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自己主張の大切な役目

みなさんは‘自己主張‘という言葉からどんなイメージが浮かびますか?
「我が強い」とか「ワガママ」といったイメージでしょうか?
今回は自己主張を教える子育てについてお話しします。

自己主張に最も近い英語の言葉は’self-advocacy’。アメリカでの子育てではよく出てくる言葉です。日本の「はじめてのおつかい」というテレビ番組がNetflixでアメリカでも見れますが、おつかいもself-advocacyの練習の一つです。なので、自己主張という言葉とは少しニュアンスがズレますが、自分が必要としているもの、自分の気持ちや意見、存在を主張できることだという広い認識でOKです。

先日ふと本棚で埃をかぶっていたMalcom Gladwell著のOutlinersを、手に取ってパラパラと読み返していました。その中に、経済的に恵まれている家庭の子育てと、そうではない家庭の子育ての違いについて書いてありました。その違いとは、子供が小さい頃から社会の大人を相手に、自分が必要としている内容をしっかりと伝えられるスキルを教えるという事だそうです。例えば、経済的に中・上流階級の家庭では、子供を歯医者や医者に連れて行く際、子供に先生とのやりとりをさせます。レストランで食べ物を注文する時なども、子供に自分の分のオーダーをさせます。

これは日本の子育て環境とは少し異なるかもしれませんが、下級階級の家庭では親が大学などに行っていないことも多く、自分より学歴や社会的地位を持った人(先生、医者、警察官、弁護士など)を相手にすると、引け目を感じて堂々と対応出来ないことが原因だそうです。自分が苦手なことを子供に教えることは難しいですよね。

自己主張が上手にできる人は、相手に自分の思いや意見を伝えるだけでなく、良いコミュニケーションを築く方法を知っています。子供の頃から大人相手に、自分のニーズを主張することに慣れていると、高校や大学に進んでからの先生・教授とのやり取り、さらに、社会人生活にも役立つ事が想像できます。

もしかすると、恋愛関係においても、相手にいつも合わせて気に入られる事に一所懸命になるのではなく、「私はこうしたい」「僕はこっちの方が好き」と自分らしさを主張できる関係づくりにも役立つのではないでしょうか。

今回、自己主張について書こうと思ったのは、私なりに娘(16)に教えて来た自己主張スキルの成果を垣間見れた出来事が最近いくつかあったからです。その一つを書きます。

アメリカの夏休みは約3ヶ月と長いので、ハイスクールに入るとバイトをする子もたくさんいます。娘はバイト探しから面接まで全て自分でやり、夏休みスタート直前に働き先を見つけて来ました。トレーニング期間が終わり、時給も上がる筈でした。ただ2回目に貰った給料明細が、まだトレーニング時の時給になっていた事に気づき、ボスにどう伝えればいいか私に相談してきました。その後ボスに電話をかけ、すぐに直して貰ったそうです。小さな事ですが「娘もだいぶ成長したな」と安心に少し寂しさが混じった気持ちになりました。

バイト中の娘

親にとって子供はいつまでも子供で、なんでもやってあげたい気持ちがあるのは自然な事です。大人がやってあげた方がその時は楽で手っ取り早いことも多いですよね。その気持ちをグッと堪えて、「まだちょっと早いかな。もう出来るかな?」と感じることを子供にやらせる/対応させることをお勧めします。すぐそこで見守りながら、子供にちょっとだけ背伸びさせること、その小さなカケラたちが集まり、いずれ社会の中で、この広い世界で、自分のことを主張できる自信の素になるでしょう。


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