忘れえぬ人にまつわる思い出話
今年も10月19日がやってきたから、忘れないうちに書き残してみたくなって。
自分が音楽に興味を持つきっかけになった人
「初恋の人はいますか?」
と聞かれたら、
「恋ではないけど、自分の原点になった人ならいる」
と答えると思う。
今でも10月になると思い出すのは、19日がその人の誕生日だから。
という訳で今回は、
「その人にまつわる思い出話を、今の自分が覚えている範囲で、書けるだけ書いてみよう!」
……と思い立って、記事を書いてみる事にした。
インターネットで公開された情報は、
いずれ何の前触れもなく、掲載されていた場所ごと消えてしまう可能性と常に隣り合わせなのを知っているから、
この記事も、数年後には跡形もなく消えてしまうかもしれない事を承知の上で書いている。
なので、もしもこの記事を消える前に読めた人がいるとすれば、それはある意味とってもラッキーな事なのかもしれない。
……消えたら消えたで、
「えっ、私そんな事書いてましたっけ?」
って、後から誤魔化せるかもしれないし。
出逢いは偶然にして一瞬
むかーしむかしの近未来、だいたい2000年代初頭。
SNSや動画サイトの代わりに、個人運営のWebサイトが主流だった頃の話。
当時好きだったゲームの攻略情報を探し求めてネットサーフィンをしていた私は、
たまたま立ち寄った攻略サイトで流れていたBGMに、耳とハートを掴まれた。
「こんな綺麗な曲、初めて聴いた……!」
それは今まで私が聴いた事がなかったジャンルの曲で、
「描いた始まり」というタイトルだった。
その出逢いがきっかけで、
「この曲を作った人の音楽を、もっと聴いてみたい!」
と、ゲーム以外の物事にも興味を持つようになってからは、
毎日のように作曲者のサイトを訪問するようになり、
楽曲の感想をメールで送るようになってからは、ご本人との交流も続くようになっていた。
その人は、後に「音羽雪(おとは・ゆき)」と名乗るようになり、私は「ゆきさん」と呼んでいた。
ゆきさん曰く、もともと自主制作のゲーム用に作ったBGMをサイトで公開していたら、次第にBGMそのものが人気になっていったんだそうで、
そのような出来事を経てからは、創作活動を作曲メインに絞って、音楽素材サイトを運営するようになったと仰っていた。
おそらくゆきさんがいなかったら、
ジャンルを問わず存在を知らなかった・もしくは知るのが数年遅れていた人は多かったかもしれない。
エンヤ、サラ・ブライトマン、姫神といったミュージシャンの存在を知ってからは、少しずつ興味を持つ対象やジャンルも広がっていき、
音楽関連では、次第にインスト曲やゲーム音楽にも興味を持ち、某シンフォニックメタルバンドの来日公演にまで行くようにもなった。
3DSでリメイクされた、あのフリーゲームのBGMにも
そして瞬く間に時は流れて、2012年。
ニンテンドー3DSのダウンロード専売ソフト
「TRUE REMEMBRANCE 記憶のかけら」というノベルゲームのBGMに、ゆきさんの曲が一部使用されたという知らせを聞いた。
なんとこちらは、もともと個人製作のフリーゲームだった原作を、
当時のアークシステムワークスのスタッフが、一般人が投稿した実況動画を観た事がきっかけで存在を知り、
3DSでのリメイクに至ったという経緯がある。
「……そんな夢みたいな話、ホントにあるの?」
……と思ったらマジだった。
その証拠に、エンディングのスタッフロールに、ゆきさんのお名前がバッチリ掲載されていた。
夢みたいだけど、夢じゃなかった!
今でも続いているご縁もある
その後ゆきさんは、次第に本業が忙しくなり、
作曲やサイト更新に充てる時間も取れなくなって、そのままサイトを閉鎖する事になった。
閉鎖後は、楽曲を公開していた外部サイト「muzie」もサービス終了し、事実上の音信不通になってしまった。
ご本人は、
「音楽を仕事にする予定はないですね」
と仰っていたから、私自身に出来る事は特に何もなかったんだけど、
もしもゆきさんが商業作曲家としてデビューされていたら、どのような曲を作られるのかは、正直聴いてみたかった。
……そしてもうひとつ欲を言うなら、
「TRUE REMEMBRANCE 記憶のかけら」を、SteamやSwitch向けにリマスターして欲しい!
出来れば原作者の里見しばさんと3DS版のVOFANさんのイラストを、両方見られる仕様で!
とも思ってしまった。
今となっては、
「なんだかこれまで生きてきた時間の割に、想像以上に薄っぺらでカラッポな人生を送ってきたんだなぁ」
と、悲しい事に気付いてしまった自分だけど、
少なくともゆきさんに関わっていた頃の時間は間違いなく充実していたし、無駄にもなっていなかったという確信は持てる。
奇しくも今年になってからは、
音楽関係で知り合った方が、何人かVTuberデビューされていたのをきっかけに、
長らく交流が途絶えていた方とのご縁がもう一度繋がるようにもなったので、
やはりゆきさんは、自分の一部を作り上げたお方なんだなぁ、と改めて実感している。
あれからゆきさんはどうしているんだろうか。
今もどこかで生きていればいいんだけど。
今のところ、まだ消えずに残っている動画とか
BGMが使われている動画や、ファンによる演奏動画などが見つかったので、一部掲載。
Apple Music等のサブスクリプションサービスに登録されている曲もありました。
興味のある方は、是非聴いてみてください。
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