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現代詩1

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現代詩の作品集です。
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記事一覧

【詩】ほほづき

ほほづき 鮮やかな赤色に染まった ほほづきの実が いくつも 通りすがりの軒先に 昭和のよう…

【詩】ひとこと

ひとこと 時には たったひとことの発信で 全てが変わってしまうこともある 思いも寄らなかっ…

【詩】心残り

心残り 南風が喜びを装う仄かな香りを連れて ぬるい夏が辺りに漂う 気だるい自由が肌に染み込…

【詩】酷暑

酷暑 スイカの赤い果肉を 手掴みした時の微かなざらつきが 息をするのと同じくらい当たり前に…

【詩】ひと呼吸

ひと呼吸 愛ゆえに 時折 言葉がねじれる 思ってもいない心なさを 放ってしまう前に 目を閉…

【詩】生活

生活 綺麗な愛は絵空事のように 生活に紛れ込んだ 掃除や洗濯や食事の支度中 秘かに模索する…

【詩】彩り

彩り 万華鏡の空が 辺りを淡い桃色に包むとき あなたはきっとその下で 永遠に微笑んでいてくれると信じる 青く光るエスカレーターに乗り 心で何度もなぞり慣れた聖域に はやる胸のドキドキを抑えながら しゃんと上って行くから どんなに孤独で惨めな姿も ありのままの自分を 安心して見せられるあなたには ずっと幸せでいて欲しいから 万華鏡の空は人生色 運命のように気まぐれに情景を変え 時に暗闇のグラデーションで 宇宙のように世界を彩る 染められる命は 美しさに耐えるしかない

【詩】あと一歩

あと一歩 ずっと待ちこがれてきた挑戦なのに いよいよ実現しそうになると 心が二の足を踏む …

【詩】今日の地図

今日の地図 口当たりのいい朝が うららかな風に弾ける コーヒーを味わいながら 忙しくなりそ…

【詩】命の肌触り

命の肌触り 花吹雪に誘われ 小走りで坂を駆け上がった 息切れがひと休みを促す 心の痛みの意…

【詩】賞賛の時

賞賛の時 夢の中 願いを叶えた憧れの私がいた 希望を織りなしていた承認欲求が満たされ 賛…

【詩】空を見る 

空を見る  悲しい時 空を見る 誰かに分かって欲しい時 悔しさで胸が押しつぶされそうな時 …

【詩】理想のお化け

理想のお化け 理想のお化けは目が八つ 人間に近い姿で 人間と同じ場所にふたつ 頭の後ろにひ…

【詩】私にできること

私にできること 柔らかな冬の日差しが リビングをすっぽり包む 平和な瞬間はいつも温かく澄んでいる 安心していいよと囁くように 先週ここで悲しいニュースを見た 今窓を開ければ 冷え切った空気が部屋に入り込み 理不尽な罪悪感と焦りに 対峙することとなるだろう 私にできること 可能な限り差し出すこと 奉仕すること 心から祈りを捧げること 自分の苦しみに耐えること 生きるために生きること 愛すること 精一杯 愛すること 春は必ずやって来る どこにでも 誰の心にも いつの間に