが知りたい

そのほか「NPO×企業」をうまく進める方法というのもありました。

個々の企業さんの職種や業態、国籍によってニーズも、その応え方も大幅に異なります。

Tips的なことで言えば、担当者さんがお持ちのKPIやお財布事情のざっくりとした部分をお聞きして、見合った活動を作れるようにする・・・みたいなことはあります。最近は社員ボランティアの参加希望も増えてきているので参加しやすい機会設定をするとか…

しかし、前述のように、企業側が社会的なリスクマネジメント施策に取り組むための実行者としてたまたま選ばれるんですよね。

そう考えると、やはり優先されるのは企業側が実現したいことを非営利の文脈で価値が生まれるようにプランを立て、実行する役割なのだろうなと思うのです。

そもそも選んでもらえるということ自体が驚きで、少しづつNPOも市民権を得られてきてるのですかね?NPOの社会的な立ち位置って上がってきたんですかね、どうなんだろう。

企業の方が社会を支えている説

蛇足的に。

いろいろ質問をいただいたのですが、こういう企業とNPOの関係性の話をしていると、どうしてもNPO側のほうが社会的に良いことしているみたいな雰囲気になるのは苦手です。

企業や公共の努力があって多くの人が安心して暮らせる社会が形成されているので、どっちが社会的な良いことを定量化したらNPOは絶対に勝てないんですよね。だから非営利だし、分けて考えたほうがよくて。

どんなことでも、例外や隙間が生まれてしまって、そこを支えることが社会としてより良いものになるし、やりたいと思うのでNPOのセクターにいるわけですが、このあたりの世間的に持たれているイメージって変わるものなのだろうか。

なにかご関心をお持ちいただけましたらご支援お願いします。文章書いてよかった、誰かの支えになれたと励みになります。