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14. 天に落ちる

天に落ちる

光の女神を讃える長い祭りが終わった
明け方 
日常はまだ煙った夜に潜んだまま
踊り疲れて熟睡する街に
季節外れの細い雨
空気はまるく潤い
浮き足立つように熱く舞い続けた埃を
なだめる

真っ赤に響くインド音楽 
絶え間ない花火と爆竹
痛いほどのイルミネーション 
爛漫の笑顔
夏の太陽みたいに彩られた夜達が
心の裏でこだまする 
生々しい夢のように

窓を開け放つ
早朝だけの冷気がふらつく心を吹き抜ける 
ああ ひたむきすぎる熱気が息苦しかったのだ
遠い朝もやの山腹に 
灯りがひとつ
あそこにも祈りがある

信じきるか 
いっそ何も考えないか
どちらにしても 
その日暮らしの命
賑やかな余韻に満ちて
静けさが耳を貫く

私は天に落ちる

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